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熟論4【5】新保育制度制定の背景と今後の課題

別所:では次に、平成27年4月から本格施行になります新保育制度についておうかがいしたいと思います。こちらをご覧ください。

子ども・子育て支援新制度の主なポイント

新保育制度では大きく4つ、ポイントが挙げられています。まず1つ目は、一時預かりや放課後児童クラブなどの増加です。財政支援によりこれらを増やすことにより、地域のニーズに応じた多様な子育て支援を充実させるとされています。2つ目は、保育の受入れ人数の増加です。認定こども園や保育所の整備に加え、いわゆる保育ママといわれる家庭的保育や小規模保育などの整備も進めるとされています。3つ目は、子どもが減少傾向にある地域の保育の支援です。こういった地域では保育所の統合などにより、身近に保育所がなく、利用が困難なケースがありますが、少人数の保育施設などへの財政支援により保育施設を確保するというものです。そして最後のポイントは、認定こども園の普及です。保護者の就労状況にかかわらず利用でき、教育と保育の総合的な提供を受けられる施設であり、設置手続きの簡素化や財政支援の充実、強化などにより普及を進めることとされています。 以上のような点を実現するための財源として最初に申し上げましたけれども、4月から引き上げられた消費税による増収分のうち、7,000億程度を含めた1兆円超の予算が費やされるとされています。この保育制度ですが、大きくまとめると、小規模保育などの財政支援として含め、多様な保育サービスを増加させるということと、認定こども園を普及させるということになるかと思います。
最初におうかがいしたいところなのですが、新保育制度の柱として小規模保育事業や事業所内保育などへの新たな財政支援が挙げられていますが、現行の制度に基づき認可保育所や認定こども園を拡充していくだけではなくて、支援の対象を広げるという選択をされた背景を教えていただきたいなと思います。丸川議員、いかがですか。

丸川:はい。私と林先生とだったら3党合意でできた話ですから、これは説明したほうがいいかもしれません。結局、今まで自治体の支援の範囲の中でやっていた小規模の保育、こういうものにきっちり国の手当てをすることで、小規模なものから認可保育所まできちんと質を担保していこう。しかも、その財源に消費税を充てさせていただくことによって、きちんと財政の後ろ盾をしようということは一番大きなことだと思います。量の拡充で4,000億円、それから質の向上で3,000億円。だいたいそんな感じなのですが、その中でも特に、例えば3歳児の保育士さんの配置を20対1から15対1、子ども20人に対して1人から15人に対して1人と。これは非常に1つ大きな質の改善の一歩だと思いますし、また一方で、病児保育とか学童とか、ここに対してもきちんと国がお金を入れながら定員を増やしていくことを進めていくことが大きな柱だと思っています。

別所:支援していく先を広げたことで、選択肢も広がってくるように思うのですけれども、それも狙いの1つと考えてよろしいのでしょうか。

丸川:選択肢を広げるということと同時に、今40万人まで増やしていくというこのお母さんたちのニーズを埋めるのに認可保育の箱を作って、そこに保育士さんを入れてということで補いきれない部分も当然出てくるんですね。一方で、地域によっては保育ママがすごく進んでいて、小規模な中で0・1・2の子どもたち、2歳児までの子どもたちの個別の保育に適したことをやっているところも、そういうのも自治体の努力だけではなくて国からもしっかりと応援をしていきながら、お母さんたちのニーズを満たしていくと。子どもたちには子どもたちにふさわしい保育が担保される状況を作りたいと思っています。

別所:分かりました、ありがとうございます。できあがりのイメージという言い方がいいのか分からないのですけど、完成した時の状態は、今までのような保育所とそれから小規模の事業者の方々とどのくらいの割合で存在していくようなイメージで支援を考えていらっしゃるのですか。

林 :そのところはまさに今、地域の子ども・子育て会議でここから需給の状況をみていくわけですけれども、先ほどもお話がありましたけど、家庭的保育事業も0~2歳の子どもをメインにということになるわけですが、今までは自治体がやっていたわけです。それはすなわちどういうことかというと、お金があったり、首長が熱心なところはやっていたけども、そうじゃなかったところはやれなかったし、やらなかったのです。だけどこれは、国がしっかりと財政的な支援をすることによってちゃんとやっていきましょうと。あるいは小規模保育所も今までありませんでしたけど、例えば過疎の地域で幼稚園しかないとか、過疎の地域で非常に子どもが少なくて集団保育ができないとか。そういうところにも弾力的に対応できる仕組みにしたということです。だから総量でどれくらいの割合になるかというのは、まさにこれからではあるのですが、それぞれの地域の実情に応じた保育・教育の対応ができるようになるということは間違いないと思います。

