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消費税はどこまで上がる?社会保障制度改革も不可欠

4月1日に税率が8%に上昇した消費税。17年ぶりにモノやサービスの値段が一斉に上がったことに戸惑いを感じる人も多いと思われる。経済状況の激変がなければ、法律通り2015年10月には税率が10%に上がる。ただ、少子高齢化が進む日本では、社会保障に関する財政支出が増え続けている。一連の増税で財政が破たんするかもしれないという不安は解消されるのだろうか。

大和総研のレポート「超高齢日本の30年展望」によると、仮に現在の社会保障制度を改革しない場合、2040年度末の政府債務残高は計算上約2,700兆円に達し、これは実質的な破たんシナリオだという。破たんを回避するためには、代表的な福祉国家である現在のスウェーデンよりも国民負担が大きくなる可能性がある。日本としては受け入れがたい選択肢ではないだろうか。スウェーデン以上の高負担国家が受け入れられないのであれば、高齢者が受ける給付を抑制しなくてはならない。

ではどの程度の抑制が必要になるだろうか。高齢者が受ける社会保障の給付水準を、仮に、現役層の賃金対比で5割落とすと機械的に計算すれば、大幅な増税は避けられそうだ。ただ、給付水準を5割落とすということを現在の生活実感に引き直せば、年金の平均受給額(2012年度末で国民年金は約5万5000円、厚生年金は約15万1000円)が半額となり、現在1割の後期高齢者医療費の自己負担割合は5.5割と大幅な負担増となる。十分な蓄えや他の収入手段がないと生計が成り立たたなくなるような給付削減は現実的ではない。

同レポートでは賃金対比の高齢者向け給付を15%程度引き下げる「改革シナリオ」が示されている。しかし、15%程度の給付抑制では、消費税率を25%まで引き上げたとしても、問題は解決しないという。給付削減と国民負担増が経済を悪化させるからだ。これに対し、同レポートが示す「超改革シナリオ」では、給付水準を25%引き下げつつ、消費税率は25%まで引き上げを実施。加えて、縮小する社会保障制度を補完するような民間のビジネスが拡大する戦略を実行すれば、財政問題も解決に向かうという。

現在の社会保障制度は、歳入をはるかに上回る歳出を赤字国債という将来世代へのツケで賄っており、とても持続可能性のある制度とはいえない。現役世代か引退世代かを問わず、すべての国民でどうすればよいか知恵を絞ったうえで、将来世代のみではなく国民全体で痛みを分かち合う必要がある。政治にも、今の有権者の利益ばかりに目を向けるのではなく、長期的視野にたった決断が求められるのではないだろうか。


消費税や社会保障について詳しくは大和総研「超高齢日本の30年展望第7章.社会保障改革の方向性第8章.社会保障改革と国民負担増の政策オプションにて

執筆:ヤフー株式会社政策企画室
データ提供、編集協力:株式会社大和総研

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