Yahoo! JAPAN 政策企画

IoT、BD、AI時代のデータを巡る競争

6月20日(月)、東京大学政策ビジョン研究センター 知的財産権とイノベーション研究ユニット主催で「IoT、BD、AI時代の知財戦略を考えるシンポジウム」 が開催されました。

総務省の情報通信審議会 情報通信政策部会 IoT政策委員会の報告書(1) 副題の「データ立国」という文字が示すとおり、IoT、BD(ビッグデータ)、AI(人工知能)時代での、データの重要性は増しており、その有効な活用による技術革新、サービス高度化が期待されています。このシンポジウムでは、そのようななかで、データをどう扱えばよいのか、どう活かしていけばよいのかなどについて議論がなされました。

このシンポジウムでは、冨山和彦先生(株式会社経営共創基盤 代表取締役CEO)、小川紘一先生(東京大学政策ビジョン研究センター 客員研究員)、渡部俊也先生(東京大学政策ビジョン研究センター教授、元RIETIファカルティフェロー)のご講演の後、IT企業や研究者からの発表とパネルディスカッションが行われました。
Yahoo! JAPANからは「IoT、BD、AI時代のデータを巡る競争」と題して発表しましたので、その内容を簡単にご紹介します。

■「IoT、BD、AI時代のデータを巡る競争」

データ量は実に増加の一途をたどっています。

上のグラフにもあるとおり、国内外でデータ量は大きな伸びを示していますが、特に海外の伸びが顕著(海外/国内の比率が05年に80倍超だったものが13年に400倍超)です。Yahoo! JAPANにて取り扱われるデータ量をみても、日本の伸びを上回るペースで増加しており、この伸びは当面止まらないと見込まれます。

このようなIoT、BD、AI時代における、データを巡る競争について、以下の3つの観点から示しました。

まず、インフラの観点です。
データが日本企業にとって重要であることは言うまでもありませんが、データを扱うためのインフラ、すなわちデータセンターが重要であることは、日本ではあまり議論になっていません。インフラがなければデータを貯めることも解析することもできないので、インフラへの投資が不可欠です。現に、GoogleやFacebookなどの欧米のインターネット企業は、データセンターに多大な投資をしているとの報道があります。

次に、大量のデータの獲得の観点です。


IoT、BD、AI時代において、データこそが価値の源泉といえます。最先端の技術開発をリードしていくには、大量のデータを獲得し、分析・学習させ、技術の高度化につなげ、サービスの品質を高め、より多数のユーザーを獲得し、そして再び大量のデータを獲得するというサイクルを確立させることが必須といえます。したがって、まず、継続的に大量のデータを獲得することが鍵であるといえます。

たとえば、サイバー・セキュリティは、技術開発のために大量のデータの活用が不可欠な領域ですが、残念ながら日本では、大量のデータを保有している企業がないのが実情です。そのため、サイバー・セキュリティの企業は、日本ではなくアメリカとイスラエルに集中しています。今後、日本でこの領域を発展させていこうと考えるならば、どう大量のデータを獲得していくのかを、考える必要があります。

最後に、データ連携の観点です。
大量のデータの獲得が重要といっても、やみくもにデータを集めればよいわけではなく、戦略的に収集することが必要です。特に、たとえば位置情報や購買履歴等の顧客に近いデータにアクセスができれば、さまざまなサービスにおいて、さらに顧客に適したサービスを提供することができるようになります。
また、獲得したデータを異分野間で連携することにより、これまでにないサービスを提供できるようになると考えられます。データを持っている企業がそのデータの価値を最大化するような活用をできるとは限りません。たとえば、与信リスクの判断において、伝統的な金融機関とは異なるベンチャー企業が、ウェブ上の情報を活用し、小口融資を行うというFintechのビジネス例(米国のZest Finance やドイツのKreditech )があります。 このように、データを保有している会社とどう連携し、どうデータを活用するかが、非常に重要な時代になってきているといえます。

シンポジウムでは、このようなYahoo! JAPANの考え方を紹介しました。Yahoo! JAPANでは、今後もさらなる技術革新を進め、より顧客にフィットしたサービスをお届けしていくために、データのベストな使い方を模索していきたいと考えています。


脚注(1)
IoT/ビッグデータ時代に向けた 新たな情報通信政策の在り方について 第一次中間報告書 〜「データ立国ニッポン」の羅針盤〜

(SI)