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個人情報保護法改正の議論に向けて、いま必要なこと

2013年9月から開催されてきた「パーソナルデータに関する検討会」(内閣官房IT総合戦略本部)において、パーソナルデータの利活用に関する制度見直し方針のとりまとめに向けた議論が進められています。2013年11月22日に開催された第4回会合の資料として、事務局案が公表されました。

「パーソナルデータに関する検討会」は、2013年6月14日の閣議決定「世界最先端IT国家創造宣言」に基づき、同宣言が目指すところの「ビッグデータ利活用による新事業・新サービス創出の促進」を実現するための具体的な施策である、
・個人情報やプライバシー保護に配慮したパーソナルデータの利活用のルールを明確化
・個人情報保護ガイドラインの見直し、同意取得手続の標準化等の取組
・第三者機関の設置を含む、新たな法的措置も視野に入れた制度見直し方針(ロードマップを含む)の策定
などを行うものとして設置されました。

第4回会合の資料として公表された制度見直し方針の事務局案では、
・「一定水準まで個人が特定される可能性を低減した個人データ」という類型を新たに創設し、「柔軟な取扱いを認めるとともに、これを取り扱う事業者が負うべき義務を法定する」こと
・「独立した執行機関(第三者機関)を設置する」こと
の2点を柱として、個人情報保護法を改正することが明確な方針として示されています。しかしながら、保護の対象が現行個人情報保護法の「個人情報」・「個人データ」からどのように変更されることになるのか、第三者提供することなく単にデータを保有し活用する場合における規制は変更されるのか、変更されるとしたらどのように変更されるのかといった、情報保護に関する法規制の核心となるべき事項(当然、法改正の議論において中心的に議論されるべき事項)については、あまり触れられていません。このことは、検討会における議論が、(おそらくはSuicaの履歴販売が問題視されたことなども踏まえて)「事業者が保有する情報を第三者に提供する場合のルール整備」を中心に行われたことによるものであると思われます。
しかし、「個人情報やプライバシー保護に配慮したパーソナルデータの利活用のルール」の明確化という当初の目的に照らせば、「事業者が保有する情報を第三者に提供する場合のルール整備」だけでは不十分です。「保有する情報を第三者に提供する場合」とは、「情報を取得する場合」や「取得した情報を処理する場合」などと並んで、プライバシーが問題となり得る場面のひとつに過ぎないからです。検討会は、2013年12月10日に最終の第5回を迎えますが、最終回にてもっと幅広な議論がされるのか、気になるところです。

制度見直し方針のロードマップによれば、2014年早々から個人情報保護法改正に向けた大綱の作成作業が行われ、半年後には大綱が取りまとめられる予定とされています。検討会で議論の深められなかった論点は、この大綱の作成作業において議論されていくのかもしれませんが、半年という期間は非常に短い期間です。その中で、わが国が産業面において他国から遅れをとることなくデータの利活用を図りつつ、真に適切妥当な法制度の実現につなげるためには、プライバシーの保護という価値と情報の利用・流通という価値のバランスをどのように実現するのかということについて、多くの人の意見を反映させ、より突っ込んだ検討が行われることが必要です。プライバシーの保護または情報の利用・流通のいずれかに偏ることなく、バランスのとれた制度としていくには、は、実際にデータを利活用している事業者を含め、実態を踏まえた幅広い観点からみんなで議論を行っていくことが必要です。

日本におけるデータ利活用による新事業・新サービスの創出が進むかどうかは、2014年6月に公表される予定の大綱の内容にかかっていると言っても過言ではないほど、日本はいま、重大な岐路に立っています。日本においてデータ利活用による産業振興の道が途絶えてしまうことのないよう、この問題を事業者自身ももっと真剣に考えて、自ら議論を巻き起こし、そこからより広く、深い議論につながって行くことを切に願います。