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熟論3【6】震災の風化について

古閑:それでは、最後のテーマに移ります。震災の風化についてです。3月で震災から丸3年。昨年あたりから震災の風化という言葉を報道やメディアの中で目にする機会がでてきました。たとえばそれは、国会議員が被災地を回る頻度が減った。ボランティアが集まらなくなった。メディアが扱う情報が減少しているなど、いろいろな形で語られ始めています。
こちらのフリップをご覧ください。ヤフーが運営する震災復興サイトのアクセス状況です。

風化について Yahoo! JAPAN復興支援サイトへのアクセス(震災1年後の平成24年3月のアクセスを100とした場合の推移)

もう1つ、こちらは全国社会福祉協議会がまとめているボランティア参加人数の推移です。もちろん、時間の経過とともにボランティアのニーズや必要とされる人員は変化している背景はあるものの、単純に参加人数の推移を見てみると、こちらも同じような傾向を示しています。

風化について 災害ボランティアセンターで受け付けたボランティア活動者数の推移(仮集計)

復興は、宮城県10か年、岩手県8か年、福島県10か年。各県が8年、10年といった長期計画で復興に取り組んでいます。長期的な計画の中における最初の3年は計画の序盤に位置します。たとえば、宮城県の復興計画をみると、計画全体を3期にわけていて、平成25年までの第1期を復旧期として位置づけています。岩手県の復興実施計画をみても同様です。平成25年度までは第1期の基盤復興期間と位置づけています。復興は長期戦という前提で計画が進められている中、まだ3年というタイミングで風化という言葉が躍ってしまっています。

風化について 宮城県震災復興計画 計画期間:平成23年度~平成32年度(10年間) 岩手県東日本大震災津波復興計画 計画期間:平成23年度~平成30年度(8年間)

各県が取り組んでいる長期的な復興計画も踏まえて、風化という言葉に対して何か感じられることはありますか。秋葉議員、いかがでしょうか。

秋葉:そうですね。まだまだ3年たっても大変な状況は変わっておりません。宮城県の計画にあるように、まずは生活基盤の復旧から再生していこうと、本格的に今年からまた始まっていくわけですが。一時に比べると、ボランティアの皆さんの数も関心も低下してきているのではないかと思います。ぜひ皆さんに関心を持っていただいて、安倍総理にも就任以来必ず、月に最低1回は、被災地の現場に足を運んでいただいております。国会議員も関係者だけでなく、足を運んでいただくことが大事だと思います。 今日、このヤフーのスタジオに入ってきたら、石巻工房の素晴らしいこの椅子とソファーと机がありました。また、出演前にいただいたお弁当も宮城県産で、一部を被災地に寄付もしていただいているということで、こういう地道なことを、継続していくことがすごく大事だと思っております。新たなステージの中で、新たなボランティアのニーズがあります。特に今は、お年寄りの話し相手になっていただく。あるいは、被災地の中でいわゆる学力や体力面での格差。学力の面では、転校した子どもたちが登校拒否になってしまったり、体力の面でも、運動場に仮設住宅が建っていて十分遊べないとか。いろんなそういった格差であったり、ひずみであったりというのがまだまだあります。そういうところで遊び相手になっていただいたりするだけでも全然違うと思います。私の地元などでもたくさんのボランティアの方が熱心に活動していただいていますが、その中でたとえば「おもいでかえる」というNPOがあって、3年たった今でも津波で流された写真をきれいに洗って、持ち主を探して届けるという活動をしていただいています。もらった人は涙流して喜ぶわけです。
それからもちろん、地元の自治体においても風化させることなく、全国に発信させていくという意味で、たとえば震災以降については、それぞれの市町村でどういったものを残していくのか。そしてまた、政府としても残すにあたっての初期費用をしっかりと援助させていくことも決めました。
非常に今回の震災で印象に残っているのは、岩手県は何百年前の津波ではここまで波がきたということで、石碑が示すところが結構あります。実際、宮城県も同じように三陸沿岸、被害に遭っていますが、意外とないです、宮城県は。ですからこれも県の事業の中で、ここまで波がきましたよというプレートを30カ所以上設置してもらう。また、それぞれの自治体によって何を残していくのか。そして、何を伝えていくのかという取り組みもスタートしました。これは、今後懸念される南海トラフへの教訓としても、あるいはさまざまなマニュアルとしての対応という意味でも、風化させることなく、語り継いでいかなければいけないと思っています。

