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熟論2【4】参議院の任期とねじれ国会

別所:今ちょっと選挙制度の話が出ていますので、選挙制度についていうと、確かに衆議院と参議院の選挙、小選挙区と比例区のあり方はもちろん違っているのですけども、それだけではなくて、実は二院の任期が違っているのだというところの差もあるのだというとふうに認識しているのですけれども。
参議院の場合には一度当選すると6年間の任期を全うしていただくことになっていて、一方で衆議院は4年間という任期はありますけれども、途中で解散というようなことも起きる仕組みにはなっているというところで、任期の違いもあると思うのですけれども、その任期の違いとか選挙区の違いを乗り越えて1つに統合したらという水野さんは、そのあたりはどういうふうにお考えなのでしょうか。

水野:参議院の任期が6年というのはですね、衆議院は4年だけども途中で解散というのは憲法で決まっているわけですから、当然、われわれが考えている一院制というのは、憲法改正を前提としていますから、一院のなかでは当然ある議会議員だけは4年である、ある議会議員は6年、こんなことはありえないのであって、任期はみんな統一するということを前提としていますよね。

別所:なるほど、わかりました。
そこも合わせて統合をするということが望ましいのではないかということですね。

水野:私はそう思いますね。
任期は何年がいいか、どういった形で統合すればいいかというのはいろんな議論があると思います。
6年というのはたぶんきれいな言い方をすれば、長期的な視野で考えられる、目先の利益に惑わされずに長期的な大所高所からものを考えられる、そういったプラス面はあるように思います。
ただ逆にいうと、選挙の洗礼は6年間経ないわけですよね。
つまり、有権者の洗礼は経ないって安全地帯にいるような形になるわけですね。
それがどこまで望ましいのかっていうのはいろいろと考えていかなきゃいけないとは思っていますし、私自身は6年間というのは参議院議員である立場であればありがたいと思う反面、ちょっと安全地帯にいる参議院側が政局のなかで影響があってというのはどうなのかという思いも半分ありますね。

別所:わかりました。
今、水野さんの方から任期についてお話が出たのですけれども、二院制を敷いている1つのメリットはたぶん参議院が安定しているというところにあるとは思っているのですけれども。
水野さんがおっしゃるように、政局とかがあったときに参議院は逆にそこに巻き込まれない状態でもあると思うのですけれども、そこは中川さんの方のお考えでは、衆議院の方が多数党というか、世論を的確に反映してどこが与党になるべきかが決まっていくベースになるので、その違いはやはり維持すべきだとお考えでしょうか。

中川:いや、参議院の方も任期は6年といいましても3年ごとに半数改選になっているわけですね。
衆議院の方もだいたい任期は4年ですけど解散が途中でありますから、平均すると衆議院議員の任期は3年くらいになっていると思うのです。
参議院の方は解散がないわけなので、衆議院の方は政権が一番有利な時に解散しようと思うわけですけれども、参議院の方は時期が決まっていますので、どんな状況になろうとも選挙が行われると。
これは1つの大きな特色だと思いますね。
衆議院の多数党、これが暴走する。
あるいは、政権が衆議院の多数党をバックに非常に強引なことをやってくるということになれば、解散はしなくても、だいたい途中で参議院議員選挙が入ってくるので、そこで有権者から審判を受けて、すでに問題になっているようなねじれが何度も起こっているわけですね。
自民党の福田内閣、麻生内閣の時もねじれていて、民主党政権になりましてからも菅内閣、野田内閣がねじれて、安倍内閣も最初はねじれていましたけれども今回解消されたということですが、結構、参議院議員選挙によってねじれるという状況が出てきますから、そういうことを考えると、途中で審判を受けることになれば、おのずと自制することになると思います。
今、自民党政権と民主党政権で政権交代を経験したのですけれど、結構、政策がぶれましてね。
右と左とかよく言われますが、ねじれが途中で起こったものですから、民主党政権もですね、本来の民主党の考えていることが実現できない。
しかし逆に言えば、国民の意思でもあるわけですよね。
ねじれを起こしたということで、十分に民主党のイデオロギー的な政策もストップしてしまったということがあるわけですが、これがもしなかったら、かなり私は強引な運営がなされて、今度は衆議院選挙で仮に政権交代ということになると、またガラッとひっくり返ると。
次の選挙でまたという形になると本当にいろんな面で法的安定性が害されますし、国際的にみて日本という国がどういう国なのだということにもなる。
途中で3年ごとに参議院選挙があるというのは、非常に自制ということにつながって、結果としてそうぶれないでくると思うのです。
ただ、なんでいろいろ問題が提起されているかといいますと、ねじれ下で、たとえば自民党の前の政権の時に日銀総裁の同意人事を否決する。
日銀総裁が不在、副総裁にいたっては200日不在になったということですよね。
そういう同意人事を使って政権を揺さぶる。
それから、総理だ、閣僚の問責決議案を乱発する。
これはやっぱり自民党政権の時も民主党から政権を追いつめるための手段としてねじれを使って相当厳しい状況に追い込められて苦しんだわけですね。
今度は民主党政権になってねじれたら、自民党も同じ手を使ったという批判が出ているわけです。
ねじれを政争に使う。
これが国民の目から見ると、せっかくねじれを起こしたというのは、極端に振れる政策をある程度慣らしていく、均衡していく、抑制していくという国民の意思とは違う結果になっているので、非常に「何だ」っていう批判が出てきていると思うのですね。
ねじれを使ってあまりにも党利党略で追い込んでいくのはやるべきではない。
それは自民党も民主党も政権交代を経験して、ねじれを経験して、苦しんだ経験もしたわけですから、大人になったと思うのですね。
ある意味では、過渡期としてこれからはねじれが起こっても真摯(しんし)に乗り越えていく努力をしていけば、二院制の良さっていうものは、国民のみなさまにもよく理解していただけるようになるのではないかなと思います。

別所:お二人の意見をそれぞれおうかがいして、一院制、二院制の背景にはいろんな考え方があるのだということがわかってきました。
ただ現行では、先ほど水野さんがおっしゃったように、憲法を改正しないと、一院制、二院制という問題は解決しないこともあります。
一方で、中川さんがおっしゃったように、国民は今の二院制をもしかしたら上手に使っていろんな意思表示をしているのかもしれないと。
そういうことを前提に今の現行の憲法下でどういうことができるのか。
どういうふうにしていけば、本来、期待されている姿に近づけるのかというようなことをお話しいただければと思っております。
次に、現行憲法下で改善できることは何かということをお話しいただければと思います。