Yahoo! JAPAN 政策企画

海外からの配信にも消費税課税を(その1)

Yahoo! JAPANが取り組んでいる政策的な課題について、フレッシュな情報をタイムリーにお届けします!

最初に選んだテーマは、「海外からの配信サービスへの消費税課税」です。現在、政府でも検討が進められていますが、その課題と、Yahoo! JAPANが考える課題解決の方法について、お話しします。

早速ですが、みなさんが普段お店でモノやサービスを購入する際には、消費税がかかっていますね。これは、インターネットで、音楽や映像を購入する場合も同じです。そして、みなさんから徴収した消費税分を売主が国に納めています。
ところが、実は、海外から配信されるコンテンツをみなさんが購入する場合、現在の制度では、消費税は売主から国に対して納められていないのです。

つまり、国内の売主が音楽や映像コンテンツを国内のサーバーから配信する場合は、「国内取引」としてその売主は消費税を納めるのですが、海外の売主が、同じコンテンツを海外のサーバーから配信する場合には「国内取引」としては取り扱われず消費税を納めなくてもよいことになっているのです。

このことから、全く同じコンテンツをお客様に提供している場合でも、消費税の税額分だけ国内の売主と海外の売主との間に“価格競争力の差”が生じてしまい、“公平な競争環境がゆがんでしまう”ということになります。

この“公正な競争環境のゆがみ”は、一見、サービスを受ける側のみなさんにとっては、大きな問題ではないように思われますが、このことがどのような意味を持つか、少し考えてみましょう。

例えば、電子書籍のコンテンツを同じ出版社から同じ仕入額で、国内から消費者に配信する国内の売主と海外から消費者に配信する海外の売主がそれぞれ購入したとします。もし、海外の売主が消費税分だけ安く配信できるとすると、国内の売主は国内にいるという理由だけで価格競争のうえで負けてしまうことになります。仮に海外の売主が利幅を消費税率の範囲内に設定したとすれば、国内の売主は赤字になる価格にしないと競争できず、その事業を継続することができなくなってしまいます。公正に競争することによって、価格競争やサービスのクオリティの向上のための競争が行われるわけですから、“公正な競争環境のゆがみ”は国内の事業者の減少や、将来のサービスクオリティの低下等をもたらし、サービスを受けるみなさんにとっても、望ましくない状況を招いてしまう可能性があります。

また、もし国内の売主がビジネスで生き残るために海外に事業所や配信拠点を移してしまえば、国内産業の空洞化につながり、国内における雇用の減少や、ひいては法人税や所得税の減少にまでつながることも心配されます。

このままの状態では、今後の消費税率の引き上げによって、“公正な競争環境のゆがみ”がさらに広がり、これらの動きが加速することが懸念されます。

もともと税金の制度は、産業への影響がないように中立に設計されていなければならず、せっかく消費税率を上げても、もし消費税による税収が期待どおり上がらなければ法人税や所得税といった他の税金の率に影響を及ぼすことにもなってしまいます。

このように、“公正な競争環境のゆがみ”の問題は、大きなインパクトのある課題なのです。

では、この問題をどのように解決すべきでしょうか?

海外の取組を見てみると、

たとえば、経済協力開発機構(OECD)は、2001年に、サービスを受ける場所で課税する「消費地課税」の方式を提案し、欧州連合(EU)は、これを受けて、域外からの配信に対して付加価値税(消費税)を課しています。

この「消費地課税」は、消費者のいる場所(みなさんが商品を購入する場所)に着目して課税する方法で、同じサービスには平等に消費税を課すことになるため、もともと消費税という税金の形態を考えた場合の基本に忠実なものであるだけでなく、公正な条件での競争にも影響をおよぼしません。

現在、政府が主催する有識者会議では、海外の事業者への課税の議論がなされています。
わが国でも、インターネットサービスを提供する海外の事業者がどんどん参入してきていますが、同じサービスでありながらコンテンツを購入する場所を基準にするのではなく配信する場所を基準としたままにすると、国内の事業者と海外の事業者が公平に競争できなくなってしまいます。消費者のいる場所に着目し、海外からの配信に対しても課税するという原則が、正しいあり方なのではないかと思います。

本日は、ここまでです。

今回は、電子書籍の販売事業者等のコンテンツを販売する事業者と消費者の取引、いわゆるBtoCの取引における “公正な競争環境のゆがみ”にスポットを当ててお話をしましたが、次回は、たとえば、Yahoo! JAPANのような広告掲載事業者と広告主として広告掲載を希望する事業者との間の取引、いわゆるBtoBの取引における“公正な競争環境のゆがみ”についてもスポットを当てて、お話したいと思います。