古閑:そうですね、ありがとうございます。今、被災地の自治体のお話もしていただいたところですが、被災地側からみた風化というところですが、陸前高田市の久保田(崇)副市長。あるウェブ上の連載記事ですが、震災に関わる報道の減少と被災地からの情報発信の重要性、情報発信のうまい下手で自治体への支援にも格差が出ているということを語っていらっしゃいます。

風化について ダイヤモンド・オンライン 復興通信 被災地のいま 岩手県陸前高田市 久保田崇副市長による記事より引用 現在、被災地以外では震災の記憶の風化が進んでいます。震災から1年5ヶ月が経ち、明らかに昨年より報道が減っています。(中略)私はこうした状態であることを、もっと被災地の側から発信していかなくてはならないと思っています。そうでなければ、外から支援も頂きながら早期に復興することができないからです。
風化について ダイヤモンド・オンライン 復興通信 被災地のいま 岩手県陸前高田市 久保田崇副市長による記事より引用 震災後1年以上が経過して震災の記憶の風化が進む中で、被災地の現状を外部にうまく伝えられている自治体と、そうでない自治体に分かれつつあると感じます。ニュース報道が多い、情報発信が巧みな自治体は、海外や支援団体からも多くの支援を頂くことができ、より復興が進むというのが、現実ではないでしょうか。

このため、陸前高田市は、このようなフェイスブックのページも作っていらっしゃいます。フェイスブックページを作って、ここから積極的に情報発信をしたり、全国を飛び回って陸前高田市の状況を伝えるといった活動をされています。

風化について 岩手県陸前高田市 Facebook ページからの情報発信

風化の対策として被災地からの活動が重要と久保田副市長はおっしゃっているわけですが、平野議員はこうした被災地からの活動については、どうあるべきとお考えでしょうか。

平野:まず、その前に風化をどのように定義するかですが、被災直後に比べて報道が少なくなるとか。あるいはボランティアの数が少なくなるというのは、ある程度しょうがないことだと思います。
しかし、その一方で、被災地の取り組みは、これから実施段階という新たな段階に入っています。いろいろな意味で土地の問題、それから資材の問題、人員の問題等々で克服しなければならない課題があります。そういった意味で、まずは復興庁と被災自治体がしっかりとした問題意識を持つということと、それから行政レベルで、この地域の取り組みはやはり長期化するのだということを理解していただいた上で、特に東京都は被災直後から非常にたくさん人を派遣していただきましたし、それは神戸市、兵庫県もそうです。それから全国の自治体でも、いまだにずっと人員を派遣していただいているところありますが、その体制をしっかり維持していくということ。むしろ、ないものねだりみたいになりますが、もう少しこれから人を増やしてもらいたいぐらいの思いはありますから。なかなかここまでいかないのですが、そういった体制をしっかり維持しながらですね。
それから、復興庁の職員、県の職員はとにかく地元を回るということ。NPOは、今まで以上に大切にしなくてはいけないと思います。こういった方々との連携を深めていくことが大事だと思います。その上で、被災自治体も今こんな取り組みをしていますよ、とホームページを作成したり、さまざまな情報発信をしていくことはぜひやっていただきたいと思います。
ただ、根底にあるのは土地の面積、権利移転する、権利調整をするという、その面積だけでも空前のスケールでやるわけです。こういったことにしっかりと国として、あるいは各自治体として支えていくこと。この視点を、ずっと持ち続けていくことは、ぜひ復興庁の役割として、ウォッチをしていただきたいと思います。
もう1つ、秋葉委員長おありですが、国会とすれば、復興特別委員会はもっともっとやっていいですね。あれをやりますと、地元のマスコミは報道します。国会でこういう議論があった、やっているよ、ということを、もっと頻繁にやるだけでも、地域に対して元気を送るメッセージにもなってきます。こういったことも、私は今、野党ですが、ぜひやっていただくよう国会では語りかけていきますので、よろしくお願いしたいと思います。

