Yahoo! JAPAN 政策企画

「ツール・ド・東北」で民泊を

2015年9月12日~13日、Yahoo! JAPANは河北新報社との共催により、今年で3回目となる「ツール・ド・東北2015」を開催します。「ツール・ド・東北」は、東日本大震災の復興支援、震災の記憶を未来に残していくことを目的に、参加者らが石巻、気仙沼、女川、南三陸を自転車で駆け抜けるイベントです。今回は、このイベントを裏で支える宿泊施設についての新しい試み、有料での「民泊」の実施を紹介します。「ツール・ド・東北」では、過去2回の開催時には無料で民泊を行ってきました。今回の「有料化」の狙いはどこにあるのか、このことが東北の復興にどのように繋がっているのか、簡単に説明したいと思います。

東北の復興支援のために2年前に始まった「ツール・ド・東北」ですが、昨年は出走者だけで約3,000人、同行者やボランティアスタッフも含めると、さらに大勢の方々が参加し、サイクリングイベントとしては非常に大きなものとなりました。大和総研の調査によれば、7億円を超える経済効果があることが示されています。

イベントの開催期間中、出走者やその家族、運営スタッフなど数千人が会場となる石巻市を訪れる一方、石巻市周辺の宿泊施設は数に限りがあり、第一回の開催当初から深刻な宿不足が大きな課題となっていました。

この課題を解決するために行われたのが民泊です。

民泊とは、一般の家庭に旅行者らを宿泊させるもので、1958年の富山国体で、選手らが泊まる宿泊施設の不足を補うために、大々的に実施されたのが始まりとも言われています。その後、他の地域でも国体開催時には民泊が実施され、その多くは、宿泊者が宿泊料を支払う「有料」の形式で実施されてきました。

「ツール・ド・東北」でも、過去2回、深刻な宿不足を解決するために、石巻市周辺の一般家庭の方々にご協力をお願いし、参加者が寝泊まりするための場所を提供していただきました。

もっとも、人を宿泊させるにはさまざまな費用が生じますが、こうした費用を地元の方々に負担していただくのは、そもそもの復興支援という目的にそぐいません。
そのため、Yahoo! JAPANでは、当初、国体開催時の民泊では旅館業法に定める許可を得ることなく有料での宿泊が行われてきている事例などを参考に、「ツール・ド・東北」でも宿泊者にはせめて実費程度は負担していただこうと考えていました。ところが、これまで、これを実現することはできませんでした。宮城県から有料で宿泊させると旅館業法に抵触する可能性があるとの見解が示されてきたためです。結果として、「ツール・ド・東北」では、これまで、やむなく無料での民泊を行ってきたのです。

そのようななか、民泊を利用した方々から、無料で泊めていただくのは心苦しいとの声が聞こえてきました。同時に、運営スタッフとしても、自宅を提供してくださる方々の負担を少しでも軽減したいとの思いがありました。こうした思いを実現するため、Yahoo! JAPANは、有料での民泊実現を政府の規制改革会議に要望しました。

その結果、2015年6月30日に閣議決定された規制改革実施計画において、イベント開催時で、宿泊施設の不足が見込まれ、公共性の高い場合には、自宅を提供することは、旅館業法の適用外であるということを明確にすることが決定されました。

これにより、今回から、「ツール・ド・東北」での民泊も旅館業法の適用外であることが明確にされ、今年以降、有料での民泊を実現できるようになりました。「ツール・ド・東北」が、今後も参加者と地域住民とのつながりを深める存在であり、また、参加者が東北の魅力を知り、再訪のきっかけとなるためには、地元の方々の継続的な協力が不可欠です。そのためには、このイベントが、ご協力いただく地元の方々に無用な負担をおかけしないよう運営することが重要です。今回の有料民泊の実現は、そのための一歩となったのではないかと思います。

また、イベントなどを通じて外から人を呼び込んで地域を活性化していくというのは、東北の被災地に限らず、日本全国多くの地域に共通の課題と言えます。こうしたイベントの開催にあたって、有名観光地を除けば、宿泊施設の確保がネックになっている例も多いのではないでしょうか。

規制改革実施計画によれば、「ツール・ド・東北」だけの例外的なものではなく、宿泊施設が不足し、公共性が高いと認められる場合には、他のイベント開催時でも同様に旅館業法の適用外になることが明確に示されています。

今回の有料民泊の実現が、宿泊施設不足に悩む地域の新たな取り組みを活性化させ、復興や地方創生につながれば何よりです。