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行政による事実上の立法

各省庁が所管している法令がどのように適用されるのかを明らかにし、関係者の予見可能性を高めるために、各省庁によりガイドラインや準則、手引きといったものが作成されることがあります。

このようなガイドラインなどは、難解な言葉で記載されている法令を解釈するうえで参考になります。
新しいサービスをリリースする際に特定の法律に違反していないかを確認するために問題になりそうな法令のガイドラインなどを法令の原文とともに確認することがありますし、契約書を作成する際にも国税庁の「印紙税の手引」や公正取引委員会・中小企業庁の「下請取引適正化推進講習会テキスト」を参考にすることがよくあり、重宝しています。

一方で、各省庁が作成しているガイドラインなどの中には、法令の解釈からは一義的に導かれない新たな規範を定立してしまっているのではないかと疑われるものも目にすることがあります。
もちろん、三権分立の下では、各省庁が立法権を行使し法律を制定することはできませんので、行政権の行使として作成されるガイドラインなどに記載されている内容が法律とは離れて関係者を法的に拘束することはあり得ません。
しかし、国の行うことに間違いはないであろうという認識や、あえて各省庁の考えに反することを行いたくないという考えから、本来法的な拘束力を有しないガイドラインなども強力な影響力を有し、関係者は事実上その内容に拘束されます。

法の支配の観点からすれば、各省庁は法令に基づいて行政権を行使しなければなりませんので、もし、各省庁が作成しているガイドラインなどで法令の委任の範囲を超えて関係者の権利を事実上侵害することがあれば大きな問題になります。

その意味でも各省庁には、ガイドラインなどを作成する際は、関係者の意見をよく聞いて、世の中の実態を正しく理解し、不当に権利を侵害することのないよう慎重に行っていただきたいところです。

また、ガイドラインなどは一定の指針として役に立っており、ガイドラインなどを参照することは重要ですが、ガイドラインなどを使う側にも、ガイドラインなどは目安、参考資料という性質ものに過ぎず、拠りどころとして限界があるということを理解し、自ら根拠法の原文を的確に読み解いて考えるという姿勢を保つことが求められています。

カテゴリー「法の支配・権力分立」の記事

  • 行政による事実上の立法 (2014/02/20)