「インターネットサービスにおける公正な消費税課税を求めるフォーラム」について
このブログでも何度か採り上げてきましたが、みなさんはインターネットで配信されているサービスが、海外から海外事業者によって配信されると消費税がかけられておらず、国内から国内事業者によって配信されると消費税がかけられているという違いがあることをご存知でしょうか?
今回は、この消費税格差の問題に関する、ヤフーが参加した会合「インターネットサービスにおける公正な消費税課税を求めるフォーラム」についてご紹介します。
プログラムおよびフォーラムにおいて採択された声明文は以下のとおりです。
日時:2013年8月28日(水)14:30~16:00
於 経団連会館(パールルーム)
1.開会挨拶
青山学院大学法学部 三木義一 教授
2.問題の所在
青山学院大学法学部 三木義一 教授
3.消費税格差問題を巡るこれまでの動向
1)国境を越えた役務提供等に係る消費税~最近の動き~
一般社団法人 日本経済団体連合会 経済基盤本部 幕内浩 氏
2)消費税課税の内外格差問題に関するこれまでの報道
株式会社紀伊國屋書店 牛口順二 理事
4.付加価値税(VAT)に関するOECD勧告とEUの制度について
ヤフー株式会社執行役員 別所直哉 社長室長
5.各参加者からの意見表明
6.声明文の採択
7.閉会挨拶
インターネットサービスにおける公正な消費税課税を求めるフォーラム
声明文
インターネットを通じたオンラインコンテンツ(電子書籍、音楽、映像等)や広告、クラウドサービスといったインターネットサービスは、現在国内企業のみならず、海外企業も積極的にわが国の市場に進出しています。
しかしながら、わが国では、インターネットを通じたサービスが国内から配信されると消費税が課税されるのに対して、海外から配信されると消費税が課税されないという、税制上の取り扱いの格差が存在しています。
このため、日本企業は、消費税相当額だけ、海外企業との価格競争上、不利な立場に立たされております。そこで、消費税負担を嫌い日本企業が海外に拠点(販売主体、サーバー等)を移す事例が出てきていますが、今後の消費税率の引き上げにより、日本企業はさらに不利な立場を強いられ、海外移転を通じた産業の空洞化も懸念されるところであり、ひいてはわが国における雇用の減少や法人税収の落ち込みにもつながります。税収の落ち込みは、私たち国民の生活にも悪影響を及ぼすことになります。
OECD(経済協力開発機構)は、国境を越えて電子的に提供されるサービスの消費税について、サービスの利用者が所在する国で課税されるべきであると勧告しています。EUでは、OECD勧告に従い、EU域外の事業者からEU域内の利用者にインターネットを通じたサービスを提供する場合、サービスの利用者が所在する国で付加価値税(消費税)を課税することとなっています。
わが国においても、OECDなどの国際的な税制の勧告・動向を踏まえ、事業者と消費者(BtoC)の取引、事業者同士(BtoB)の取引とを問わず、インターネットサービスの提供にあたっては、国内企業にも海外企業にも平等に消費税が課税されるよう、法令の改正その他の必要な手続上の整備が行われることを呼びかけます。
公正な消費税課税を通じて公平な競争環境の確保や適正な税収の確保を実現することを目指して、以上のとおり表明します。
2013年8月28日
株式会社IDCフロンティア
株式会社イーブックイニシアティブジャパン
NECフィールディング株式会社
株式会社エムティーアイ
株式会社紀伊國屋書店
株式会社GyaO
株式会社ドワンゴ
株式会社ビットアイル
株式会社BookLive
ニフティ株式会社
丸善株式会社
青山学院大学三木義一教授
宮脇 睦
ヤフー株式会社
ユサコ株式会社
株式会社レコチョク
なお、報道でも次のように取り上げられています(2013年8月29日付 日本経済新聞 企業欄)。
「ヤフーや紀伊国屋書店など13社は28日、海外から電子書籍や音楽などをインターネットで配信するサービスには消費税が課税されず、国内からの配信サービスが不利だとして、平等な課税を求める声明文を発表した。賛同企業を募り、声明文を経済産業省や財務省に提出する。
現行の課税原則では電子データを国内のサーバーから配信すると消費税が課されるが、海外から配信すると課税されない。声明文では「日本企業は消費税分だけ価格競争上、不利なうえ、日本企業が海外に拠点を移し、雇用や法人税収の落ち込みにつながる」としている。」
ヤフーは、上記の声明文に賛同し、引き続きこの問題に対して取り組んで参ります。
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