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熟論3【5】福島避難生活長期化

古閑:次は福島避難生活長期化についてご議論いただきたいと思います。福島に関する課題に特化してお話をうかがいたいと思います。国の原子力災害対策本部は、平成25年12月20日に、

福島避難生活長期化 福島の復興・再生を一層加速させるため、3つの方向性 1 早期帰還支援と新生活支援の両面で福島を支える 2 福島第一原子力発電所の事故収束に向けた取組を強化する 3 国が前面に立って原子力災害からの福島の再生を加速する(国と東電の役割分担)

「原子力災害からの福島復興の加速に向けて」という書面において、福島再生に向けた国の大きな方針を示しています。
この中では、大きく「1早期帰還支援と新生活支援の両面で福島を支える」ということ、「2福島第一原子力発電所の事故収束に向けた取組を強化する」ということ、「3国と東電の役割分担を明確にした上で、国が前面に立って原子力災害からの福島の再生を加速する」ということが示されています。(フリップ12)原発の事故収束に向けた取り組み、東電と国との役割分担といった点は日々ニュースで取り上げられていますので、ここでは1つ目の早期帰還支援と新生活について詳しく掘り下げたいと思います。

福島非難長期化 早期帰還支援と新生活支援の両面からの福島支援

国が設定している帰宅困難区域を念頭とした、福島に帰還せず、避難先で新しい生活基盤を築くという選択肢への支援が打ち出されています。
皆さまに伺いたいのですが、このタイミングでこうした方針が示されたのには、どのような背景があったのでしょうか。高木議員、お願いいたします。

高木:昨年、政権交代の後、私たちは3回にわたって、提言を出してきました。与党として出してきました。いつまでにその地域に帰れるのか。それから、帰るとしたら、どれだけの賠償が受けられるのか。そうした総額を示すべきだという多くの方たちからのご意見を受けまして、11月に3度目の提言を出したところです。ご存じのとおり、8月にはすでに避難指示解除準備区域、この調整が全部終了しましたので、福島の復興は新たな段階を迎えたと思っています。 ただ、今もう現実に、この2番のところになりますが、

福島避難生活長期化 非難指示区域の概念図

お子さんの学校とか、それから仕事の関係で、避難している間にその地域に根を張ってしまいつつある。従って、地域に帰りたいけれども、もう帰るわけにはいかない。新しい生活を始めたいという、そういう方たちも今、借上住宅とかそういうところにお住まいですから、本格的に始めるとしたらどれだけの賠償が受けられるのかという悩みがあります。そうしたことをパッケージで、これはもう全部ご判断いただく材料を提供しようではないかということを強く要請をいたしまして、そこで今回の出された指針は、1つはこれから帰りたい、帰還するという方たちに対して、当然そこには住宅の修繕とか、建て替えとか、いろいろなことも必要になりますから、その時の賠償の追加とか。また、健康不安もあります。その放射線量の中でどのようにしていけばいいのかという不安に対する対策とか。また、その地域をつくるための新しい交付金の創設とか。そうしたことをしっかりと、帰還に向けた支援策を盛り込んだというのが、まずこの1番目です。
この2番目のところは、今申しあげたように、帰還できない状態がもう長期化しています。ふるさとと別の地域で新しい生活を始めたい。その方たちが移転先とか移住先とか、そういうところで新しい生活の選択も可能になるような賠償を追加していくという支援策の拡充も打ち出したというのが今回の内容になります。
ですから、ここからはそれぞれのご家族がどのように判断されるのか、ということになるのですが、ご家族の中でもおそらく、お一人お一人お考え方が違う場合もあります。また、いったんは新たな生活を始めるけれど、将来は帰りたいとか。いろんなケースが当然あると思います。その一つひとつにどういう答えを出していけるのか。具体的な賠償の申請の仕方については、3月ぐらいをめどに検討していると聞いていますが、いずれにしても何らかの判断材料をはっきりと出させていただく。そして、震災からもう3年ですから、それぞれに新しい生活をどこでどう始めていただくのか。そこを、お考えをまとめていただくという、そういう時に入っているのではないかと思います。
先日も浪江の議員の方たちとお会いしました時に、住民の意向調査をしました。「帰りたい」という方は37.5%、「判断できない、どうしていいかわからない」という方が37.5%、「帰還しない。するかもしれない」という方合わせて75%という状況とうかがいました。おそらくその中で、私たちもこういう方向性が指し示されましたので、これに基づいて、あとはお一人お一人に寄り添わせていただきながら、おそらくこれから相談事業が一番、東電も、また自治体も大事になってくると思いますので、その支援をしっかりとさせていただきたいと思っております。

古閑:ありがとうございます。秋葉議員もご理解としては同じような形ですか?

