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熟論6【4】地方の財政

別所:では時間も限られておりますので、次に、地方が頑張るために必要となってくる予算について、考えたいと思います。では基礎情報を茂木さん、お願い致します。

茂木:はい、お伝えします。地方の歳入の現状です。歳入の内訳を見ますと、自治体自らの裁量で自由に使える一般財源は、都道府県レベルが26兆7949億円で、歳入全体の56.4%。市町村レベルが、29兆1441億円で、55.1%となっています。次に、地方の財源の不足額をみます。財源の不足額は、北海道が6614億2800万円と一番多く、次いで、兵庫県、大阪府、新潟県の順番となっています。一方、不足額が少ないのは、東京都が不足額0。次いで、神奈川県、愛知県の770億円台となっています。

別所:ありがとうございます。地域が自力で頑張ろうとした際に必要になる財源について考えてみたいと思います。現在衆議院を通過した法律には、法制上、財政上の必要な措置をとるということだけが記述されていまして、具体的なことは、その法律自体には記述されていません。基礎法ですので、細かいことはこれから決まっていくと思っております。重複とか、縦割りとか、ばら撒きはもうやめていくのだと石破大臣も仰っていますので、具体的にどういうことを想定して、地方に財源を提供していこうとお考えなのか、というお話を伺えればと思います。

石破:足りないものは必ず国がみてよね、というのが地方交付税の持っている財源保障機能というものです。あるいは、自治体同士の不均衡は起こさないよというものが財源調整機能というものですよね。保障機能と調整機能があります。その地方に足りないものは国が全部お支払いいたしますよと来た訳ですが、それが国はどえらい借金になった訳で。そこはやはり基本的に自治体でもっと稼いでね、と言わねばならんことです。もっと税収上げてねと言っていかなければなりません。そこはもう財源の移譲と絡む話ですが、今まで頑張ったところに対して、まだインセンティブが足りないのだと思っています。頑張ったらもっと良いことあるもんねという、その財源保障機能も、財源調整機能も、結果平等を目指すものであって。頑張ったところがもっと良い事あるよと、もっと頑張ろうねというかたちの、地方交付税の仕組みというものが組めないかなと漠然と考えていますが、要は地方が税収を上げていくために、国として何のお手伝いが出来るかしらという発想は、私は必要なものだと思っています。そして地方が、必ずしもその地域にジャストフィットしている訳ではないが、補助率は高いよねと。これは負担国が見てくれるよね、だからこの補助事業とろうかなということではなくて、自由に使えるお金をもっと増やした方が良いんでしょう。だけど、増やしたことが税収アップに繋がり、住民の幸せに繋がるということを、ちゃんとその地域で検証してもらうというシステムを作らないと、それは結局地域にとってのためにはならんと思います。

別所:ありがとうございます。地方自治体自らが税収をきちんと確保して、上げてく努力をするというのが前提だというお話だと思います。法律そのものにはそこまで書かれていなくて、財政上の措置を取るということしか書かれていませんが、今大臣が仰ったことを前提に、国としてはインセンティブを付けていくということを考えていたと理解いたしました。もう一つ、この法律は基礎法というか基本法ですので、細かい事が書かれていない部分はこれからの課題ではないかと先程申し上げたのですが、財政の部分についても、今の地方交付税の制度を含めて、必要なものは色々なところを変えていくのだと、私共としては理解をしておけばよろしいでしょうか?

