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熟論3【2】復興住宅とコミュニティ再生

古閑:まずは、被災地の中でも津波による被害が大きかった岩手、宮城を中心とした地域の再生について議論していきましょう。復興庁の資料から引用した仮設住宅入居戸数の推移を表したグラフです。

復興住宅とコミュニティ再生 仮設住宅等への入居戸数の推移 出典:復興庁資料(復興の現状と取組[平成25年11月29日])

震災からほぼ3年がたつにもかかわらず、津波により家を失い、仮設住宅暮らしを余儀なくされている方々は、一時期のピークは越えたとはいえ、入居戸数でみますと10万を超えています。仮設住宅入居戸数が減らない原因の1つとして、復興住宅の整備の遅れが指摘されています。平野議員、このグラフの緩やかな推移についてはどのようにお考えでしょうか。

平野:基本的には減っているというのは自力再建で、新たに自分で家を建てられた方々が多いのではないかと思います。現場の方ではまだまだ復興住宅の建設というのはこれからというような段階で、復興住宅の建設の遅れというよりは、なかなか計画通りに進まないということがこのグラフの入居戸数の推移としてまだ依然として高い状況になって表れているなという感じがします。
ただ、去年の夏ぐらいから、高台移転でありますとか、あるいは市街地の再整備に向けた区画整理の事業につきましては、次から次へと着工していますので、これが順調に進めば、入居戸数は徐々に下がっていくのではないかと思います。
それから福島については、仮の町という形でさまざまな調整が進んでいますが、戻れる方あるいは長期に戻れない方、その方々の住宅の建設も急ピッチで進んでいますので、その動きをみてみたいと思います。

古閑:なるほど。安倍総理が平成26年の施政方針演説で、翌年3月までに200地区の高台移転と1万戸を超える住宅の完成を表明されています。1万戸と聞けば多いようにも感じますが、一方で仮設住宅に入居する戸数が10万戸以上ということですので、現状もっと踏み込んだ対応も必要になる気がするのですが、秋葉議員、そのあたりはいかがでしょうか。

秋葉:そうですね。震災直後は、全体で47万人を超える52万人近い避難者であふれかえったわけです。そういったことからすると、3年たって、着実に避難者の数も、それから仮設住宅で不便な暮らしを余儀なくされている方も、着実に減少はしてきています。
また、高台移転についても住宅の事業計画にしても、6割を超える着手率になってまいりましたので、あとは人材不足や資材不足といったようなものに十分配慮しながら、すべての市町村で工程表を作成していただいていますから、その工程表どおりに、着実に前進するように、復興庁としても現場の復興局を中心にしっかり着実に前進をさせていきたいと思っています。

古閑:わかりました。期待したいと思います。それでは次ですが、こちらのフリップをご覧ください。

復興住宅とコミュニティ再生 コミュニティの崩壊を伝える報道も 「一度はここで暮らそうと決めた。でも無理でした。寂しくて、寂しくて」。Sさん(60)の目に涙があふれた。津波は心のよりどころだった「地域の絆」を断ち切った。 http://www.47news.jp/47topics/tsukuru/article/post_27.html 仮設住宅に一人で暮らす女性(84)は6月、隣家が出て行った際に体調を崩して寝込んだという。「建物がお粗末なのは我慢できる。でも、ぽつんと一人残されるのは、老いた身には何よりつらい」。 http://blogos.com/article/68083/

ネットからいくつかの報道を拾ってきたものをご紹介しています。仮設住宅生活が長く続くことによって震災前にあった密接なコミュニティが失われ、また長期化する仮設住宅暮らしがメンタル的にも住民に影響を与えつつあります。先ほど秋葉議員がおっしゃったように、政府は力を尽くしていらっしゃるところですが、一方で人と人とのつながりは待ったなしの状況ではないかと思っております。高木議員、このあたり、何かよいお知恵はありますでしょうか。

高木:私も、最初にできあがった復興住宅にうかがった時に、最初に入居された年配のご夫妻、その気丈な奥さまの方がいろいろお話をしながら最後に、「さみしい。もうこんなだったら、いっそあの時に命がなかった方が」そう言われて泣いていらっしゃいました。本当にさみしいと。人のつながりが一番強いのが東北の方たちですから、孤立している、相談相手もいない。そういう中で悩みも複雑になっています。そうしたことを支援しようということで、私たちも早くから、心の健康を維持することを目的とした、心のケアセンターを設置し、センターに来てもらったりということとか、あとは電話相談を始めたところです。 また、高齢者の方には、総合的に介護も含めて地域生活を支えることが必要ですので、その拠点となるセンターを作ったりしています。ここからはもう少しNPOとか、それから社会福祉法人、社会福祉協議会の力をお借りしながら、仮設住宅の見守り活動をさらに進めたいと思いますし、また、学校や公民館を利用して、子どもの学習支援とか地域の住民の交流とか、そうしたことを推進していきたいと思っています。
NPOにつきましては、いろいろ工夫してくださっていて、地域の障がい者の方を雇用してそこでカフェをやっていらっしゃるとか、また、講習をやりながら、その時に仮設住宅の方に来ていただいて、お掃除を手伝っていただいたり。いろいろされていらっしゃいます。そうしたNPOへの支援ということも必要だと思います。
私は、東京の江東区に住んでおりますが、そこにも浪江の約1000名の方たちが住んでいらっしゃいまして、地域でイベントをやる時には一番いい場所にテントを作って、そこでなみえ焼そばとか売っていただいて。そこからお互いに被災している方たち同士の交流も始まる。あいさつも始まる。また、地域の住民の方との交流も始まるという、そういうところをずっと私も見させていただきながら、やはり個々に寄り添った支援ということが、今、求められているのだと思います。

