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熟論4【1】課題の確認

別所:こんにちは。ヤフーの別所です。「待機児童問題と日本の保育のこれから」と題して、熟論の第4回をお送りします。
待機児童問題は、都市部を中心に幼い子どもを持つ保護者の方々にとって、生活を左右する大きな課題となっています。国もさまざまな対策を講じてきており、平成24年7月には「子ども・子育て関連3法」といわれる保育制度の改革に関わる法案が成立し、平成27年の本格施行に向け準備が進められています。また、安倍政権下においても平成25年4月に成長戦略の一環として、「待機児童解消加速化プラン」が打ち出されています。4月1日に消費税が8%になりましたが、これによる税収の増加分の一部は、この保育制度に充てられることになっています。
国のこうした取り組みは、待機児童の解消にどうつながっていくのでしょうか。そもそも、この課題の本質はどこにあるのでしょうか。課題が解決した先、日本の目指している保育の姿はどのようなものなのでしょうか。こういった点について、今回は大いに議論をしていただきたいと思います。本日は3名の国会議員にお越しいただきました。簡単に自己紹介をお願いしたいと思います。まず、自民党の丸川参議院議員からよろしくお願いします。

丸川:はい。よろしくお願いいたします。自由民主党で今、厚生労働部会長を務めております東京都選挙区選出の参議院議員の丸川珠代です。よろしくお願いいたします。

別所:続きまして、民主党の林参議院議員からお願いいたします。

林 :民主党の参議院議員の林久美子でございます。今日のテーマに上がる「子ども・子育て関連3法」の立ち上げの時に、文部科学大臣政務官として関わらせていただきました。滋賀県選挙区の出身です。よろしくお願いします。

別所:続きまして、日本共産党の高橋衆議院議員からお願いします。

高橋:日本共産党の衆議院議員の高橋千鶴子です。厚生労働部会長をしております。比例東北ブロックから選出です。よろしくお願いいたします。

別所:本日はよろしくお願いします。まず、最初に待機児童の問題の解決は、共働きの世帯やあるいはシングルマザーなど、限られた人にとっての問題では実はなくて、少子化の解消とか女性の社会進出とかライフワークバランスなどの実現の日本全体で考えるべき課題の解決につながるものがあると思っています。だからこそ、国全体で負担を分かち合う消費税がその財源に充てられていると理解しています。
まず、最初に待機児童の解消という手段を通じて、最終的にどのような課題を解決したいとお考えなのかというところから、先生方の問題意識についておうかがいしたいと思っています。最初に、ここで待機児童という言葉が出ていますので、ご覧になっていただいている方々には待機児童の定義をご存じない方もいらっしゃると思いますので、最初にご紹介させていただきたいと思います。

保育所入所待機児童の定義

待機児童というのはきちんと定義されておりまして、調査が行われた時点で保育所の入所申込が提出されていて、入所要件に該当はしているのだけれども、入所していない方々というものを把握した数となっております。

保育所待機児童数及び保育所利用率の推移

その数なのですけれども、このようにほぼ、実数でいうと2万人前後というようになっています。ところが、折れ線グラフのほうをみていただくとお分かりのように、実はこれは3歳未満の児童の方々の保育所の利用率を示しているのですけれども、だんだん利用率自体は上がってきていまして、今は4人に1人以上の方が保育所を利用している。つまり、保育所の数も増えていれば、定員も増えないと利用率は伸びないわけですので、そういう利用率の伸びと合わせてみても、実はなかなか待機児童が解消されていなかったということが分かっていただけると思います。

厚生労働省「待機児童解消等の推進など保育の充実」に係る予算額

これは実は手をこまぬいて国がみていたわけではなくて、厚生労働省の予算額をみても待機児童解消等の促進のためにこれだけの予算が、毎年使われていたことになります。こういった多額の予算を使って待機児童の解消をしようとしていらっしゃるのですけれども、そこの先目指すもの、待機児童を解消してその先に目指している姿というものを最初におうかがいしたいと思っております。最初に丸川議員からお願いできますでしょうか。

丸川:もちろん、働きたいけれども保育所に預けられないから働けないというお母さんの今の保活の苦しみからまず救い出すというのは、目先、一番、私自身も保育園に預けながら働いている身としては実現したいところでありますけど、同時に待機児童の解消というのは1つの手段であって、女性が生きていく上で何か1つ選んだ時に何か1つあきらめなければならないという状況が今までずっと続いてきているかなということの1つが待機児童だと思うのですね。働き続けたいけれども、預けられない。預けたけれども、なかなか体力的にも厳しくていうことで、結局体力のあるすごく頑張る女性だけが自分の思いを叶えられてというような状況が続いてきたことを解消したい。で、子育てを楽しいと思う時間を増やしたいというのが最終目標だと思います。

