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熟論4【3】待機児童解消に向けた国の取り組み ~保育士の待遇改善と保育の質の担保・向上~

別所:では、先ほどもでていましたが、次に待機児童解消加速化プランに伴う質の担保と向上というところに質問を移らせていただきます。言うまでもないですが、子どもの健全な発達のためには、保育施設の十分な面積、設備、保育士の方の数というのが問題になってきます。それらをどうやって確保していくかということも課題の1つだと思っています。

東京都における保育士の有効求人倍率の推移

今、ご覧いただいているグラフは東京都の保育士の有効求人倍率の推移です。東京は確かに比較的、保育士の求人、難しいところではあるのですけれど、かなり高い有効求人倍率になっていて、人手不足だという状況がうかがえます。設備を増設することができたとしても、その中で働く保育士の数の確保というのが肝要ではないかと思っているのですけど、このあたりについてどのようにお考えなのか。今度は林議員からおうかがいできますでしょうか。

林 :先ほども少し触れさせていただきましたけれども、保育士さんの待遇改善をおいて他にはないのではないかと思うのですね。これは自治体がやっている保育所でも、ほとんど非常勤に今置き換わっているし、民間のところも若い保育士さんばかり入れ替えて、経験年数が上っていくとお給料が上っていっちゃうので、若い方ばかりで回すようなところも残念ながら現実問題としてあるわけです。ですから、そこの待遇をいかに改善していくのか。もっと言えば、いわゆるワーキングプア状態じゃなくて、ちゃんと食べていけるお給料をいかにお渡しできるかということなのだと思います。保育士さんの平均給与は調べてみたら、年間315万円なのだそうですね。民間の平均は409万円ということを考えても、決して高くはない。この部分の待遇を改善しなくてはいけない。 後ほど丸川さんがご紹介してくださると思うのですが、平成26年度の予算で、「保育士等処遇改善臨時特例事業」というお給料がきちっと上がっていく仕組みをつくられましたので、非常にこの点については期待をしたいと思います。

別所:なるほど、ありがとうございます。私どもも調べてみたのですけど、保育士の方々の平均的な所定内給与が20万7,400円。

林 :そうです、月給ですね。

別所:はい。平均年齢が34.7歳になっています。比較したのが平成24年度の大卒の初任給なのですけど、大卒の初任給が19万9,600円です。ほとんど差がない。大卒で入ってきて、普通の会社ですとそこからどんどん昇給していくわけですけど、それを考えると、34歳になって平均の賃金が大卒の初任給と同じというのは、働きがいもありますし、生活もありますので、なかなか難しい、苦しいのではないかと思うのですけれども、今回の今お話あったいろいろな対策、施策によって、そこはどの程度解消されるとお考えなのか、丸川議員から教えていただければと思います。

丸川:平成26年当初のうちの、311億円をそれに充てさせていただいいているのですけれども、ゆくゆくはこの処遇改善というのは新システムの中の単価といわれるものに組み込まれていくのですよね。私個人的にはまだまだ実は足りないと思っていまして、とにかく何とか財源を確保して、もう一段、処遇の改善を図りたいと思っています。お給料の面だけでなくて、高橋先生、すごく長時間労働なのですよね。

高橋:そうです。

丸川:お母さん方の要望は、朝送りに行った時とお迎えに行った時と、同じ保育士さんにうちの子は今日どうだったか話を聞きたい。でもそれは東京だと通勤の時間もあわせると、大変長い労働時間になるわけですね。お母さんの労働時間プラス通勤時間ですから。このへんのところもお母様方にご理解をいただかなければいけない部分もあるだろうし、実は潜在保育士といわれる方たちがいて、保育士の資格持っているけど、働いていないっていう方がたくさんいらっしゃる。こういう方々がどういう働き方をしたいと思っているかというと、自分も子育てしているからフルは難しい。でも数時間だったら働ける。そういう方が働きやすいような職場としての保育の場というのも考えていかなければならないかなということも一方で思っているところです。

別所:なるほど、ありがとうございます。そのパートタイムのような、パートタイムという表現がいいのか分からないですけど、自分の持っている時間を上手に、ご自身の子育てとかとシェアしながらやっていく働き方というのは理想的だと思うのですけれど、なかなか実現していこうと思うと難しいところがあるのではないかと思うのですが、それは制度的にどういうふうに担保されていきたいなと考えていらっしゃるのですか。

