定型約款がインターネットビジネスに与える影響(『Business Law Journal(ビジネスロー・ジャーナル)2015年7月号』)
『Business Law Journal(ビジネスロー・ジャーナル)2015年7月号』の「民法改正の評価・影響・対応」という特集に「定型約款がインターネットビジネスに与える影響」と題した記事を寄稿しました。
民法改正の検討が開始された当初から定型約款に関する規定を民法に置くべきだという意見を述べてきた立場から、現在国会で審議されている「民法の一部を改正する法律案」(改正法)について検討しています。
これまでYahoo! JAPAN政策企画は、定型約款に関する民法の規定が存在しないために、インターネット事業者は不安定な状態でビジネスを行っていると主張してきました(参考:約款および不当条項規制に関する意見)。
また、他の事業者の意見は、定型約款に関する規定を民法に置くことの是非に終始するものが多く、個別の規定案について述べたものはそれほど多くなかったように見受けられる中、Yahoo! JAPAN政策企画は、パブリックコメントやブログなどにおいて以下のような意見を述べてきました。
・定型約款の組入れ要件(定型約款が契約の内容になるための要件)を民法に規定すべきである
・定型約款を用いることに対する合意は組入れのための要件としては不要である
・いわゆる不当条項はブラックリスト、グレーリストではなく信義則、公序良俗のような一般原則で契約内容となるか否かを判断すべきである
・定型約款の合理的な変更は相手方当事者の個別の同意がなくても認められるべきである
『Business Law Journal(ビジネスロー・ジャーナル)2015年7月号』では、そのような経緯も踏まえ、改正案の「定型約款に関するみなし合意」、「信義則に反する条項」、「定型約款の変更」、「定型約款に関する経過措置」の具体的な規定に対する簡単な評価を行っています。
また、全99回におよぶ民法(債権関係)部会の議論のごく一部に過ぎませんが、これまで民法(債権関係)部会の資料で示された定型約款に関する規定案もいくつか紹介してみました。
民法(債権関係)部会のサイトには、これまでの資料、議事録も掲載されていますので、ご関心とお時間のある方は『Business Law Journal(ビジネスロー・ジャーナル)2015年7月号』とあわせて民法(債権関係)部会の資料、議事録もご覧いただけるとよいと思います。
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