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概算要求に見る日本のIT政策

今年も8月下旬に、各省庁から概算要求が公表されました。今年は概算要求額が初めて100兆円を超えたことでも話題となっています。
政府が政策を実現するに当たって、予算は非常に重要な役割を担っています。この予算の中身を見ていくことが、この国がどういう方向に進んで行こうとしているかを紐解くカギにもなります。

概算要求とは、翌年度に必要な予算として各省庁が財務省に対して提出するものです。概算要求提出後は、財務省が査定を行い、年末に政府予算案が取りまとめられます。その後、国会の審議を経て、正式に予算が成立します。これらの過程で概算要求の内容は変更されていくので、概算要求に含まれた予算が、必ずしもそのまま計上されるわけではありませんが、少なくとも、概算要求には各省庁が翌年度、こういう政策をしたいと考えているという意思が表れています。
概算要求から、日本のIT政策は、どのような方向に向かおうとしているのかを見てみたいと思います。

まず、総務省は、「新たなイノベーションを創出するICT成長戦略の推進」のために739.8億円を要求しています。この中でも半分以上を占めるのが「世界最高レベルのICT基盤の実現」です。具体的には、8K映像等の巨大なリアルタイムデータの流通等に対応するための光ネットワーク技術の研究開発などを進めるとされています。
また、「ビッグデータ・オープンデータの活用」や「“データサイエンス”力の向上」、「「異能vation」プログラム等の推進」といった予算も要求しており、データの利活用を進めるとともにそれをさせる人材を育成していくという考えが見て取れます。
総務省は、さらなる通信インフラの整備、人材育成などにより、データ利活用を進める環境を整えていくという考えが見られます。

次に、経済産業省を見てみます。経済産業省のIT関連の概算要求では、「大規模HEMS情報基盤整備事業」と「サイバーセキュリティ経済基盤構築事業」が大きな割合を占めています。前者はHEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)から得られるデータを活用した新規事業創出を目指すもので、後者は高度標的型サイバー攻撃を受けた組織に対する支援を行うものとされています。
経済産業省は、ITの安全性を高めつつ、データを利活用した具体的な事業創出に力を入れているように見えます。

総務省と経済産業省は、政府のIT政策に大きな影響力を持つ省です。この両省は、共にデータ利活用を推進していこうという方向に向いていることが見て取れます。これは、まさに成長戦略にも掲げられた方向性と合致するものです。
もちろん予算だけあれば、データ利活用が進むという単純なものでもありませんが、この概算要求に込められた意思を実現につなげていただき、それがデータ利活用を通じた日本のIT産業の国際競争力強化につながることを願います。