別所:分かりました、ありがとうございます。高橋議員はいかがお考えでしょうか。

高橋:私は総量というかニーズが把握できたのだけど、お金が付いていかないわ、となったら困るのですよね。そこだと思うのですよ。事業所内保育も小規模保育も必要があったり、あるいはもう実態があるものに対して支援していくというのは1つ道ではあるのだけれども、だから安くていいというふうにしないことが大事で、小規模なら小規模でもきちんとした基準があり、認可と同等なんだよということを貫くことが大事なのかなと思っています。
ただ今回、小規模保育のところは、例え7,000億円でもやりますよというようなことになっているのですけど、やはり残りの予算が付かないと本当の意味での質の確保という点ではちょっとクエスチョンになっておりますので、ここは大臣が何度も全力で頑張りますといっておられますけど。

丸川:まさに今、高橋先生がおっしゃった通りで、今言った7,000億円というのは、消費税率が10%まで上がって7,000億円確保できると。でも、その7,000億円でも足りないんです。この残り3,000億円ちょっとをどこから持ってくるのかというのは、これからの戦いなのです。

林 :少し野党的なことを言ってもいいですか。本当に足りなくて、丸川さんがさっきおっしゃったように、3歳児を20対1から15対1とかは今の7,000億でもできるのですけど、この他にも例えば職員給与の改善とかね、プラス5%やろうと思ったのがプラス3%までしかいかないとかということもあるのです。要するに、3,000億から4,000億が足りないわけです。10%になった時においてもなお。例えば、平成25年度の補正予算が通りましたが、実はこの予算というのは、26年度の予算について昨年の秋に現政権が行政事業レビューで無駄をチェックした時に、無駄だと言った事業のうちの8割の3,600億円が補正予算に入ってさっと通っているわけです。この3,600億があったら、きちっとフルパッケージでこれもできるのにと私などは思うのですが。

丸川:認識の違いというところで、消費税を引き上げるに伴って必要な手当てというものがあったという認識なのですが、同時に財源が必要ということは、ご負担をお願いしないといけない部分も出てくるかどうか。これをどこから見つけてくるか。負担なくできるだけよそから取ってきたいというのは願いではありますけれども、一方で高齢化も進むわけでございますので、社会保障費の自然増は、なかなか努力して努力して圧縮しながら子どもたちのための財源を見つけていきたいと。

林 :この社会保障なんかね、厚生労働省の予算の中で回そうとすると無理があるわけですよ。だからやはり財務省としっかりやり取りして、どこかからちゃんと奪ってきてきちっと投じるという視点は大事かと思います。

高橋:一言いいですか。当然のものとして議論しているのですが、私たちは消費税増税に反対をしているので、拡充のためには増税しなきゃいけないという立場には立たない。厚労省の中だけではなく全体として予算はしっかり見直しをするべきだということを言っています。それとこの間、委員会で紹介したのですが、厚労省の予算の中でも、私がすごく無駄だなと思ったのは、消費税を増税するための対策だというので、1回きり子どもさんに臨時特例給付金1万円を配る。ただし、今年の1月1日以降に生まれたお子さんには出ないんですよね。そのための1回きりの支給とそれと事務費合わせて1,500億円。それももったいないですよね。やはり向上感ということからいっても、1回きりのお金を出すよりも、もっと質のほうに回すべきなのではないかと1つ提案させていただきました。

別所:予算の問題もぜひ先生方に頑張っていただきたいなと思っています。予算、国の税収は限られていますので、何に使っていくのかというのはプライオリティの問題だと思うのですが、子どもに対するお金のプライオリティを考えているんだということを見直していただくのが一番いいのかなと思っています。やはり今の世代だけでなくて次世代、その次の世代のためのものでもありますし、それが今の経済を支えている世代のためにもつながってくることになるので、そこはぜひプライオリティで子どもというものに対するプライオリティ、予算付けのところをぜひ何とかしていただけると。

丸川:消費税増収分を国の借金を返すのに充てますよね。これも1つある意味、将来世代の負担を軽くするという意味では、次世代のために使っているとも言えるのですが。

林 :結局消費税を上げる時に、今まで社会保障というと、医療、年金、介護だったわけです。これが民主党政権の時に、そこに子どもを加える。民主党はチルドレンファーストというのを言っていましたから、子どもを入れて全世代対応型の社会保障にしましょうというのがその心だったのですね。確かに税金は高くないほうがいいでしょうけれども、どうしてもかかるところに対してはみんなで分かち合っていこうと。その分、今おっしゃったように次の世代につながっていくことをしましょうと。それが政治の役割ですよねというのが今回の消費税をめぐる一連の議論の結果でもありました。

別所:多くの国民は総論として税金という制度が所得の再分配だということはよく分かっていると思っていますし、プライオリティの付け方を、コンセンサスを取りながらやっていってほしいというのはみんなが願っていることだと思っているのですが、その中の価値判断として子どもとか次世代にもっと重きを置いてもらってもいいと思っている人たちも多いのではないかなと思っていますので、そこを引き続きご努力いただければと思っています。ありがとうございます。