Yahoo! JAPAN 政策企画

台湾のChildren’s Mobile Safety Forumにゲスト参加

6月2日、台湾の中國文化大學(Chinese Culture University)で2015兒少行動上網安全跨國論壇(Children’s Mobile Safety Forum)が開催されました。このフォーラムにYahoo! JAPANも一般社団法人セーファーインターネット協会(SIA)の会員として参加し、ゲストスピーカーとして日本のインターネット企業の青少年保護の取り組みやインターネット上の違法・有害情報対策について報告してきました。

このフォーラムは、台湾の社団法人中華白絲帶関懐協会(Cyber Angel’s Pick, CAP)とNPOの政大數位文化行動研究室(Action Research for Kids & Kinship, ARK)が主催し、台湾の官民の関係者を招いて行われたものです。政府から行政院政務委員や國家通訊傳播委員會(National Communications Commission)のコミッショナー、民間から通信キャリア大手の遠傳電信(Far EasTone Telecommunications)の社長らが参加するなど、インターネット上の青少年の保護に取り組む台湾の官民の重要人物が集うイベントでした。こうしたフォーラムを実現させるために手腕を発揮したのが、國立政治大學(National Chengchi University)の黄●(草かんむりに威)威教授(Prof. Wei-wei Vivian Huang)です。青少年の安全なインターネット利用について研究するとともに、CAPやARKの代表として青少年保護のための教育・啓発事業やホットライン業務(違法情報に関する通報を受け付け、サイト管理者やプロバイダに削除依頼を出す業務)などの実務も行っている方です。今回、日本の私たちに参加を呼びかけてくれたのも黄教授でした。

昨年、黄教授が日本におけるインターネット上の青少年保護の施策について調査するために来日しSIAと議論した際、海外サイトに掲載された違法情報への対応という共通の課題を有していることを確認したことなどから、今回、日本からは、民間企業による自主取り組みを行っている団体としてSIAが、保護者や青少年向けの啓発活動を行っている団体として一般財団法人インターネット協会がゲストスピーカーとして招かれました。

フォーラムでは、まず、黄教授がCAPやARKの活動について説明。CAPやARKでは、青少年保護の取り組みの一環として、SIAと同様に、一般のインターネットユーザーから申告を受け付け、その内容に応じて警察や関係機関への情報提供、サイト管理者への削除依頼などを行っています。また、青少年をインターネットから隔離するのではなく、安全に使いこなせるようインターネット利用に潜むリスクについて教育していくことが強調されていました。もっとも、同時に、そもそも青少年が自ら有害な情報に近づかないよう人格の教育に言及があったことは、台湾に特徴的な要素に思われます。

その後、台湾企業の取り組みとして、通信キャリア大手遠傳電信の李社長が自社における青少年保護の取り組みについて報告。李社長の発表のタイトルは、“Who’s the Gatekeeper?”。青少年のスマートフォンや携帯電話の利用動向や自社における青少年保護の対策について解説があった後、Gatekeeper、つまり青少年のインターネット利用を管理し、責任を持つ主体は、保護者であることが強調されました。そのうえで、遠傳電信が保護者向けに提供している、安全なスマートフォン・携帯電話利用のためのチェックリストや親子がインターネット利用のために対話する機会を提供するための取り組みの紹介がありました。

SIAからは、違法・有害情報の削除に向けた現状や課題について、特に台湾との共通課題である海外サイトへの対応への説明に重点を置きながら、以下のとおり報告しました。

  • ・SIAに寄せられる違法・有害情報の通報内容、INHOPE(ヨーロッパを中心とした約50カ国のホットラインセンターの連携組織)やIHC Japan(インターネット・ホットラインセンター)の統計から判断するに、児童ポルノやリベンジポルノなどの青少年の権利を著しく侵害する違法情報の多くが、複数の国のサーバーに散在しており、海外サイトに掲載された違法情報にいかに対処するかが日本と台湾の共通した課題である

    ・一般的に、海外サイトに掲載された違法情報の削除にあたっては、違法情報の定義が各国で異なること、違法情報の削除に関するプロバイダ等の法的責任の範囲が各国で異なることなどがハードルとなると考えられている

    ・もっとも、現在流通している、違法情報の多くが違法行為目的の悪質サイトではなく、一般消費者向けサービス(SNS、メッセージアプリ、動画共有サイト等)に掲載されており、サービス提供者が申告等を受けることで違法情報の存在を認識できれば、各サービス提供者の利用規約に基づき削除措置を取ることが可能である

    ・したがって、たとえ海外サイトに掲載されている情報であっても、それが消費者向けサービスとして提供されていることも多く、そのサイトの運営者に適切に違法情報に関する通知を届けることができれば、削除などの対応が可能である。実際、SIAでは海外サイトに対して削除依頼を行っており、児童ポルノやリベンジポルノの動画や画像は相応の割合で削除されている

    ・もっとも、上記対応ではカバーできない海外サイト掲載の違法情報があることも事実であり、この部分について自国の法制度や掲載サイトの運営実態により精通している当事国のホットラインに対して情報提供し対応を促すことができれば削除を実現できる可能性がある

  • 日台で共通の課題がある一方、児童ポルノやリベンジポルノのような特に深刻な違法情報を対象とするのか、申告件数が多い成人ポルノを対象とするのかなど、どのような違法情報に対して上記の連携を重点的に進めるかについては、現時点では日本と台湾の考えに差異があります。

    SIAとしては、まず台湾との連携の余地を模索しながら、これをきっかけにアジア各国とホットライン業務での連携を進めることで、より実効的なインターネット上の違法・有害情報対策が可能になるのではないかと考えています。

    なお、このイベントへの関心は高かったようで、台湾メディアでも報じられました。
    自由時報:維護兒少網安 張善政:需國際間合作
    http://news.ltn.com.tw/news/life/breakingnews/1336465
    台灣醒報:台灣醒報守護兒少網安 家長民團要聯手
    https://anntw.com/articles/20150602-Z5nW


    最後になりますが、台湾といえば、夜市での食べ歩きです。今回は短期の出張だったため時間が限られていましたが、運よく宿泊したホテル近くにも公館夜市という夜市があり、フォーラム後に足を運んでみました。ずらっと並ぶ屋台を制覇していくぞと意気込んだものの、哀しいかな筆者もかつての若かりし頃のようには食べられません。その日のランチ(鼎泰豐で小龍包をかなり食べてしまいました)が遅かったこともあり、不本意ながら、肉まんのような食べ物(右側写真)と麺類を食べてそこで満腹、せめてあと2品+デザートくらいはと意気込んでいたのですがあえなく白旗、食欲旺盛な台湾の若者を羨ましく眺めながら帰路につきました。