丸川:これはですね、働き方というのはもちろん私たちのほうでいろいろな、例えば育児時短というのはもう制度的にありますし、それを採用していただけるように企業にお願いをしていくわけですけれども、正直言って働き方はその職場、職場でどう決まっていくのかというのは、まさに働く側の代表とそれから雇い主との間で議論をする中でうちの職場ではこうしていきましょうねということが最終的に決まるわけですね。雇っている方の意識改革というのがものすごく大事だと思っています。 今、政労使会議というのをやって、賃上げでずいぶん総理のほうからお願いしてもらいましたけども、私、女性の立場、働く母親の立場からすると、次のテーマは女性の働き方ということをぜひ総理から言ってもらいたいと思っているのです。

高橋:保育士さんというのは、人生の一番、最初の子どもたちを対応するわけですから、ものすごく素晴らしい仕事、誇り高い仕事なわけですよね。だけど、その保育士さんがさっき言ったように、非常に低賃金である、あるいは非正規であるということは、子どもにとってもいいことではないわけですよね。子どもの安全やあるいは人格を形成していく上でも絶対大事だと。その上で、さっき言った確かに処遇改善は役立っています。だけど、一方で丸川さん、政労使が云々っておっしゃったのだけど、公立のほうが実は非正規の割合が高いんですよ。私立は40.2%で、公立は54.2%。なぜかというと、定員削減がかかっていますので、公立のほうが厳しいわけですよ。半分以上パートというのはやはり駄目ですよね。だから国が本当に大事だというのなら、まずそこから率先して改善していくことをぜひ訴えたい。

別所:むしろ公立の話が今出ましたので、公立であれば、国が原則非正規ではなくて正規という方針を出せるような気もしますけど。

高橋:ね、意外でしょう。

丸川:頑張ります。なかなか皆さんにお話をする機会がないので、ぜひ知っていただきたいと思い敢えて出しますが、

保育所に係る国・地方・保護者の負担割合(平成25年度国の予算上の負担割合)

これは公立の保育所と民間の保育所と費用の割合はどうなっているかというのを見ていただくと、民間ですと国のお金が入って地方の負担があって保護者の負担があります。公立の方を見ていただくと、地方の負担と保護者の負担、地方というのはつまり市町村、23区でいうと区ですよね。しかも、それぞれの自治体の一般財源で賄われるということになると、自治体は自分の財布の中のやり繰りでやらなくてはいけない。
こういうことも、公立の保育所が厳しい背景事情というのと同時に、待機児童が多い自治体が今までなかなか保育所の開設に踏み切れなかった1つの理由というのは、自分たちが一度作るとそう簡単にやめるという話にはなりませんし、一方で子どもの数が減っていくということが長い将来にわたって考えると明らかである中で、潜在需要を読み切れなくて踏み切っていいのかどうかということをずっと逡巡していた結果が今の待機児童の状況なのかなと思っています。

林 :保育所を作りたいと手が挙がっても、自治体が認可しないということがあったわけです。今回も新しい法律の中で、原則それは認可してくださいと謳っているのと、丸川さんが出してくれた部分で公立保育所の地方というのがありますが、これはいわゆる地方に渡しているお金、もともとは国からのお金が入っているわけです。これは、地域が自主的に自分たちの町のことは自分たちで決められるようにということで、いわゆる一般財源化をして渡したわけです。そうなると、首長さんが非常にこういう問題に熱心なところはドンとやってくれるけども、こういうところはなかなか見えにくいので、こういうところをどんどん削ってしまって、さっきおっしゃったように人も非正規に切り替えていって経費を節減していくという負のスパイラルみたいな状況が生まれているのですね。だから、ひも付き補助金がいいとは決して言わないのですが、でも明らかにこういう問題を解消しようと思った時には、お金に色は付いていませんが、必ずちゃんとこれに使ってと言いながら、チェックができる仕組みは非常に重要だと思います。

別所:なるほど。一般論として言うと、地方自治体に交付するものには、ひも付いていないほうが良いと思うのですけれど、この話聞いているとそれはケースバイケースで、しっかり使ってほしいところはきちんとお金の使い先をコントロールすべきだと。そうしないと、国の施策で作ったものが、せっかくの成果をみることができないというふうになってしまうのかなと思いました。

高橋:今、丸川さんが自らおっしゃってくださったことで良かったなと思っているのですが、一般財源の問題と合わせて、今やっている「安心こども基金」。施設の建設のために、予算を20万人分くらい基金を持っているのですが、公立保育所には出ないのです。そうすると、いろんな条件がある中で、やはり自治体が責任を果たそうという時に基金が使えないというのは、少なくともそこは取って、できるようにしていくということは急いでやるべきじゃないかなと思っています。

別所:わかりました、ありがとうございます。