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民主主義の発展にインターネットが果たせる役割について考える

7月10日に参議院議員選挙、31日には東京都知事選挙が行われました。今回から投票権が18歳以上に引き下げられたことが注目を浴びましたが、参議院選挙の投票率は54.70%、前回2013年の52.61%を2.09%上回ったものの、戦後四番目の低さとなりました。一方で、注目の18、19歳の投票率は、18歳が51.17%、19歳が39.66%となりました。18歳の投票率が5割を超えるという結果に、教育現場などでは主権者教育の成果と評価する声もありますが、今後、こうした結果が継続するか、注目したいところです。また都知事選挙の投票率は59.73%となり、選挙そのものの盛り上がりが、前回の46.14%を13.59%上昇させることとなりました。

今回の二つの大きな選挙では、インターネットやメディアと選挙に関する動きで、新たな一面を垣間見ることができました。

一つには、ネットを使った戦略が奏功する例が出てきたことです。新党改革の比例候補として立候補した山田太郎氏は、ネット民が注目する「表現の自由」などを中心に訴え、30万票近い得票をしました。また前回に続いて立候補した東京選挙区の三宅洋平氏(前回は比例区で立候補)は、主要メディアに取り上げられることがほとんどない中で、独特の「選挙フェス」と名付けた運動がネットで拡散し、20万票近い大量得票となったことが注目を浴びました。今まで、「ネットは票にならない」とすら言われもしましたが、使い方によってはしっかりと票を作り、掘り起こせることを証明し始めたと言えます。

選挙報道のあり方を改めて考える機会があったのが、東京都知事選挙でした。主要な民放が「主要3候補」のみを取り上げて報道することに対して、放送法違反の疑いがあるとして候補者有志がBPOに対して審議を要望しました。これは、これまで主要メディアが選挙の構図すら作ってきたのではないかという強い問いかけとなりました。こうした議論や問題提起がインターネットメディアを通じてタイムリーに広がりを見せるようになったことも、選挙とインターネットの関係が日本においても新たな局面に入りつつあることが感じられるようになってきた一例であると言えます。
海の向こうのアメリカでは、現在、大統領選挙真っ最中です。こちらでは、インターネットがより積極的に活用されています。例えば、共和党のトランプ候補が副大統領候補にペンス州知事を指名しましたが、この発表は主要メディアを通じて行ったのではなく、フランスでのテロ発生を受けて当初予定していた記者会見を延期したため、先にTwitterで発表し、それをメディアが拾って報道する、という形になりました。また、インターネットを通じた献金が積極的に活用され、今回躍進して話題となったサンダース上院議員陣営では、1億ドル以上の献金を集め、その7割が200ドル以下の個人献金であるとされています。このように、インターネットは既存メディアを介さずに、国民と候補者をつなぐ役割を果たしていると言えます。また、インターネットのさまざまなデータを活用して、選挙予測も活発に行われ、各陣営の戦略にも強い影響を及ぼすようになっています。

こうした海外での積極的な例と、日本においても進展するネットと選挙の結びつきに鑑み、今後、さらにインターネットが民主主義の健全な発展に寄与するために出来得ることは何かについて、考えてみました。

第一に、インターネットを通じて、より自由な選挙運動、政治活動ができ、有権者の政治参加が促される環境を作ることです。Yahoo! JAPANは、日本のネット選挙運動を可能とした公職選挙法(公選法)の改正に主体的な役割を果たして来ましたが、第三者の選挙運動電子メールの送信は解禁されていない、インターネット広告に厳格な制限がかけられているなど、積み残された課題もあります。また、ボランティア登録や献金などネットを通した政治参加がアメリカのように進まないのは、単に国民性の問題だけではないと考えられます。こうした課題の解決を図り、今後、さらに国民の皆さんが選挙に参加しやすい環境づくりを目指したいと思います。

第二に、いわゆる主権者教育(シチズンシップ教育)に役立つ素材の提供です。選挙に参加するためには、それぞれの有権者が自分の価値観にあった政党、候補者は誰なのか、それ以前に、どういう尺度で選択すべきかを身につける必要があります。今回の参議院選挙において、Yahoo! JAPANとしては、政党との相性診断(VOTE MATCH)や、政党に公約や政策についてTwitterを通じて質問できる「ASK NIPPON」の実施など積極的な取り組みをしてきましたが、今後も、有権者の選択に役立つコンテンツの提供に努めたいと思います。

第三に、インターネット上の情報やネットワークを通じて、より正確な世論分析や有権者意識をつかみ、より効率的な選挙運動と、有権者の声が届く選挙の実現に寄与することです。アメリカでは、「Signal and Noise」を著したネイト シルバー氏による正確な選挙予測が話題になったり、イギリスではインターネットを主体とした世論調査会社「YouGov」の調査が一定の影響力を示しています。Yahoo! JAPANも、独自のビッグデータの分析を公表するなど行っていますが、今後日本においても、こうした予測分野でインターネットの存在感がさらに増していくことが期待されます。

皆さんにも、民主主義の発展に対してインターネットが果たせる役割について、いろいろなアイデア、ご意見をお寄せいただければありがたいです。どうぞよろしくお願いします!

(T.I)

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