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『プライバシーの新理論』

今回は一冊の本を紹介します。

2013年6月25日に『プライバシーの新理論―― 概念と法の再考』という本が、みすず書房から出版されました。
著者は、以前このブログでも紹介した、日本経済新聞電子版主催(ヤフー株式会社協賛)のシンポジウム「日本経済新聞電子版カンファレンス2013 新時代の課題~いま、改めて見直す『プライバシー』の定義」 にビデオ出演していただいた、ジョージ・ワシントン大学ロースクールのDaniel J. Solove教授です。
この本は、2008年に出版された原書『Understanding Privacy』の日本語訳です。

プライバシー/データ保護に関しては、このブログでも再三採り上げているように、その在り方をめぐって議論が活発に行われています。その背景には、情報技術が著しく発展し、人々に関する情報がこれまでにない形で取り扱われるようになったことがあります。つまり、情報が不適切に取り扱われ、場合によっては人の私生活までもが暴かれるのではないかという懸念が、その背景にあります。そして、そのような懸念を解消するために、プライバシーの法的保護の在り方が議論されています。

プライバシーの法的保護に関して、法律学の立場からは、保護の対象となる「プライバシー」を定義し、「プライバシーの権利」によってプライバシー/データ保護を実現しようとする考え方が示されることが多いように見受けます。
しかし、この本では、そのような考え方とは異なる考え方が示されています。

Solove教授はまず、プライバシーの問題がこれまでどのように議論されてきたのかを分析します。そのうえで、そもそも「プライバシー」を一律に定義することは不可能であるとの結論を導きます。そして、情報が取り扱われる場面ごとに、ケースバイケースで検討すべきであるとし、「プライバシー」を考える際の要素と、それに対する考え方を示します。

情報技術の発展は猛烈なスピードで発展しつづけ、それに伴ってプライバシー/データ保護の在り方も変わりつづけることが予想されます。そのような状況においては、一律に「プライバシーの権利」を考えるのは困難で、ケースバイケースでプライバシー/データ保護を実現しようとする考え方は示唆に富むものと言えます。

Solove教授には、上で紹介したシンポジウムにビデオ出演していただいた際に、お考えの一端をお話しいただきました。この本では、Solove教授の考え方の詳細に触れることができます。プライバシー/データ保護に関して「具体的にどうしたら良いのか」という悩み事の解決の一助になるのではないかと思います。

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