秋葉:そうですね。今、高木先生がおっしゃったとおりですが、間もなく震災から3年になる中で、いわゆるこの帰還困難区域にお住まいだった方が10万人以上いらっしゃいます。その中には、アンケートの中にも示されたとおり、戻りたいという方もいますが、もう新しいところで新生活を始めたいというニーズがアンケート上は一番大きいのですね。ですから、その人たちのニーズにもしっかり応えていくべきタイミングなのだろうということで、こういった強化策が打ち出されたわけです。

古閑:なるほど。アンケート結果にも、そういったご意見が反映されていたのですね。

秋葉:アンケートといいますか、地元のニーズですね。要望に応える形で、実態を踏まえた対応を取らせていただいて。やはり新生活を一歩新しく始める人にも、十分な支援策を講じていくというメニューを充実させたということです。

古閑:はい、わかりました。平野議員は何か補足等ございますか。

平野:まず、帰還困難区域ですから、まだ放射線量がかなり高い地域ですね。地域によっては50ミリシーベルト以上の、あるいは100ミリシーベルトぐらいのところもまだあります。そういう中で、帰還のめどがなかなか国としても立てられないというところが今、本音だと思います。
それからもう1つは、帰還困難区域は今の原発のサイトに近いです。今、原発の廃炉に向けてさまざまな作業をやっているわけでありますが、汚染水の対策についてもまだ、残念ながらしっかりしためどが立ってないという中で、住民の方々は、本当に帰れるのかどうかということに対する不安をずっと持ち続けています。ですから先ほど浪江町のお話が出ましたが、75%の方々が帰れるのか帰るのかわからないという気持ちを抱いている。
もっと原発のサイトに近い大熊町については、匿名の調査ですが、5割ぐらいの方々がもう今の段階で帰らないと決めているわけです。これは私が復興大臣やっている時もそうでしたが、この状況はやはりしんしに受け止めなくてはならない。むしろ帰るということを積極的に推奨して、そのための準備をやると同時に、帰らないというような、これは非常につらい判断だと思います。厳しい判断だと思います。そのことを踏まえた上で、しかしやはり新たな生活を始めたいという方々については、それなりの支援をするということで、今回出したわけです。これはこれで、政府としてもある意味でつらい判断でありますが、現実的な対応ではなかったかと思います。
それから、もう1つは、原発のサイトの廃炉に向けた工程が、一応工程表は示されていますが、現実味を持った工程表にはまだまだなっていません。このことについて、汚染水対策から、こういった対策を示していかないと、特に近隣の地域にもともと住んでおられた方々はやはりもうあそこにはなかなか戻れないと判断する人が増えてくるのではないかなという感じを持っています。これは本当につらいことなのですが、そういった意味では、放射線のレベルを除染等々で下げられるところは下げると同時に、廃炉に向けた計画をきちんと示し、その状況を説明して、被災者の方々がこういう状況になっているのだという判断ができる状況をこれは私らの時もなかなかできなかったことですが、政府の責任としてやっていくことも必要だと思います。

秋葉:去年、12月の臨時国会で東日本大震災復興特別委員会を開催した時に、委員長として印象深い議論の1つが、帰還困難区域については、非常につらい選択にはなるけれど、なかなか帰るのは難しいのだということを、いつのタイミングかで決断すべきではないかという。そういう意見が与野党問わず、福島選出の議員からもそういう質問が出たり、要望があったりしている実態もあるのです。
ですから、順調に放射能が低減をして、そしてまた廃炉に向けた取り組みも、今政府が前面に出てグリップしていこうということにして、われわれも12月、現場視察に委員会で行ってきました。着実に進展はしているのですが、いろいろなニーズに応えていく。その答えを出していくのが政府の役割だとは思いますが、原発近隣地域についてはそういった判断も必要になってくる時期があるかもしれません。

