Yahoo! JAPAN 政策企画

世界情報社会サミット(WSIS)+10国連総会ハイレベル会合に出席(前編)

2015年12月15日から16日にかけて、アメリカ・ニューヨークの国連総会において、世界情報社会サミット(WSIS)成果の実施に関する全体総括レビュー・ハイレベル会合が開催されました。
今回、Yahoo! JAPANはこのハイレベル会合に参加してきましたので、ご紹介します(14日から並行して開催されたサイドイベントにつきましても参加してきましたが、サイドイベントの様子については、後日後編の中でご紹介します)。

1.世界情報社会サミット(World Summit on the Information Society : WSIS)とは?
世界情報社会サミット(WSIS)とは、情報通信技術(ICTs)の発達がもたらすさまざまな利益を世界中の全ての人々が享受できるよう、情報社会に関する課題を特定し、その解決のための具体的な政策や枠組み等を検討する枠組みです。
今回、Yahoo! JAPANはこのWSISのハイレベル会合や関連のサイドイベントに参加しました。なぜYahoo! JAPANのような一民間企業でもこうした会合への参加が可能なのでしょうか?
その理由こそが、WSIS関連会合の特徴である「マルチステークホルダー・アプローチ」です。すなわち、これらの会合は、世界各国の政府や国際機関のみならず、民間セクターやアカデミア、市民社会の人々も参加することができます。いわば世界中の全ての人に開かれた情報社会に関する国際会議であり、2003年には世界175カ国から11,000人を超える参加者が、2005年には174カ国から19,000人を超える参加者がありました。
WSISにおけるこれまでの議論を振り返ると、2001年の国連総会決議にしたがい、これまで2 回にわたりWSIS会合が開催されました。すなわち、2003年のスイス・ジュネーブでの会合(WSIS I)では、「原則宣言(Declaration of Principles)」および「行動計画(Plan of Action)」が採択されました。2005年のチュニジア・チュニスでの会合(WSIS II)では、「チュニス・コミットメント(Tunis Commitment)」および「情報社会のためのチュニス・アジェンダ(Tunis Agenda for the Information Society)」が採択されました。
今回の会合は、「チュニス・アジェンダ」に従い、この2回の会合で採択された成果文書の実施に関する進捗(しんちょく)状況を検討するとともに、開発や情報格差、人権やサイバー・セキュリティー、インターネット資源管理等のさまざまな格差や課題を特定し、今後の取り進め方を決定するためのものです。


(国連本部ビル)


2. WSIS+10 国連総会ハイレベル会合
12月15日から16日にかけて、国連総会の議場で全体会合(Plenary Session)が開催されました。全体会合の目的は、過去2回にわたり開催されたWSIS成果の実施に関する文書を、各国間で事前に議論を行い合意に達した上で、全体会合の場で採択することでした。そのため、これまで作業が続けられ、11月19日から26日にかけては成果文書案に関する非公式会合が行われました。しかし、いくつかの加盟国間で複数の項目に関し意見が対立し、合意に達することができず、12月9日から10日にかけてもう一度非公式会合が行われました。しかしここでもなかなかまとまらず、午前3時まで議論を続けた結果、なんとかWSIS成果文書が各国間で合意に達し、本会合での採択に付されることになりました。


(信託統治理事会議場での歓迎イベントの様子)


(総会議場での潘基文・国連事務総長による報告の様子)


全体会合では、まず各国政府代表や国際機関、非政府機関(NGO)や市民社会が順にステートメントを行いました。それぞれのステートメントによって内容が異なりますが、主に言及されたポイントとしては以下のとおりです。

・2015年9月に国連で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」との関係
・都市部と地方、男女間、国家間等に存在するさまざまな情報格差の是正
・インターネット・アクセスに関する環境整備(enabling environment)
・協力強化(enhanced cooperation)
・情報通信技術(ICTs)に関するキャパシティーの開発
・サイバー・セキュリティー
・人権(表現の自由、プライバシー、個人情報の保護、オンライン時の人権等)
・オンラインの子供や女性の保護
・マルチステークホルダー・アプローチの重要性

ステートメントは16日午後まで続きました。全てのステートメントが終了した後、事務局から、「協力強化」については各国間で意見の相違があったため、2016年7月までに開発のための科学技術委員会(CSTD)の下にワーキング・グループを設置し、引き続き本ポイントについて議論を継続すること、そして次回WSIS国連総会ハイレベル会合を2025年に開催することが発表されました(成果文書の中にも規定されています)。
そして、WSIS成果の実施に関する文書が最終的にコンセンサスで採択されました。

成果文書(Adopted Outcome Document – Resolution A/70/L.33)(英語):https://publicadministration.un.org/wsis10/

なお、もう1つ重要な決定事項があります。それは、2005年の「チュニス・アジェンダ」によって国連の下に設けられ、2006年以降毎年開催されている「インターネット・ガバナンス・フォーラム(IGF)」のマンデートが10年延長されたことです。IGFとは、マルチステークホルダーがインターネットに関する公共政策問題を議論するための場であり、本年10月にブラジルのジョアンペソアで開催された第10回IGFでは、サイバー・セキュリティーやインターネット・エコノミー、マルチステークホルダーの協力強化や人権、インターネット上の資源等につき議論が行われました。
今回のマンデート延長によって、今後さらに10年間、マルチステークホルダーによってインターネットに関するさまざまな公共政策問題が定期的に議論されることになりました。

(※サイドイベントの様子を含む後編については、後日掲載致します。)


(ロックフェラーセンターの向かい側にあるSaks Fifth Avenueのクリスマスイルミネーション)