Yahoo! JAPAN 政策企画

熟論4【6】これからの保育のあり方 ~保護者の職場や父親の保育への関わり~

別所:これまでいろいろ国の施策をうかがってきましたが、最後に子どもに関しては国が何かをやってくれるということだけでは十分ではないと思っています。保育の制度も、保育制度を使う側の立場をいろいろ考えなければならないことが多いと思っています。そこで、今度は国以外、たとえば企業にどういうことを期待されているのかというお話をうかがえればと思います。こちらをご覧ください。

ヤフーの育児制度 全体像

これは弊社の育児制度の全体像なのですが、結婚からお子さんが生まれて小学校を卒業されるまで、いくつかの制度を持っています。時間の短縮のところも小学校卒業までできるようになっておりますし、育児休職が2歳までの延長ができるようになっています。それ以外にも、キャリアセミナーや休職中のフォロー、復職後のフォローを行っていて、できるだけ職場から離れてきた人たちが復帰しやすい体制をとっております。かなり好評なのは、パパママサポーター制度という、パパママの先輩の人たちが後輩の人たちにいろいろな情報を渡したり、相談に乗ったりというような取り組みをしております。フレックスタイムも導入しているのですが、フレックスタイムのコア時間が3時までとしてあるのは、実はお迎えの時間を考えると、4時ですとギリギリになるのかなということもあって、3時までという時間の設定をしております。

育児休業者座談会

これが実際に育児休業中に赤ちゃん連れで参加していただいている育児休業者の座談会の様子。こういうようなことをやったりしておりますし、

待機児童問題への取り組み

待機児童への取り組みということではこういうことをやって、できるだけ復職していただきたいと思っていて、おかげさまで育休後の復職率が95.8%となっております。これは私どもの例に過ぎないのですが、やはりいろいろな企業が従業員に対していろいろな働きかけをしていくということがないと、せっかく保育所を充実していただいても、実際に活きてこないと思っておりますので、そのあたり、民間企業だってこういうことをやってほしいというような思いがあればそこをお聞かせいただければと思います。高橋議員からお願いします。

高橋:ヤフーがこのような制度を作っていると今日初めて分かりまして、とても素晴らしいと思います。これが本当に言っているとおりであればまさに、95.8%ですか。企業が率先してやっていただければと思います。
やはり国が今、「くるみん」とかいろいろ奨励していたりとか、昔はファミリーフレンドリー企業とかいろいろ言っていましたよね。だけど、本当にそれが、実態がどうなのかと聞くと、数字が出てこなかったり、あるいは雇用の実態が、キャリアアップのところで男女の差がすごくあったり。それではやはり駄目なんですよね。女性が働きやすいということが、イコールそれなりでは駄目というか。働きやすいと同時に賃金の格差だとか処遇の改善ということが一緒に図られていくことが望ましいと思うので、そこは大いに奨励もしていくし、企業としてもそこに力を入れていただければなとすごく期待しています。

別所:ありがとうございます。女性の力を発揮していただきたいと考えている会社としての理由、他の会社も同じだと思いますが、良いものを作ったり良いサービスを提供していくためには、いろいろな価値観を持っている人が集まって1つのサービスなりモノを作り上げていくことが必要だと思っています。出産してお子さんを育てられている方のその時の経験や価値観は非常に重要だと思っていますし、そういう人たちが自分たちでも働いている輪の中にいてこそできることが増えてくると思っていますし、イノベーションという観点からも、いろいろなところにそういう取り組みを期待しているので、そういう意味でダイバーシティということを今言われていますけど、国のダイバーシティへの取り組みもそういうところを目指してほしいということをおっしゃっていただければありがたいなと思っています。

高橋:ひと言いいですか。その趣旨だったら本当に賛成です。ただ、政府の競争力会議などで出てきている、「女性が輝く」というのは本当にそういう中身なのだろうか。要するに、例えば派遣でも何でもニーズがありますよということで、安くてもいいよとか、そういう形での労働力としてみているのであれば違うよね、と。今おっしゃった本当の女性の能力を活用するという趣旨でやってくださるというのは大いに賛成したいと思います。

別所:林議員、いかがでしょう。

林 :はい。私もヤフーさんの取り組みをみて、本当にすごいなと思いながら拝見していたのですが、やはり女性が活躍する職場は企業の業績もいいというデータもありますので、ぜひヤフーさんには先頭を切って走っていただいて、このまま頑張っていただければなと思います。よく行政のことは全国の企業のいい先進事例を紹介しますとかやるのですが、逆にこういうやり方をしたらいいですよというのを、実際ヤフーさんがやってみられて、政治の側にご提案もいただけるとうれしいなと思います。
それともう1つは、やはりママも頑張るけどパパも頑張れ、と。6歳未満の子どものいる世帯の1日の育児時間、母は2時間39分、父は17分でございます。丸川先生も私もイクメン議連というのに入っているのですが、自称イクメンの人たちの議連なのですが、私たちはイクメンを名乗るのに相応しいかどうかを確認するために入っています。やはり男性も子育てに関わることでまた新しい視点も身に付くし、非常に人間としても身に付くところが多い。子どもの成長にとってもこれは大いにプラスにもなります。分かち合い、支え合っていく社会というのが私は大事だと思っていますので、ぜひ男性の方にも参加してもらいたいし、ヤフーさんの取り組みでも男性も育休を取れるようになっていますが、そうしたことをどんどん進めていっていただけるとうれしいなと思います。

