Yahoo! JAPAN 政策企画

2016-2018協力強化に関するワーキンググループ(WGEC)・第一回会合に出席

2016年9月30日、スイス・ジュネーブの国連ヨーロッパ本部において、2016-2018協力強化に関するワーキンググループ(Working Group on Enhanced Cooperation: WGEC)の第一回会合が開催されました。今回、Yahoo! JAPANは日本政府の関係者とともにこの会合に参加しましたので、ご紹介します。

1. 協力強化に関するワーキンググループ(WGEC)とは?
WGECとは、インターネットに関する国際的な公共政策課題に対し、各国政府が対等にその役割と責任を果たすための協力をいかにして強化していくかを議論する場です。このWGECは、国連経済社会理事会の下部組織である「開発のための科学技術委員会(Commission on Science and Technology for Development: CSTD)」の下に設置されたもので、WGECの活動はCSTD、そして国連経済社会理事会や国連総会に報告されることになります。

このWGECは、実は今回で2回目の設置となります(以下、WGEC2.0)。1回目のWGEC(以下、WGEC1.0)は、2005年にチュニジア共和国のチュニスで開催された「世界情報社会サミット(World Summit on the Information Society: WSIS)」の成果文書の一つである「情報社会のためのチュニス・アジェンダ(Tunis Agenda for the Information Society)」が、初めて「協力強化(enhanced cooperation)」の必要性に言及したことを受け(パラグラフ69~71)、2012年12月の国連総会決議(A/RES/67/195)の結果設置されました。WGEC1.0では、2013年5月から2014年5月にかけて合計で4回の会合が開催されましたが、メンバーの中で合意に達することができず、結局勧告(recommendations)を出さないこととなりました。その後2014年5月に開催された第17回CSTD年次総会では、その旨議長から報告がなされました。なお、当時の交渉の中では、政府や国連主導の取組みを目指す「マルチラテラル・アプローチ」と、政府のみならず、民間セクターやアカデミア、市民社会がそれぞれの役割を果たす「マルチステークホルダー・アプローチ」のどちらを採るべきかという意見の相違等があったようです。

こうしてWGEC1.0は成果を出すことなく終了した訳ですが、2015年12月、WSIS+10国連総会ハイレベル会合の結果、再びWGECが設置されることになりました。同会合の成果文書である国連総会決議(A/RES/70/125)では、2016年7月までにWGECを立ち上げること、そして2018年5月に開催される予定の第21回CSTD年次総会での結果の報告を求めています(パラグラフ64~65)。

なお、このWGECには誰でも参加できる訳ではなく、CSTDの中でメンバーの選考が行われます。WGEC2.0の構成は、WGEC1.0と同様、今回も「加盟国22カ国、ビジネスコミュニティー5名、市民社会5名、技術コミュニティー・アカデミア5名、国際機関5名」という形になり、日本はWGEC1.0に引き続いて今回もメンバー入りしました。


(国連ヨーロッパ本部)

2. WGEC 2.0 第一回会合に出席
9月30日、WGEC2.0の最初の会合が開催されました。まず、国連貿易開発会議(UNCTAD)のテクノロジーおよびロジスティクス部のディレクターであり、CSTD事務局長でもあるShamika N. Sirimanne氏から冒頭のステートメントが行われ、続いてCSTD議長であるPeter Major氏から、WGEC1.0を含むこれまでの経緯や、WGEC2.0のマンデートや今後のスケジュール感につきプレゼンテーションが行われました。その後、WGEC2.0の議長に、ブラジルのBenedicto Fonseca大使が任命されました。

Fonseca大使の下、まずはアジェンダが採択され、そのアジェンダにのっとって、副議長のポストを設置することの是非や今後の会合のスケジュール、次回会合で何をするか等が議論されました。第一回目の会合であり、アジェンダのほとんどが手続的事項だったのですが、それでも今後の会合のスケジュールや次回会合に向けた質問の作成でメンバーからさまざまな意見が出され、結局会合は2時間遅れで終了しました。

会合後、トランスクリプト議長サマリーも発出されましたが、次回第二回会合が、来年2017年1月26日から27日にかけて、スイス・ジュネーブの国連ヨーロッパ本部で開催されることとなりました。またそれまでに、以下の2つの質問につき、WGEC2.0メンバーのみならず、その他の利害関係者からも広く意見を求めることになりました。

(1)What are the high level characteristics of enhanced cooperation?

(2)Taking into consideration the work of the previous WGEC and the Tunis Agenda, particularly paragraphs 69-71, what kind of recommendations should be considered?

すなわち、「協力強化」といった場合に、通常の「協力」よりも高いレベルの性質が求められる訳ですが、その中身は何かという点、そしてこれまでの経緯を踏まえ、どのような勧告が検討されるべきかという点につき、次回第二回会合までに意見を集約し、そこで議論を行うことになりました。


(WGEC2.0第一回会合の様子)

3. 結びにかえて
今回は初回の会合ということもあり、手続的事項の議論に終始しましたが、次回会合から「協力強化」の具体的内容について本格的な議論が開始されるでしょう。他方、WGEC1.0時の議論に基づいて編纂(へんさん)された「Mapping of international Internet public policy issues」という文書にもあるように、インターネットの国際公共政策課題は多岐にわたるため、2018年5月の第21回CSTD年次総会までに報告を提出するという限られた時間の中で、WGEC2.0で何を取り上げるべきなのかを熟考する必要があります。また、多くのメンバーの頭の中に「WGEC1.0は失敗に終わった」というイメージがあるため、そこから脱却し建設的な議論を行えるか否かは、議長の采配、そしてそれぞれのメンバーの力量と協調性にかかっているといえるでしょう。Yahoo! JAPANは、誰もが自由に接続でき、意見や情報を発信できるグローバルで共通な環境であるというインターネットの本質的価値を守るために、そしてさまざまな利害関係者がアクティブに関与するというマルチステークホルダー・アプローチに基づいてインターネットの公共政策課題が議論されていくように、今後もWGEC2.0の累次の会合に出席していきます。


(国連ヨーロッパ本部)

(KM)