Yahoo! JAPAN政策企画

ネットを通じて選挙について知る、語る自由を(その3の2)

(前回からの続きです)

4.選挙期日後のあいさつ行為の制限
選挙後に当選・落選に関するあいさつ行為をすることも制限されています(178条)。
この制限によって、選挙が終わって無事当選した方が、「皆様のご支援のお陰で当選することができました」、「当選御礼 ご支援・ご支持いただきました皆様に御礼申し上げます」などと素直な感謝の気持ちをブログやSNSで書き込みをすることも公職選挙法違反になってしまうおそれがあります。
この制限の趣旨は、選挙の期日後であったとしても、あいさつ行為に多くの費用がかかったり、事後買収などの弊害も少なくないためと解釈されています(選挙制度研究会『実務と研修のためのわかりやすい公職選挙法』14次改訂版、185ページより)。

5.選挙に関する報道・評論
新聞社やテレビ局による選挙に関する報道は、虚偽の報道をしたり事実をゆがめて報道するなど選挙の公正を害するのでなければ、原則として、自由に行うことができるとされています(148条、151条の3)。
ただ、実際には、選挙の公正や報道機関の社会的信用を確保するために報道機関による自主的な規制が行われているようです。
例えば、立候補予定者の番組出演は、事前運動禁止の趣旨も考慮して民放各社の内規によって制限されており、レギュラー出演者であっても立候補予定者については、公示3か月前、6か月前から出演を取りやめているようです(日本民間放送連盟『放送ハンドブック(改定版)』、155ページより)。収録済みの番組であっても、立候補予定者にモザイクをかけて放送している番組をみかけることがありますが、そういった事情があるようです。

さいごに
インターネットを使用した選挙運動については懸念する声もあります。
主なものとしては、候補者のなりすましが発生することを心配するものです。

たしかに、候補者になりすましたブログやSNSのアカウントの作成を阻止するのは難しいですが、例えば、候補者の選挙ポスターやビラ、所属政党の公式ホームページ、選挙管理委員会が発行する選挙公報などの中で候補者のブログのURLやSNSのアカウント名を記載しておき、有権者が公式のものを簡単に把握できるようにしておけば、なりすましによるデマが広がる被害をある程度防ぐことができます。また、氏名等の虚偽表示罪(235条の5)という犯罪もありますので、この犯罪を周知することによっても、抑止効果が期待できます。

選挙運動に関するルールは、国会議員自らの活動に直結します。そのため、公職選挙法の改正はいわゆる議員立法として国会議員によって国会に提出されるのが一般的で、さらに各党各会派のコンセンサスが得られていることが事実上の成立要件となっているようです。

今回の選挙によって新たに当選された衆議院議員、現職の参議院議員の方々には、ぜひ選挙のルールについて先送りすることなく議論していただきたいと願っています。