Yahoo! JAPAN 政策企画

「日経電子版カンファレンス 成長戦略を実現するデータ活用とプライバシー」が開催されました

以前、このブログでも紹介した「日経電子版カンファレンス 成長戦略を実現するデータ活用とプライバシー」が、12月19日(木)に開催されました。
今回は、このカンファレンスの概要を紹介します。

まず、基調講演として、米国ホワイトハウスにおけるインターネット政策のDeputy Chief Technology Officerを務め、2012年2月にホワイトハウスが公表した消費者プライバシー権利章典の草案にも携わったDaniel J. Weitzner氏から、米国におけるプライバシー保護の取り組みについてプレゼンテーションが行われました。
米国では、FTC(連邦取引委員会。日本でいう公正取引委員会のような機関。)が企業に対してプライバシーポリシーの制定を求め、これに基づく企業と消費者のコミットメント違反を取り締まるという方法がとられていることや、マルチステークホルダーによって策定された行動規範を業界が受け入れ、それを順守することでプライバシーを保護し、行政はそれが守られているかを監視するという仕組みなどについて紹介されました。

次に、事例講演として、Yahoo! Inc.のJustin B. Weiss氏から、EUと米国のプライバシー保護に対する考え方の違いや、EU・米国以外の地域におけるプライバシー保護の状況についてプレゼンテーションが行われました。
EUでは予め規制をすることでデータの流れを限定していて、米国ではデータが流れやすい環境となっているのは文化的な違いなどからきていること、また、中南米やその他の地域などでは、かつて植民地であったことの影響から、EU的な制度を導入する傾向があることや、取引上EUとの関係で下請け的な立場にある国が、経済的な取引を維持するためにはEU的な制度を求められ、導入せざるを得ないといった背景について紹介がありました。EU的なプライバシー法の導入にあたって、インターネットが登場する以前に制定された古いEUの制度に倣ったものとなってしまっているといった課題も取り上げられました。
このような各国、各地域の背景の違いを踏まえ、普遍的な国際ルールを求めるのではなく、相互運用性を求めていくべきとの意見で締めくくられました。

そして、二つ目の基調講演として、慶應義塾の駒村圭吾氏から、憲法学の観点からプライバシーの権利について紐解く講演が行われました。
プライバシーの権利を自己情報コントロール権と捉える考え方もありますが、この考え方を認め、社会に流れる様々な自己に関する情報について権利主張が行われると、社会生活や秩序に支障をきたすおそれがあるとの課題が提起されました。
また、プライバシーの中には、コアなものとそうでないものがあり、コアなものは守って、それ以外は事後的にメンテナスするというように分けて制度化すべきで、消費者も、コアなものとそうでないものを分けて、情報発信すべきという指摘がなされました。

最後に、日本経済新聞社の小柳建彦氏をモデレーターとして、柴山昌彦衆議院議員、向井治紀内閣官房審議官、三木浩平千葉市CIO補佐監、弊社執行役員の別所直哉によるパネルディスカッションが行われました。
パネリストから、それぞれ政府、自治体、企業におけるデータ活用やプライバシー保護についての取組が紹介されたのち、データがどのように活用できるかは、実際に活用してみなければ分からないため、試行錯誤できる環境を作ることが重要という意見や消費者によりよいサービスを届けるために官民でのデータ連携が重要といった意見が出されました。
また、今後政府で作成されることとなる個人情報保護法改正の内容をまとめた大綱の作成については、プライバシーは多様なものであるため、政府の検討状況を明らかにした上で、消費者をはじめとした様々なステークホルダーの参加によるマルチステークホルダープロセスによって検討してくことが重要という意見が述べられました。

このカンファレンスが行われた翌日12月20日(金)に、政府は、パーソナルデータの利活用に関する制度見直し方針を決定しました。この方針に基づいて、今後、個人情報保護法改正の内容をまとめた大綱の作成に向けて、議論が行われていく予定です。
今回のカンファレンスが、この大綱の検討に一石を投じるものとなることに期待するとともに、様々なステークホルダーの方々が、この議論に積極的に参加するきっかけになれば幸いです。


(2014年2月6日追記)
「日経BizGate」にカンファレンスの採録特集が掲載されました。こちらもぜひご覧ください。