石破:これはもう連綿と戦後積み重ねてきたことで、60年余りずっとこれでやってきた訳ですよ。これを変えるには相当の抵抗があります。変えるのに1年2年はかかるでしょう。地方はもっと税収を上げる努力をしてよね、とか言うと、何を言っているのだと。今まで国がお金くれたじゃないかと。地方はもっと頑張って税収上げろとは何事であるか、とかいう反発が必ずくる訳ですよ。ですが、今までのモデルが通用しないとするならば、生産性を上げる。ましてや今は、地方は人手不足を起こしている訳ですよね。今までは、地方における雇用というのは、1人で出来ることを3人でやるみたいなことで、雇用の安定があった訳ですが、今はそれでは給料は高くないと。雇用も安定しないと。これがやりがいというものに直結しないとするならば、地方においてそういう働き方のモデルとか、生産性を上げることによって、よそからも人が来る、良い金の流れが出来る、そしたら税収も上がるでしょ。それに対して国は何のお手伝いをしますかということへ段々切り替えていかないと、それは結局その負担のババ抜きみたいなかたち。先送りみたいなかたちで。じゃあ誰かが負担するんだよね、次の時代が負担するのだよねということは、もう限界だと思いますよ。

別所:わかりました。今、段々切り替えていかなければというお話でしたが、今までのシステム、仕組みというのが連綿と続いてきた中で、これから変えていくというのは、かなり重大な決意で臨んでらっしゃるのだろうと思っております。増田さんはその点についていかがお考えですか?

増田:そうですね、今大臣がご指摘になったように、地方交付税には長い歴史があります。もうそろそろ、制度改正は本当に考えないとね。例えばA市とB市があって、A市が一生懸命汗かいて企業誘致する訳ですよ。そこが段々に税収上げる程良い企業になってくる。そういう汗かいて、折角それを誘致したら、交付税を減らされて。一方隣のB市はもうボケっとして何もせず、その内財源が足りなくなってくる。そうするとボンッと交付税が来て、それで全部保障しましょうと、こういうことになりかねない、そういう制度にも地方交付税はなっています。ですから、本来自治体間が良い意味で競争をして、アイデアをどんどん出していく。これはもう随分昔、それこそ大分に平松さんという立派な知事さんがいて、一村一品をやり始めて。そしたら熊本の細川さんも負けずと、熊本だって良いものがあるぞと言って色んなことを頑張りだした。それから、神奈川の昔知事をやられた長洲さんという方の書いているものをよんでいたら、自治体間の競争。良い意味での競争が基本だとお書きになっていました。確かに企業が東京に集中するため、東京と比較すると、自治体間の財政構造の差は広がってきていますが、それを調整しなくちゃいけないということで、財政調整。財政保障とか財政調整の方に行き過ぎた感じも一方でします。だから、地方交付税制度も、ここで時間をかけて大胆に見直しをする。どうしても時間はかかるけれども、良い意味で競争をして、成果を出したところにもっとかたちが現れるような制度にしていくのは、必要だろうと思いますね。

別所:なるほど、わかりました。地方自治体間の競争という言葉がでてきましたが、今までなかなか地方自治体間で競争をするというような意識は、なかなかなかったんではないかと思います。競争ということを言い出したときに、地方自治体の方からの抵抗は、予想されているものなんでしょうか?石破大臣、いかがでしょう?

石破:それも色んな地方の団体の長の方々と会議をしても必ず出るのは、「格差作る気ですか?格差を認める気ですか?」と言われる訳ですね。私はお答えして、「最初から駄目なところがあることを前提にしていること自体おかしくないですか?」最初からあそこは駄目だとか、ここは駄目だとか、そんな所があると私は思いません。勿論その憲法で保障された、セーフティネットはきちんとありますよ。セーフティネットはきちんと張るけれど、その上で、本当に一生懸命考えてみて、どうすればお客さんが来るだろうかというのは、徹底的にやってる所は実際ある訳です。そして、伸びている町は、必ずしも高速道路が近くにあって、新幹線が来て、空港が近くにあるところばかりが伸びているとは限らない。そこにしかない物、そこにしかいない人があれば、よそからいくらでも人は来るんですよ。「そんな人はうちにはいません」と、「そんなところうちにはありません」と言うのなら、それはそれで良いでが、日本国ってそんなでしょうか?何もない所、どんなにまっとうな人もいない所、私はそんな所が日本にあるとは思わないですね。

出演者:
石破茂 地方創生担当大臣
増田寛也 日本創成会議座長
熟論第6回「地方創生に向けて〜日本は変われるか?〜」