Yahoo! JAPAN 政策企画

アジア太平洋地域のインターネット・ガバナンス・フォーラム(2016 APrIGF Taipei)に出席(前編)

2016年7月27日から29日にかけて、台湾・台北の国立台湾大学病院の国際会議場(NTUH International Convention Center)において、アジア太平洋地域のインターネット・ガバナンス・フォーラム(Asia Pacific Regional Internet Governance Forum:APrIGF)が開催されました。
今回、Yahoo! JAPANはこのフォーラムに参加し、初めてワークショップを主催しましたので、ご紹介します(主催したワークショップ以外のワークショップやレセプション等にも参加してきましたが、その様子については、後日後編の中でご紹介します)。

1. インターネット・ガバナンス・フォーラム(IGF)とは?
IGFとは、2005年の「チュニス・アジェンダ(Tunis Agenda for the Information Society)」によって国連の下に設けられたもので、さまざまな利害関係者(マルチステークホルダー)がインターネットに関する公共政策課題を議論するために、2006年以降、毎年1回開催されているものです。2015年12月にアメリカ・ニューヨークで開催された「世界情報社会サミット(World Summit on the Information Society : WSIS)成果の実施に関する全体総括レビュー・ハイレベル会合」では、このIGFのマンデートがさらに10年延長され、今後10年間もマルチステークホルダーによってインターネットに関するさまざまな公共政策課題が定期的に議論されることになりました。なお、2016年は12月6日から9日にかけて、メキシコのグアダラハラで開催されることになっています。
IGFのホームページによれば、IGFはさまざまなステークホルダー・グループによる寄付(donations)によってまかなわれています。年1回の会合については、毎年変わる開催国がその費用の大半を負担するようですが、IGF事務局の活動については、国連経済社会局(UN Department of Economic and Social Affairs : UNDESA)によって管理されているマルチドナー信託基金(multi-donor Trust Fund)に支払われる特別拠出金(extra-budgetary contributions)によってまかなわれているようです。


(国立台湾大学病院の国際会議場(NTUH International Convention Center)建物)

2. アジア太平洋地域のインターネット・ガバナンス・フォーラム(APrIGF)とは?
APrIGFとは、このIGFの地域版イニシアチブであり、アジア太平洋地域におけるインターネット・ガバナンスの発展のために、マルチステークホルダーがインターネットに関する公共政策課題を議論する場となっています。このAPrIGFは、2010年以降毎年1回開催されており、2012年には東京で開催されました。
なお、APrIGFはあくまでも地域のイニシアチブであり、IGF事務局のように国連のサポートを受けていません。毎年の会合の開催についても、基本的には開催地が外部から資金援助や企業からのスポンサーシップを取り付ける必要があります。
また、並行してユースIGF(yIGF)が開催されていることもAPrIGFの特徴です。これは、NetMission Ambassadorsのイニシアチブによるもので、大学生や大学院生がインターネットに関する公共政策課題の議論に積極的に参加できるようにするものです。今回のAPrIGFでも、多くの学生がワークショップ等に参加しておりました。
今年のAPrIGFは、7月27日から29日かけて、台湾の台北で開催されました。全体的なテーマは「新たなインターネットの時代-物理空間とサイバー空間の融合(A New Internet Era – Merging Physical Space with Cyberspace)」で、サブテーマとしては、①IANA機能の管理移管の将来的な影響、②セキュリティー、③人権、④国際協定や政策の影響、⑤ユニバーサリティ、⑥サイバーコネクティビティーでした。今回、Yahoo! JAPANは、さまざまなワークショップやレセプションに参加したのみならず、初めてワークショップを主催しました。

2016 APrIGF Taipei・アジェンダ:https://2016.aprigf.asia/program/agenda/ 


(オープニング全体会合(Opening Plenary)の様子)

3. ワークショップ「Asia-Pacific Region’s Best Practice in a New Internet Era: Safe and Secure Cyberspace for Youth」を主催
Yahoo! JAPANは、7月27日にワークショップ「Asia-Pacific Region’s Best Practice in a New Internet Era: Safe and Secure Cyberspace for Youth」を主催しました。このワークショップは、スマートフォンの普及とともにソーシャル・メディアを利用する若年層がますます増加していますが、この傾向が同時に違法・有害情報へのアクセスを容易にしており、場合によってはいじめや差別等にも波及することから、こうした問題についてどのように対策を講じていくべきか、インターネット上の青少年保護に関するアジア太平洋地域のベスト・プラクティスを紹介するものでした。
日本のみならず、オーストラリア、台湾、そしてベトナム出身のスピーカーにも参加いただき、①サイバー空間における青少年保護につき誰が責任を負うべきか、②サイバー空間における青少年保護につきセクターごとに対応しうるか、または協働枠組みが必要か、③次のステップとしてどのようなものが考えられるか、他のステークホルダーに対するリクエストはあるかの3つの質問をテーマに、それぞれプレゼンテーションを行いました。最後に、会場からいくつか質問を受け付けました。
Yahoo! JAPANは、日本のインターネット企業の有志によって運営されている一般社団法人セーファーインターネット協会(SIA)を取り上げ、同協会を通じてインターネット上の違法・有害情報への対策に取り組んでいることを紹介しました。今回は青少年保護に関するワークショップでしたので、国外サイトに掲載された児童ポルノの削除要請に焦点を当て、執行力を伴わない民間による自主規制であっても、相応に高い削除率を実現できるということを簡単に説明しました。

関連ブログ記事一覧:http://publicpolicy.yahoo.co.jp/security-cybercrime/


(Yahoo! JAPANが司会進行を務めている様子)

上記のように、Yahoo! JAPANは、今回初めてAPrIGFの場でワークショップを主催することができました。APrIGFの場でワークショップを開催するためには、ワークショップ提案書を提出し、選考を通過しなければなりません。また、スピーカーについても多様性が求められます。今年の2月にワークショップ提案書を提出して以降長い道のりでしたが、最終的に無事ワークショップの開催を終えることができました。APrIGFの全ての関係者、Yahoo! JAPANのワークショップに登壇してくださった全てのスピーカー、そしてワークショップに出席してくださった全ての人に、心から感謝しています。

4. 小括
インターネットは本来、誰もが自由に接続でき、意見や情報を発信できるグローバルで共通な環境です。そして、そのインターネットの健全な管理・運営についても誰もが参加できるように、インターネット・ガバナンス分野においては、マルチステークホルダー・アプローチが採られています。そうであるからこそ、IGFやAPrIGFのような地域別・国別イニシアチブに、先進国・途上国を問わずさまざまなステークホルダーが多く参加し、情報や意見の交換を行っています。
それにもかかわらず、インターネット・ガバナンス分野における日本のプレゼンスは高くなく、また、国内でも関心がそれほど高くないのが実情です。今後、全てのモノがインターネットにつながるIoT(Internet of Things)の時代に入っていきます。日本にとっても、我が国が今後も世界最先端のICT環境を享受し続けることができるようなインターネットに関するルール・メイキングを促進するために、官民問わず積極的に国際的なインターネット・ガバナンスの議論に参画していかなければなりません。
Yahoo! JAPANは、今後も国際会議におけるワークショップの開催等を通じ、日本が国際的なインターネット・ガバナンスにおいて主要なプレーヤーとして貢献し続けられるよう、積極的に活動していきます。


(台湾の大統領府にあたる中華民国総統府)

(KM)

(※Yahoo! JAPANが参加したその他ワークショップやレセプションの様子を含む後編については、後日掲載します。)