消費者契約法の見直しについて
現在、消費者契約法の改正に向けた議論が、消費者委員会の消費者契約法専門調査会において進められています。
同専門調査会においては、今回の法改正の理由の1つとして、情報通信技術の発展によってインターネットを通じたサービスが消費者に広く普及したことなどが挙げられています。この法改正の議論を、事業者や事業者の提供するサービスの実態を踏まえたバランスの良いものとしてもらうべく、Yahoo! JAPANを含むインターネット関連事業者、事業者団体、法学者、弁護士の総勢約30名が集まり、本年3月に「消費者法制の見直しに関する研究会」を立ち上げ、議論を続けてきました。
この研究会の意見が、商事法務刊行のNBL(New Business Law) 2015年7月号に掲載されましたので、ご紹介します。
消費者契約法は、消費者と事業者間の契約関係を一律に規律する法律であり、その改正はインターネットビジネスに限らずBtoCビジネス全般に大きな影響を与えます。しかし、現在進んでいる法改正の議論に対しては、事業者の関心も消費者の関心もそれほど高くないように見受けられます。
改正法案は、本年8月の専門調査会での取りまとめを経て、早ければ2016年の通常国会に提出される見通しとなっています。
「消費者法制の見直しに関する研究会」は月2回の頻度で開催され、消費者契約法専門調査会の委員や消費者庁の事務局を招き、事業者の実務実態を具体的に説明してきました。また、同専門調査会に研究会として意見書(前半 、後半 )を提出するなどして、消費者契約法の見直しが事業者、消費者に与え得る影響について意見表明を行ってきました。
NBLに掲載された当該研究会の意見では、改正による事業者への影響が特に大きいと思われる以下の論点について、消費者庁による提案の概要、事業者にとっての論点を示したうえで、当該研究会の意見が紹介されています。
ぜひお手に取ってご覧ください。
ご関心をもたれた方は、消費者契約法専門調査会の資料等もご参照ください。
【1】総則
(1)契約条項の平易明確化の法的義務化(法第3条)
【2】不当勧誘規制
(1)「勧誘」概念の拡張(法第4条)
(2)情報提供の法的義務化(法第3条)と「不利益事実の不告知」の改正(法第4条)
(3)第三者による不当勧誘(法第5条)
【3】不当条項規制(法第8条~第10条)
(1)不当条項の類型の追加
カテゴリー「債権法・消費者法」の記事
- 消費者契約法改正案の概要 ~情報通信技術の発達・高齢化の進展や若年成人の救済等の社会経済状況の変化への対応~ (2018/04/11)
- 民法改正記念対談シリーズ (下)「経済戦略としての民法へ」 (2017/11/08)
- 民法改正記念対談シリーズ (中)「『定型約款』制度の規定化をめぐって」 (2017/11/08)