古閑:秋葉議員、いかがでしょうか。

秋葉:おっしゃるとおりでございます。今、司司と常任委員会で復興に関する議論も行われてはいますが、やはり主戦場はこの特別委員会ですからね。精力的に開催をしていきたいと委員長としては思っているのですが。なかなかこれは国対(国会対策委員会)という場所で決まるものですから、ぜひ平野元大臣からも開くようにどんどん国対に要請いただければ。私自身は本当に活発にやっていきたいと思っております。年末も1泊2日で被災3県も視察をさせていただいて、今の根本(匠)復興大臣も常に言っているように、解は現場にありということで、答えは現場にありということです常に現地・現場に足を運びながら、生の声を常に拾っていくという姿勢が大事で。そして、それを、国会という場で議論をして、アピールしていくということが何よりの風化の防止だと私も思っていますので、極力開催していきたいと思っています。

古閑:ありがとうございます。やはり、自治体、被災地の自治体が頑張らなければならないというのはあるとは思いますが、体力的にもばらつきもあるかと思いますので、国ですとか、他の自治体とか、あるいはNPOとか、あるいはメディアも頑張っていかないといけないと思います。高木議員はこの点いかがでしょうか。

高木:そうですね。私はまったく風化という印象がないですね。確かに、風化と風評被害と2つの風との戦いと、うちの井上(義久)幹事長は常々話をされています。私たち国会議員の活動からいえば、もう被災直後から私は企業再建支援チームというのを党内につくりまして、その座長で仮設店舗、仮設工場、それからグループ補助金とかずっと提案しながら地元の議員と一体となって現場の声をみんなで政治に反映させてきたという自負があります。その時は、最低月1回は行こうという話だったのですが、もう最近は月2回以上です。多い時は、毎週のように福島に足を運びまして、先ほど話ありましたが、NPOの方にお会いしたり、仮設住宅を訪問したり。いろいろなことがありまして、そういう意味では、これからがむしろ私は本当の支援の大事な段階を迎えたと思っています。 そういう中でこの情報発信、現地からというそれも大事な取り組みで、復興がどこまで進んでいるのか。どういうことが今現地の課題なのか。そうしたことをはっきりと自治体から出していただくということも大事ですし。またもう一方で、やはりテレビとか報道機関におきましても、地元の地方局で作っている番組とかいろいろあると思いますので、もっとそれをCS、BS構いませんから、そうしたところを使いながら全国に、世界に発信していくという視点はぜひ強化をしていただきたいと思います。 先ほど東京都の取り組みという話がありまして、東京都としても東京にしっかり発信していこう。私が最初に郡山の商工会議所に3.11の後、入りまして、全壊したビルの1階で話を聞きました。開口一番に言われたのは、「東京電力福島第一原子力発電所なのです。東京電力なのです」と。自分たちが使っている電力は東北電力なのです。首都圏に電気を送るためにこの発電所がありますと。ここから福島の2文字を取ってもらいたいと強いご要請はその時でした。その時、私は東京の比例区選出の議員として、これはずっと福島のために恩返しをしなければ申し訳ない。そういう思いで取り組んでまいりまして、東京都もいち早く3県に対して、まず現地事務所をすぐに都議会議員が入りまして開設をしました。地元に行けば、要請がわかるわけで、そこで災害廃棄物、がれきの都内の処理施設で受け入れをする。真っ先に表明をしまして、合計17万6,000トン、これもほぼ間もなく終わるというところになっています。延べ3万人を超える都の職員も派遣。また、今は被災地応援ツアーというのを始めまして。ともかく行っていただこうと。私たちは食べて応援、行って応援、買って応援、こうした食べて行って買ってというこの応援を皆さまに呼びかけようということで、1泊3000円、これを5万泊分助成しますと。また、24年度は福島だけに絞らせていただきまして、1泊3000円で4万泊。25年度は2万泊になっております。日帰りも助成をするということで進めています。また、「ふくしま⇔東京キャンペーン」の展開ということで、福島の県産品と観光のPRを駅とかいろんなイベントの施設で継続的に展開していこうということで、こういう支援をずっとやらせていただいております。これからもさらに進めていきたいと思っています。

古閑:ありがとうございます。

高木:国と都としっかり力を合わせて、現場のニーズをうかがいながら、寄り添って頑張っていきたいと思います。

古閑:ありがとうございます。こういった形でいろんなところでいろんな動きがあると、メディアがそれを取り上げてというようなサイクルになってくるので、そういった形で風化が進まないようにということは、みんなで取り組んでいかないといけないことだということがよくわかりました。先ほどお話にでました震災復興特別委員会でも、引き続き積極的なご議論をお願いできればと思います。

秋葉:そうですね。

古閑:では、ありがとうございました。