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熟論5【6】新成長戦略の実現可能性

別所:ここでもう1つ先生方に、かなり無理やりなお願いをしたいと思います。今回の新成長戦略の実現可能性をどのくらいとみているのかというのを、ざっくり何%ぐらいかというのを書いていただければと思います。竹中先生には、そんなことを書いて数字に意味があるのかと言われそうですけど、わかりやすくということを考えていますのでどのくらいなのかということを。伊藤先生、できましたら。

伊藤:80%。後でまたもう少し詳しくお話しようと思いますが、実現可能性というのは何かということなのですが、こういう重い改革は、10年ぐらい先にどうなっているかということがカギになると思います。そういう意味では、社会がそちらの方向に向かっている中での改革の中身だと思いますから、今年、来年どこまでできるかということになるといろいろな議論が必要だと思いますが、大事な、大きなトレンドの改革が並んでいるではないかなと思います。

別所:ありがとうございます。竹中先生、お願いします。

竹中:これ本当に示し合せたわけじゃないのですが、80%。基本的に政府の正式文書として閣議決定されているわけですから、その意味は重いわけです。その方向に、間違いなく進んでいくでしょう。ただ、制度化、具体的な制度の設計では、先ほど言ったように、それが税制に関しては自民党の税調で議論されて、働き方については労政審で議論されて、そこでいろいろなバトルがあると思いますので、そのバトルの中での総理、官房長官、そして民間議員の頑張り次第だと思いますが、実現していきたいという意味を込めて80%にしました。

別所:ありがとうございます。関口さん、いかがでしょうか。

関口:また75%です。今回の成長戦略をみてもそうですし、過去の成長戦略、最初の成長戦略は小泉政権の最後の時に作って以来、毎年のように作られていると思いますが、我々業界用語というか、こちらの政策立案に携わった先生方もご存じだと思いますが、我々がよくホッチキスという言葉を使うのですが、何かというと、各省庁から上がってくる案を全部ホッチキスでまとめて案を作るというのが霞ヶ関のやり方であります。全部担当している役所の人間がわかっていて、こうやると見栄えが良くなるだろうというものを上げてきます。一方で、どこでピンを抜くと、それがズブズブになるかということも知っていて提案をしてくるものですから、後になってピンがどんどん抜かれていく。それで結果的に実行性を伴わないものになってしまうというのが過去何回も繰り返してきています。だから私は、今回は安倍首相のリーダーシップには高く評価していますし、期待しているわけです。それをやめさせないということが大事なのですが、一方で役所のそういうメカニズムもあるので、そこのところを国民目線で注視して、逆戻りしないように応援していく必要があるのではないでしょうか。

別所:ありがとうございます。実現可能性についておうかがいしたのですが、実現可能性をどうしてみていくかということに関しては、今回の新成長戦略に1つ特徴があるのではないかと思っています。何かというと、KPIというものが書き込まれたことではないかと思っています。

こちらに書き込まれたKPIの1つの例を持ってきましたが、こういう数字をKPIとして出していて、これがどの程度達成されたのかということをきちんと追いかけていきましょうということが書かれています。こういう数字を出してくるというのは、試みとしては、政府が出しているものに関しては珍しいものだと思っていますので、ここがきちんと活かされればいいと思っているのですが、1点だけ疑問がありまして、ここを先生方におうかがいしつつ、少しKPIの考え方を変えられないかなと思っています。
と言いますのは、KPIを企業で設定する時は、こういうふうに考えています。

KGI、最終的なゴールは何かを考えて、これを分解してKPIにするわけです。例えば、小売業の場合には、売上の拡大というのがKGIとしてあったとすると、そのKGIに貢献するのは何かというと来店者の数で、その来店者の人でどのくらいの人たちが購入しているのかという購入率で、それに購入単価を掛けたものが売上になる。こういうKPIに分解することで、来店者数はどうやったら増えるのかとか、来店者の方の購入率はどうやったら増えるのかとか、購入単価はどうやったら増えるのかというそれぞれの要素に分解していくことでKGIを達成していく。これがKPIの作り方だと思っているのですが、今、残念ながらここに書かれているKPIは、KPIかな?というものが並んでいると思っています。KPIをうたっていただいたのであれば、結構大変だと思いますが、本当のKPIを作成するという、プロセスを踏まえていただけると、より一層、見ていてどこまできているかがわかるのではないかと思っているのですが、このKPIに関して竹中先生、いかがでしょう。

竹中:KPIを、去年、三木谷さんと私が会議の中で提唱したのですが、こういう目標というのはこれまでの成長戦略でも随分作っています。決して初めてではありません。民主党政権の時の成長戦略は、もっと詳しく作って、まさにさっき言ったような要因分解をやっています。要因分解はできるし、KPIを出してくる段階で各省庁は当然そういう要因分解をやっているわけですね。要因分解をやらないと、この数字の根拠は何かと国会等々で必ず聞かれますから、そのことはたぶんやっていると思います。ただし、今までのKPIと何が違うかというと、数字を出した後、フォローアップしたか、しなかったかという違いだと思います。今回、フォローアップを一応して、今までフォローアップできなかった理由はただ1つです。1年で内閣がなくなったから。別の内閣になってフォローアップしなかったが、今回は内閣が続いていますから、フォローアップをして、その中でそういうようなエレメントの議論は当然なされていくと思います。

別所:わかりました。うかがって安心しました。後ろ側にはちゃんとそういう要因分析があるということがあるということですね。

竹中:場合によっては、そういう要因分析している場合とか、各国の平均的な伸び率から換算して伸び率でやっているもの、いろいろやり方は多様だと思います。