古閑:ありがとうございます。NPOであるとか、他の自治体の支援も欠かせないということですね。秋葉議員もしくは平野議員、何かこの点についてございますか。

秋葉:コミュニティの再生というのは、大変重要な課題だと思います。その際、2つの大事な視点があると思っています。
1つは、コミュニティを構成する一人ひとりの住民が、心のケアということを高木先生からもお話がありましたが、精神科医であるとか看護師であるとか専門職の方々、あるいはもちろんNPOの方々が、多重的にいい取り組みをしていただいているのですが、なかなか十分目配りが利かない部分があったりしています。特に、いつも頭から離れないのは、今回の震災で孤児になられた方が確か241人いらっしゃいます。孤児というのは皆さんもご存じかと思いますが、いわゆる両親を亡くされた子どもたちです。合わせて震災の遺児という方もたくさんいらっしゃる。これが1,500人近くになっています。震災遺児というのは、どちらかの親が亡くなった子どもさんです。ほとんどは、8割方が親類や肉親のところ、関係者のところに引き取られはていますが、生まれ育ったところから離れて暮らしているケースも非常に多くて、児童相談所をはじめいろいろな現場でご苦労はいただいていますが、やはり長い目で手厚い支援をしていかなければいけないなと思っています。
そしてもう1つは、コミュニティを再生していく場合に、福島は遠くに避難している方が非常に多いです。私の地元は仙台市、宮城県ですが、宮城県も34の自治体があるのですが、特に女川町は、震災前は1万人近い人口がいたのですが、この3年間で2,000人以上減少して、7,000人ちょっとと減少率が一番高いです。その次に多いのは山元町で、ここも1万6,000人ぐらいおりましたが、約3,000人人口が減って今1万3,000人になっている。2桁で人口が減っているところが南三陸も含めて、3つぐらいあります。ですから、この人たちがいったんは近隣の市町村に避難しているが、しっかりと地元に帰って来られるように。特になりわいの確保ということ、いろいろ政府もパッケージで商店街の振興のための補助金の充実とか、いろいろなメニューはやっているのですが、。3年を契機にして、当面の住宅再建と同時に、こうしたなりわいの再建、確保ということも強化していかなきゃいけないなと思っています。

古閑:ありがとうございます。平野議員、何かございますか。

平野:コミュニティ再生という言葉は、仮設住宅で暮らされている方々の心のケアをどうするかということと、同義語だと思います。もう3年目の冬を迎えています。先ほど仮設住宅の入居者数のところでちょっとお話しましたが、これから復興住宅は、本格化してくると思いますが、場所によっては2年、3年、場合によっては4年ぐらいかかるところもあるわけです。仮設住宅の生活というのはまだ続きます。仮設住宅を歩いていますと、誰かがリーダーになりまして、いろんなイベントをやりながらわいわい元気でやっているところもありますし、孤立しているところもあり、やはり二極化している感じがします。
そういう中で、仮設住宅に住んでいる人たちの話を聞く、あるいは話をしてもらうという、そういう体制はこれからもっともっと強化をしなくてはならないと思います。今、NPOなどが、一生懸命やっている部分はありますし、直接行ったりとか、電話口を開設して心の包摂センターを作って、電話でさまざまな相談に応じるということもあります。これから仮設住宅の生活がまだ長くなる中で、一生懸命取り組んでおられるNPOに対する支援、それから自治体の職員も大変ですが、もっともっと歩いてもらうような体制を作っていくことが大事だと思います。
学生が仮設住宅に行って、お話を聞くということもやってもらったりしていますが、仮設住宅に住んでいる方にとって、非常に助かるだけでなくて、大学生側も「行ってよかった」という話も聞きます。そういった意味で、大学生にもどんどん入ってもらうようなことも文科省がこれからも引き続きやっていただく後押しが必要だと思います。

古閑:なるほど。国の後押しも必要になる部分がでてくるということですね。

平野:これからさらに必要になってくるというふうに思います。

古閑:なるほど、わかりました。ありがとうございます。