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公開シンポジウム「未来をつくるアーカイブ:大規模災害情報の利活用に向けて」

かつて、災害に対する教訓や記録が石碑により後世に残されていました。その石碑には、「ヂシンガアッタラ、タカイトコロニアヅマレ」、「オカミノサダメタシキチヨリ、ヒクイトコロニイエヲタテルナ」といったことが刻まれています。
しかし、長い時間の経過と共に災害に対する意識が風化し、過去の教訓が活かされず、同じような過ちが繰り返されてきました。

東日本大震災発生からまもなく5年が経過します。この節目に、災害の教訓や記録を後世に残していくための公開シンポジウム「未来をつくるアーカイブ:大規模災害情報の利活用に向けて」が防災未来アーカイブ研究会(代表:御厨貴東京大学名誉教授)の主催にて開催され、Yahoo! JAPANもその開催に協力しました。
防災や情報学、社会学の専門家をはじめとして、政府・自治体等様々な分野における第一人者が登壇し、また、一般の方も含めた多くの方々が参加されていました。



趣旨説明を行う御厨貴東京大学名誉教授

目黒公郎東京大学教授は、被害を災害前の状態に戻すだけでは不十分であり、ビルド・バック・ベター(Build Back Better)の考え方が重要で、発生した災害に対する正しいデータ、正しい認識をベースに想像力を身に付け、災害前と比べよりよい状態にしていくことが必要であると提言されていました。

ビデオ出演をした増田寛也元総務大臣は、自然災害に限らず、人口減少、少子高齢化という様々な課題を抱える日本は課題先進国であるが、そこからさらに課題解決先進国となり、世界に対し課題を解決する方法を発信していく必要があると主張されていました。

テレビ会議で参加した尾崎正直高知県知事は、高知県は南海トラフ巨大地震が発生した場合、甚大な被害が発生することが想定されているが、それを逆手に取って研究に力を入れて防災関連産業の育成を進め、他の都道府県等にトップセールスで売り込むことにより稼ぐことができているとのことでした。

その他、単純に記録を蓄積するだけでなく体系的に整理して活用できるようにすべきであること、災害時の多様なシナリオを検証するために膨大なナレッジが必要になること、学校や地域のワークショップにおいて過去の映像等の記録を活用し一人ひとりが自分ごととして災害を捉え実際の行動に繋げられるようにする必要があることについての発表がありました。また、国立国会図書館の東日本大震災アーカイブ(通称「ひなぎく」)、東北大学のアーカイブプロジェクト「みちのく震録伝」の紹介が行われ、一般企業からも、グーグル社とYahoo! JAPANより、災害に対する様々な取組みとそこから出て来た課題等について発表が行われました。

アーカイブの構築に関しては、現在、国会図書館や大学等が限られた予算、範囲でそれぞれ個別に行っているものの、連携されておらず、オールジャパンとして大きな枠組みで進めるためには、専門的にこれに取り組む組織が必要であるということが多くの方から提言されていました。

東日本大震災により得られた教訓を風化させないよう、未来をつくる大規模災害情報アーカイブが組織の壁や既存の枠組みを超えて構築されること、そのためにもこの取り組みに多くの関心が集まることを期待しています。

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