Yahoo! JAPAN 政策企画

データの適切な利活用による新しい価値創造を可能とするために

2013年4月8日に、総務省の「パーソナルデータの利用・流通に関する研究会」における論点整理について、パブリックコメントの募集が開始されました。

http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02ryutsu02_03000107.html

「パーソナルデータの利用・流通に関する研究会」は、情報通信技術の発展により、ビッグデータとも呼ばれる大量のデータを分析することが可能となった(従前、処理技術が乏しかった時代には、多くのデータが捨てられていました)ことを受けて設置されました。大量のデータを活用することで個々人の嗜好に合わせたサービスや広告を提供するなど、人々により魅力的な商品を届けることが出来るようになってきている一方で、そのような大量のデータの収集・利用を通じて、プライバシーが脅かされるのではないかという不安も生じているという認識のもと、プライバシー保護等に配慮した、適切なパーソナルデータ(個人に関する情報)の利用・流通により社会の発展を実現するための方策を検討することを目的としています。2012年11月以来、約半年間に7回の会合が開催されてきました。

パブリックコメントが募集されている論点整理は、パーソナルデータの利活用のルールが明確でないという現状認識のもと、それを明確化するための短期的な方向性(Ⅲ)と中期的な課題(Ⅳ)を提示するものとなっています。

短期的方向性(Ⅲ)では、
・透明性の確保
・本人の関与の機会の確保
・取得の際の経緯(コンテキスト)の尊重
・必要最小限の取得
・適正な手段による取得
・適切な安全管理措置
・プライバシー・バイ・デザイン
といった利活用の枠組みが提示されるとともに、
・保護されるパーソナルデータの範囲についての考え方(Ⅲ 2)
・パーソナルデータを性質に応じて分類するという考え方(Ⅲ 3)
・利活用ルールを国、企業、消費者、有識者等様々な関係者が議論するマルチステークホルダープロセスによ り分野毎に定めるという考え方(Ⅲ 4)
・利活用のルールをデータ取得の際の経緯(コンテキスト)との関係で検討するという考え方(Ⅲ 5)
などに関する論点が提示されています。
また、中期的な課題(Ⅳ)として、パーソナルデータの利活用のルールの明確化と諸外国における取組みも踏まえて、国際的に調和の取れた制度として構築する必要があるといった考え方を基礎に、プライバシーコミッショナー制度についての検討やマルチステークホルダープロセスにおいて策定されるルール等の実効性を確保するための施策に関する論点が提示されています。

Yahoo! JAPANでは、お客様がサービスをご利用になった際のログを分析し(分析にあたっては、特定の個人を識別するなどしてプライバシーに関する懸念が生じないように工夫しています)、どのようにサービスが利用されているのかといったことを把握することで、よりお客様が欲されている情報、サービスを提供出来るようになるための基礎としています。また、サービスの改善向上に役立てるだけでなく、分析の結果を読み物のような形で提供するなど、広く社会のためになる情報の提供にも努めています(そのような活動については、「Yahoo!検索 スタッフブログ」(たとえば、「Yahoo!検索から見えた今年のインフルの猛威」や、「Yahoo! JAPANビッグデータレポート」でご確認いただけます)。

このようなログの分析に関する技術は日進月歩で発展しており、Yahoo! JAPAN政策企画では、国が一般的、包括的なルールを定める従来の方法では、発展した技術を十分に活用することができずに革新的なビジネスの創出が妨げられたり、他方で、その時々の技術の状況に応じた必要十分なプライバシー保護を伴う適切なデータの取扱いがなされなかったりすることになるのではないかという懸念を抱いてきました。今回の論点整理では、パーソナルデータの利活用ルールについて、国だけではない様々な関係者が参加するマルチステークホルダープロセスにより、分野毎に個別のルールを定めるという考え方が示されていますが、このような考え方が国によって示されたことは、上記のような懸念を解消するための重要な一歩と言えます。
もちろん、「マルチステークホルダープロセスでルールを定める」と言っても、何がしかの基準、目安となるものがなければルールも定めようがないということで、今回の論点整理では基準、目安となるべきものの考え方がいくつか示されています。ただ、Yahoo! JAPANもこの会合の構成員となっているため、論点整理案作成にあたって意見した内容が必ずしも反映されていない点もあります。たとえば、パーソナルデータを性質に応じて3つに分類するといった考え方(Ⅲ 3)については、この論点整理で定義される「パーソナルデータ」は、ありとあらゆる粒度のものが含まれ、3つに分類することが可能なのか、適切なのかという疑問が抱かれるところでもあり、これらはあくまで基準、目安、あるいは原則を記載したものと理解されるべきだと、Yahoo! JAPAN政策企画では考えています。また、中期的な課題として、EUが日本のパーソナルデータの保護について十分であると認定していないことを解消するためにプライバシーコミッショナー制度創設の言及がなされていますが、これまでの我が国の取組のアピール不足も否めないところであり、必ずしもプライバシーコミッショナーを創設さえすれば解消されるわけではないので、これがゴールのように記載するのではなく、あくまでも方法論の一つの選択肢として記載するのが適切だと思っています。達成すべき目的とそのために必要な手段の再確認が必要です。

データの利活用によって新しい価値を生み出すことが出来るというのは、間違いのないところですし、それを可能とするために、データの利活用まわりのルールを整備することも必要なことです。今回の論点整理は、そのようなルール整備に向けた議論の一里塚となるもので、より多くの方々に興味を持ってもらい、さまざまな意見が寄せられることで、よりよい議論へとつながって行くのではないかと思います。
このブログを読んでいただいているみなさんも、ぜひ一度総務省のページを覗いてみて、可能であれば意見を寄せてみてください。
パブリックコメントは4月17日が締め切りです。

パブリックコメントはこちら↓
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