Yahoo! JAPAN 政策企画

遺体や殺害シーンを撮影した動画像に対する新たな取り組み

Yahoo! JAPANでは、日本のインターネット企業の有志によって運営されている一般社団法人セーファーインターネット協会(SIA)を通じて、これまでも児童ポルノ、リベンジポルノ、危険ドラッグなどのインターネット上の違法・有害情報への対策に取り組んできました。昨年から、海外での邦人殺害事件などが生じた際、インターネット上での遺体や殺害シーンを撮影した動画や画像が流通することに対して批判が高まっていましたが、SIAでは、こうした情勢を踏まえ、インターネット上での遺体や殺害シーンを撮影した動画像に対する新たな取り組みを開始しました。

SIAでは、一般のインターネットユーザーから通報を受け付け、また、自ら悪質サイトを探索することで、インターネット上の違法・有害サイトの把握に努めています。こうして把握した違法・有害サイトに対して、SIAでは、国内外を問わず、サイト管理者やプロバイダに対して削除を要請するとともに、特に悪質な情報については警察への通報を行っています。

このようなSIAの活動の主な対象は、児童ポルノ、リベンジポルノ、危険ドラッグなどの違法情報、いじめの勧誘などの有害情報でしたが、今回、新たに有害情報に遺体や殺害シーンを撮影した動画や画像を追加しました。詳細は、こちらをご覧ください

このような新たな取り組みを始めるきっかけとなったのは、昨年から今年にかけて国内にも大きな衝撃を与えた、過激派組織による日本人の拉致・殺害事件です。その際、遺体や殺害行為を撮影した動画や画像がインターネット上に流出したことで、「遺族感情を著しく傷つける」、「子どもや一般のインターネットユーザーに強いショックを与える」ものだという指摘がなされました。

他方で、戦争、テロ、事故などの悲惨さを訴える表現物や言論など、公共性の高い表現のなかには、遺体や殺害行為に関する情報が含まれることがあります。そもそも、遺体や殺害行為の画像や動画をブログに掲載したり、SNSに投稿することは、その時の社会情勢や表現方法などのさまざまな「文脈」次第で、民事上の責任を負ったり、社会的に非難を浴びることもあれば、社会に認知されていない問題を広く知らしめ、議論を喚起し、社会問題の解決につながるきっかけになる場合もあります。したがって、遺体や殺害行為の画像や動画に対して一律の対応を取ることは難しく、SIAの活動は、この種の画像や動画の削除を望む方々の立場と、表現・言論活動を行う方々の立場や、情報を欲する多くのインターネットユーザーの立場をバランスよく考慮する必要があります。

これまでも、SIAでは、自らの取組みがインターネットに起因する社会問題の解決と「表現の自由」の保護をバランスよく反映したものとなるよう、大学教授や弁護士などの第三者の専門家から構成されるアドバイザリーボードを設けて、自らの活動の妥当性について客観的な視点から助言をいただき、それを反映して活動を続けてきました。

今回新たに取り組むこととなった、遺体や殺害行為を撮影した動画や画像についても、アドバイザリーボードにおいて、表現の自由に最大限配慮しながらも、遺族やこうした画像などの閲覧を希望しないインターネットユーザーを守るにはどうしたらよいか、今年4月から議論を続けてきました。

この議論を踏まえ、SIAでは、遺体や殺害行為にかかる動画や画像のすべてに削除依頼を出すわけではありません。表現の自由を最大限保護し、表現行為への萎縮を最小限に限定するため、問題となる画像や動画の内容、それらが掲載されているウェブサイトの内容、どのような注意書きが付されているか、削除を求める申告者の方の立場などを個別の事案に応じて総合的に判断しながら、慎重に対応を進めていきます。こうした、遺体や殺害行為の動画や画像に限らず、SIAでは、今後も継続的にインターネット上の違法・有害情報の削除に努めながら、活動を通じて得たデータと分析をもとに、表現の自由に配意しつつ、中長期的な視座に立った違法・有害情報の排除のための施策を実施してまいります。