古閑:そうですね。

平野:秋葉先生の発言に関連してですが、福島に行った時にいろいろな避難者の方々からいろいろな意見をいただいたのですが、その中でいまだに忘れられない、こういう意見がありました。
この方は大熊町の方で、もともと原発のサイトの近くに住んでいる方です。その方、実はもう帰らないと決めているのです。その方に言われたのは、「私に帰らないという判断をさせないでくれ」と。つまり、自分がその地域を捨てたということになってくると。平野大臣、あなたあそこに帰れると思っているのかと。本当に帰れると思っているのなら、そのことを説明してもらいたいといわれたのですが、私のとこは説明できなかったのです。その中で、帰れますよといいながら、実は被災者の方々に、その選択を迫っているという面もあるのだと。これは復興庁、復興庁の職員には、私が大臣の時に何回も言いましたが、このことをよく頭に入れながら、帰還計画というのを作らなくてはなりませんし、被災者の方々の思いが何を考えておられるかということをしっかりつかみながら対応していただきたいと思います。

高木:今、平野議員おっしゃったのは、そのとおりで、先ほどコミュニティの再生というお話がありましたが、その地域のつながりが深くて。双葉の方たちが加須に避難されている、その避難所に何回かうかがいました。本当にみんなと一緒にいるほうが安心だとおっしゃいながら、そこで暮らしていらっしゃる。本当に長期にわたってそこに暮らしていらっしゃいました。その方たちがこれからどうするか。中にはご高齢の方も多くいらっしゃる。また、子どもたちをどうするかという方もいらっしゃる。先ほどもご家族の中でも考え方がそれぞれバラバラだと思うという話を申しあげましたが、本当に苦渋の選択を強いなければならない。そのことに対して、国としても本当に申し訳なく思っています。
ただ、それをこれからの生活というところも考えていただかなければなりませんので、たとえばお帰りになると決めても、ご自宅はもう野生動物に踏み込まれてとても住める状況ではないとか。この間もイノブタの被害の話が報道されていましたが、そうしたところをどのように対応していくのかとか。さまざま課題が多くある中で、これからもう1回、町をつくる、コミュニティを作るという、そういうところに踏み込むのだということを、私たちも心して支援をしっかりとさせていただきたいと思います。

古閑:わかりました。私も南相馬の方から選択をするつらさを拝聴したことがございまして、やはりもう3年たつところですし、現実を正面から受け止めて、新しい生活を余儀なくされる方がいらっしゃるのであれば、そういった取り組みもこういった形で出していただけるというのは、今求められていることなのかなと思います。
ただ、今回の施政方針演説の中で、特段この避難先での定住化に関する取り組みについて、あまりふれられていなかったかなという感じもしましたので、どの程度この政策を重視されているのかと思う点もあったのですが、今、お聞きするかぎりでは、その点も踏まえて対策を取られていくということだと思いますので、非常に難しい選択をされた方へのご対応になるので、すごく重要な問題だと思いますが、引き続き支援をしていくことが大切なのではないかと思います。
一方で、早期帰還と避難生活の両面から支援していくとなると、従前からの地域コミュニティの維持というのもいっそう難しくなるとも考えられますが、国としてはこの点について、どのようにお考えでしょうか。高木議員、いかがですか。

高木:コミュニティの維持ということで、いろいろなことが考えられると思います。1つは、たとえば今、避難をしていらっしゃる沖縄の方を考えますと、600人を超える方がそこにいらっしゃいます。先日、福島のわが党の若松(謙維)参議院議員、それから甚野(源次郎)県会議員はじめ全部で4名のメンバーで沖縄に行きまして、そこで沖縄と福島の航空便の定期便をつくりたい、そのために協力をしてもらいたいという要請を沖縄県知事にしたり、また、そこで支援をしてくださっているネットワークの方と懇談をしながら、これから多様な支援が必要になるとか。そういうことも含めて総合的にやってきたのですが、こうしたきめ細かな一つひとつへの支援というのが必要だと思います。若松さんも避難者がゼロになるまで寄り添って頑張りたいと今日も話をしておりました。 そこで、皆さまが一番心配される子どもたち、こうしたさまざまな変化の中で、一番苦しみを受けるのが子どもたちですので、これまでもこうした原子力災害による被災者支援施策パッケージということで進めてきました。子どもの元気復活とか、自然体験活動とか、健康・心のケアとか、また母子避難者等の高速道路無料措置とか、借上住宅の期間延長とか、こうしたことをきめ細かくやってまいりましたが、やはり将来を担うお子さんたちにとって、こうしたことが少しでもその衝撃が少なくてすむように、これからも支援をしっかりとさせていただきたいと思います。

古閑:高木先生、お話ありがとうございました。