別所:ありがとうございます。なかなか男性の立場からすると耳の痛いお話かなと思いますが、おっしゃるとおり男女問わず、子育てに参加すべきだと思っていますし、そのようなことを社会全体で目指すことができれば、いろいろやっていただく制度も本当に実になってくると思いますので、そこは民間側でもできることを頑張っていきたいなと思います。

林 :よろしくお願いします。

別所:丸川議員いかがでしょう。

丸川:まさに今回の国会で育児休業給付を引き上げる法案が成立いたしました。これは結局どういうことかというと、男性が休んでもそれなりに手当てができると、家計の支えもある程度は何とかなると。これはまさに、お父さんに育休取ってくださいというメッセージでもありますので、ぜひ職場でも後押しをしていただきたい。これからわれわれ世代は育児をしながら介護もでてくるわけですよね。そうすると、仕事しながら育児なり、介護なりが成り立つ職場でなければ、働き続けられない。家族も支えられない。こういう時代がすぐ先までやってきていると思います。これは本当に職場にご理解いただかなければ、いくら制度があっても機能しませんので、ぜひともその後押しを、家族を大切にする人を後押しする企業、仲間を増やしてください、ヤフーさんも。

林 :よく、昔は違ったという議論があります。だけど、昔は大家族でしたから、お母さんが1人で子育ても家事も仕事も介護も担っていたわけではありません。おじいちゃまがいたり、おばあちゃまがいたりして、みんなが支えてくれていた。だけど、戦後、産業構造が大きく変わって、今これだけ核家族化も進んでしまっているということであれば、企業であったり社会であったりがみんなで支えていくという方向しか、やはりないのだと思います。ですから頑張ってください。

別所:ありがとうございます。私どもいろんな取り組みをしていますし、各社ともいろんな工夫はされていると思っています。 1つお願いがありまして、多様な働き方をしていくために、実は今の労働法制が追いついていないところがあるなと思っています。子育てをしながら働きたい。特に私たちITの会社ですので、場所を問わず働くことができるのですね。場所を問わず働くことができるからといって、24時間働いてほしいと思っているわけではもちろんなくて、そういう働き方ではなく、自分のいる場所で働ける時に働くということを選択した時に、今なかなか労働基準法の考え方からいうと、労働時間の定義とか把握の問題があって、一体どういうふうにすればいいんだろうかと分からなくなってしまうところがあります。女性だけでなくて多様な働き方ができるための新しい労働法制というのを、特に女性の社会進出を支えるという意味でもぜひ先生方にはお考えいただけるとありがたいなと思うのですが、高橋議員いかがでしょう。

高橋:なかなかこれはセンシティブな問題ですね。今、雇用のルール作りということで、さまざまな議論が政府の中でもされていて、どうしても多様な働き方というのが、総理がよく言う企業が世界で一番活動しやすい国ということで、切りやすいとか、安上がりとか、そういう論理から出てきているのではやはり駄目だということで、我々派遣法の改悪ですとか、解雇規制の問題とかには反対しています。それから残業代ゼロ、昔はホワイトカラーエクゼプションという表現をされましたけど、ただ今おっしゃった多様な働き方を認めてほしいということと、それがどうなのかという点では、本当は自ら望んで会社との交渉力もある労働者の方たちが望んでいる場合に成り立つ制度と、最初から交渉力も何もない中で、言ったら切られるよという中でどうしても今の議論が進んでいるということなので、それは土台の問題かな。ヨーロッパにはかなり遅れているところがあって、それなしにはなかなか議論は難しいかなと思っております。主旨はよく分かりますが。

別所:難しい問題だというのはよく分かっているつもりです。やはり選択肢が選ぶ側、従業員の側にないと、そこはなかなかうまく働かないと思っていますし、会社はどういう存在かというと、ゴーイングコンサーンでずっと存続し続けたいと思っている会社が大半だと思っていますし、そのためにはもちろん世の中に役に立つサービスやモノを生み出さないといけないですし、働いている方々がやはり豊かに働けないとゴーイングコンサーンが成り立たないわけですから、そういうことを考えつつ、そういう会社とそこに働く人たちが取れる選択肢が少しでも広がるといいなという思いです。

林 :でもいい会社ですよね。そんなふうにちゃんと思ってくださるのはね。

丸川:テレワークの推進、テレワークとは自宅に持って帰ってITを使って仕事をするというところは、自民党も今特別に取り組むチームを作ってやっているところですが、本当におっしゃるとおり、働く人が選びたいという意思があって、それを確認した上でその働き方をどうやって実現できるかというプロセスを通って議論が展開していくというのはすごく大事だと思います。

別所:分かりました。ありがとうございます。 今日は日本の課題ということで、「待機児童問題と日本の保育のこれから」というお話をうかがいました。国がいろいろな制度を用意して解消に向けて進んでいるということは非常にみなさんも期待しているところだと思います。あとはこれを確実に実行していただいて実現していくことを、予算手当てを含めてぜひ頑張っていっていただきたいなと思います。
またその先には、国1人で解決できるわけではなくて、民間もできることをやっていくという積み重ねが必要だと思いますので、そこは国任せではなくて自分たちができることは何だろうかということを踏まえて、この先ますます議論も深め、できることをしていけるように願っております。
今日はどうもありがとうございました。

丸川・林・高橋:ありがとうございました。