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熟論4【2】待機児童解消に向けた国の取り組み ~保育の受け皿の拡充~

別所:もともと保育の制度なのですけど、保育所に入ることができる要件というのは、保育に欠けるという字で表現されていると思うのですね。でも、おっしゃったような1人で待っているというのはまさに保育に欠ける状態だと思っていて、保育に欠ける状態でありながら待機児童の中に入っていないというのは、数の捕捉の仕方としては、私としてはちょっと合点がいかないところだと思っていますので、取り方を変えることができるのであれば先生方のほうから働きかけをしていただいて、できるだけ正しい数を捕捉して、本当の意味での保育に欠ける状態にある子を少なくするというふうに考えていっていただけるとありがたいかなと。

丸川:今回の子ども・子育て新システムは3党合意の中でできてきたわけですが、その中で今まさに自治体のほうで潜在的な需要も含めて把握をしていただいています。お母さん方に「これから働くつもりはありますか?」とか「子どもさん、今誰がどうやって見ていますか?」というアンケートをお配りして書いていただいていると思うのですが、その集計が今ようやく始まっている段階です。これはすごく画期的なことだと思うのですが、今アプライしている、申し込んでどういう状況かとかだけではなくて、本当は行きたいのだけど、というところまで自治体が把握するということが初めて始まっているので、これで真の意味で待機児童というのが実際に把握できるということになるのだと。

林 :今までは、本当は認可保育所に行きたいのだけれども、入れなくて認可外に行っている時はカウントされなかったんですよね。だから実際に、待機児童2.5万人だけど、潜在児童は85万人みたいな話が出てくるわけで。本当に今度の新制度によって、各自治体にいろいろなステークホルダーの方が入って子ども・子育て会議というのを作って、最も住民の方に近いところでニーズをこれからきめ細かく調査していきますので、ずいぶん変わるのではないかと思います。

別所:なるほど、ありがとうございます。そういう意味でいうと、今までのプランのところは、まだ分かっていない数字が反映できていないような気がするのですが、ちょっと過去の状態をお話させていただくと、こちらが待機児童と保育に関する主なトピックを拾ったものです。

待機児童と保育に関する近年の主なトピックス

平成13年の7月から始まって、本当に精力的にいろいろな作戦を立ててこられて取り組んできたというのは、これを見てもすごくよく分かると思っていますし、この先、27年4月の新しい子ども・子育て支援関連3法の本格施行というのも控えていて、期待はすごく高いというところだと思っています。

保育所定員数と待機児童数の推移

ただ、保育所の定員数と待機児童の推移というのをみると、こういう形になっていて、保育所の数は増えているけれど、待機児童が今の調査ベースでも横ばいになっているというのが今までの実態だと思っていますし、これは待機児童数の推移と定員がどのくらい増えたかというのをみてみたのですが、平成18年からみると、定員は実に20万人ほど増えていて、でも待機児童の数が横ばい。

待機児童数の推移と平成18年以降の保育所定員数と保育所利用児童の増加数

定員が増えた分だけ本当にいっぱいになっているかどうかが分かるようにグラフが2つになっているのですけど、保育の所定定員の増加数とその中の利用増加数を重ねていますので、実際に増えた分だけきちんと埋まっていると。この状況でこういうふうになっていて、まさにここには暗数があるというお話をいただいていますし、いったん待機児童ゼロ宣言をした横浜とかもですね、横浜市にいろんな人たちが期待して集まってしまったことで実際の予測を超えて、今度は逆に解消できないようなことが起きてしまっていて、正しい数字を把握するということが大事だと思いますし、その上で今やっているプランはプランとして、もう一度数の見直しとか施策の見直しというのはあり得ると考えてもいいのでしょうか。

丸川:今のプランは、さっき言った0~2歳の利用率が出てきましたよね。一番待機児童が多いのは0,1,2歳なのですよね。

林 :そうです。8割がそうですから。

丸川:この0,1,2歳を今後含めて全体で40万人、平成29年までに定員を増やすということを今、加速化プランでやっているのですね。それは利用率でいうと、全体に対する44%なんです、0~2歳だと。ここまで整備することも含めて、カウントして40万人なのです。これはある一定の1つのめどで、ずっとこれまで目標に掲げてきたところをここ数年でやろうということなので、相当な勢いで定員を今までにないくらいの勢いで増やすと。だいたいここ数年増えてきたのは、年4万人ぐらいですね。

林 :あと今度の新制度において、今まで自治体に任せていた家庭的保育事業とか、いわゆる0~2歳というのは、集団保育よりもむしろ個と個の関係が大事な時なので、家庭的保育事業とか、今度小規模保育もやりますけれども、そういうところに国がしっかりと財源をきちっと充てていくわけですね。今までは保育所作りますと、そうしたら近隣のお母さんも「私も働きたいわ」という人が出てきて追っかけっこになっているというのが1つと、あとたぶん後ほど出てきますが、保育士の方たちの待遇が悪くて、施設はあるけれども先生がいなくて子どもを受け入れられないということがある。これについても、27年度の予算で措置をされていますけども、きちっと給与が上がっていく仕組みにしているということを考えると、0~2歳の受け入れもしっかりとやりながら、人員不足のところにも対応しているということかと思います。

高橋:新制度に対する期待をお二人からお話されていますが、まずこれまでの待機児童ゼロ作戦の中でも、定員の枠を超えて120%とかそういう形で入れるということはずいぶんやってきた。それから、公立保育所が民営化されて看板は変わったのですけど、保育所そのものは増えていないと。だいたい私立が3,472、10年間で増えて。でも公立が2,270。つまり、3分の2は看板変えただけなのですね。それだと実質増えていない。だから、枠をオーバーさせることで受け入れてきた。その中で、残念ながら、認可保育所の中でも保育所の子どもの事故とかが起きてきたという実態もあるわけですよね。そこの質の問題、今おっしゃった人の質の問題と保育所のあり方、基準の問題などもしっかり議論していかないと、箱があればいいとか、預かる先があればいいということだけでは済まないという議論をね。

別所:なるほど、ありがとうございました。もうすでにお話に出ていますけれども、

待機児童解消加速化プラン

こちらにありますように、「待機児童解消加速化プラン」というのが今進んでおります。平成27年度までに20万人の受け皿を増やし、平成29年度までにさらに20万、合計40万人を増やすというプランです。今、お話をうかがったところによりますと、0から2歳の児童を中心に考えると、1世代、だいたい100万人が対象ですので、この40万人のプラスアルファの受け皿で十分に賄えるのではないかということを期待しているというお話だったと理解しております。

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