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電力政策が電気料金に与える影響 時間をかけた減原発シナリオか、即時「原発ゼロ」シナリオか

家庭の電気料金は、30年後にどうなっているだろうか。
大和総研が2013年5月に発表した「超高齢日本の30年展望」レポートでは、安全が確認された停止中の原子力発電所が順次再稼働することを前提に電力料金の分析を行っている。東日本大震災発生前の2010年に月額6300円程度だった平均的な家庭用電力料金は、足下の円安もあって、すでに2013年には8000円程度まで上昇している(東京電力管内)。レポートを元に試算すると、約30年後の2040年には現在価格で約9000円(今後30年間の世の中の物価上昇全体を考慮した実際の価格は13700円)になるという。

一方、原発をいっさい再稼働しない「原発ゼロ」シナリオの場合、2040年頃の電力料金は現在価格で約9800円(その時点での実際の価格は14900円)を見込む。原発再稼働シナリオであっても徐々に廃炉を進めていく前提になっており、ただちに原発をゼロとするシナリオと比較すると電力料金の上昇スピードを約半分に抑えられる計算だ。

原発を当面は稼働させるシナリオの場合、燃料費が大きなコストとしてのしかかる火力発電や、買取費用を電力料金に上乗せする必要がある再生可能エネルギー(太陽光や風力など)による発電の割合が低下する。このため、原発ゼロシナリオよりも電力料金が抑えられるという。また、レポートでは、現在の電力会社の供給体制は、真夏の昼間等の需要ピーク時に対応するために多くの発電設備を維持しなくてはならず、コスト高につながっていると指摘。電力を多く使う時間帯の料金を値上げする一方、夜間などピーク時以外の料金を値下げすることで、電力の需要を平準化する「価格メカニズム」の活用や、技術革新による発電所での発電効率のさらなる向上を提言している。

新興国の経済発展を背景に原油などの燃料費がさらに高騰すると見込まれている30年後をにらんで、発電方法のベストミックスを見出す必要性に日本は直面している。そのとき電力料金がどうなるかという点はポイントだ。電力料金が上昇すれば、生活費や産業コストが上昇してしまう。上の二つのシナリオの電力料金を高いと考えるか、安いと考えるかは人によって様々だろうが、政府、企業、国民のそれぞれが電力料金の上昇を抑制するための努力を求められることだけは間違いないだろう。


電力問題について詳しくは大和総研「超高齢日本の30年展望第3章.成長戦略の視座と電力需給問題第4章.今後30年間の日本経済にて

執筆:ヤフー株式会社政策企画室
データ提供、編集協力:株式会社大和総研