別所:なるほど、ありがとうございます。今の話ですと、いろいろな方々が自分の人生を選択していく時の幅を広げるためにもそういうことが必要だというふうに考えていくということでよろしいでしょうか。

丸川:それが最終的に日本の活力なり経済力の再生につながると思います。

別所:ありがとうございます。林議員はいかがでしょうか。

林 :丸川さんが今おっしゃったことは非常に重要なことなのですが、それに敢えて加えるとすれば、やはりこの日本という国が長らく低迷してきた中で成長の大きな阻害要因というのは、人口減少、少子高齢化、莫大な借金、この3つです。要するに子どもを持ちたい人が安心して持てない。この問題を解決することで人口減少にも歯止めをかけることができる。少子化にも歯止めをかけることができる。それはすなわち、日本の将来に向かった持続可能な発展につながっていくのだと思います。そういった意味では、今の喫緊のお母さんたちのニーズに応える多様な選択が認められる社会をつくるというのと同時に、その先には日本の将来の姿があるのではないかと思います。
同時にもう1つだけ加えるとすれば、先ほども0~2歳も含めて非常に入所率が増えているという話がありましたが、幼い時にしっかりとした幼児教育をすることで、その子は大人になっていく過程で非常にいい成長をするという結果も、さまざまな報告がなされています。日本というのは当然、今さら申し上げるまでもありませんけど、人が宝ですから。いい人材を健全に、本当に育ってくださる人材を早い段階からしっかりと育てていくというのは国家としてのミッションだと思います。

別所:ありがとうございます。今の話ですと、1つは働いている女性のためではありつつ、後段言われたように実際に保育を受けるお子さんの教育を通じてそのお子さんにそういういいものが還元されていくことも1つの狙いだと理解しました。
その前におっしゃっていた少子化のところなのですが、確かに少子化は進んできていて、解決策の1つとしては今進めている待機児童の解消というのはある程度効果があるかもしれませんが、おそらく多くの方が待機児童の解消だけで少子化の対策になるというふうにはお考えではないと思います。その点、少子化対策という観点からはこれを1つの対策だとすると、その上に上乗せするものがあるとすると、どんなものがあるとお考えでしょうか。

林 :ある意味では、入り口が待機児童の解消なのだと思うのですが、今実際、結婚したカップルが持ちたい子どもの数は2人を超えているのですが、実際は1点数ポイントでずっときているのですね。それはなぜかというと、一番に上がるのは子どもを育てるのにお金がかかりすぎるということ、そして仕事と育児の両立が不安であるということなのですね。そうした意味においては、しっかりと一つひとつの課題をクリアしながら次の世代につながっていくような子ども政策を実現していくということが重要なのだと思います。このまま人口が減っていくと、ここから100年で、100年前の明治時代後期と同じぐらいの人口になるのではないかと推計をされているのですね。やはりこういった事態は何としても避けなくてはならないのではないかと思います。

別所:ありがとうございます。では高橋議員、いかがでしょう。

高橋:はい、待機児童の数の定義が先ほどありましたが、若干途中で変わったという経過があるわけですよね。つまり、認可外の保育所ですとか、あるいは親元に預けているとか、いろいろな形で待ってはいるのだけれど、とりあえずどこかにいるという人たちを入れていないため、実際の待機の数というのはもっといっぱいいる。 例えば、東京都でいうと、厚労省の発表が8,117人なのですけど、党の都議団が調査したことがありまして、昨年の4月なのですけど、21区25市で2万761人という実態があってね。そこを浮き彫りにすることもすごく大事だと思います。 つまり、待っている子どもがどんな状態にいるのかということで、おばあちゃんが体力も本当にきついのだけれども、とにかくずっといるとか。あるいはたった1人で、家庭で待っているというのも実際にありますしね。夜勤の仕事をしているお母さんたちとか、つらい思いで置いていくというそういう実態もあります。だから、そこを本当に浮き彫りにして解決していくことが、子どもたちにとっても大事な意味になるし、お母さんたち、親たちが生き生きと働いていけるという意味での、社会的な意味というのもものすごく大きいのではないか。少子化対策という単純な表現ではなくね。

別所:ありがとうございます。定義のところはなかなか難しいのだと思っているのですが、今おっしゃっていたような方々を含めて補捉していくためにはどういう工夫が必要なのでしょうか。

高橋:取り続けていくということは大事だと思います。ちゃんとデータはあったわけですから、難しいことでは本当はなくて。