Yahoo! JAPAN 政策企画

「越境データ移転に関するシンポジウム ―EUからのデータ移転と日本がとりうる選択肢を考える―」が開催されました

2016年12月21日、Yahoo! JAPANも加盟している一般社団法人日本IT団体連盟とアジアインターネット日本連盟の共催で、「越境データ移転に関するシンポジウム ―EUからのデータ移転と日本がとりうる選択肢を考える―」が開催されました。Yahoo! JAPANからも執行役員の別所直哉が講演とパネルディスカッションに登壇しました。

当日は、以下のプログラムが行われました。
(1)基調講演「個人情報保護法の改正と政令等の整備及び国際的な取組」(其田真理 個人情報保護委員会事務局長)

EUの制度と改正個人情報保護法は、ほぼ同じフレームワークを持っているので、イコールな関係として、EUとスムーズなデータ流通が行われることになるよう委員会として取り組んで行くというお話でした。

(2)講演「国際通商交渉・紛争の観点からみた越境データ移転問題」(藤井康次郎 西村あさひ法律事務所 パートナー弁護士)

EUとの十分性認定(十分なレベルの個人データ保護があるとEUが認めた国へのデータ移転を可能にする制度)問題は、相互承認(ルール内容は同一ではなくとも同等程度の保証があれば相互に尊重するという考え方)として位置づけることが妥当ではないかというお話でした。

(3)「新しい個人データ保護への対応について~何故BCRを申請しようと思ったか~」(三膳孝通 株式会社インターネットイニシアティブ 技術主幹)

BCR(Binding Corporate Rules、拘束的企業準則)を申請したのは、自社サービスを利用するクライアントへの安心を提供できると考えたためで、企業にとって個人データのマネジメントプロセスの確立が重要であるというお話でした。

(4)「産業界の視点で考えるEUからのデータ移転」(別所直哉 一般社団法人日本IT団体連盟 専務理事/アジアインターネット日本連盟 幹事会副幹事長)

EUからのデータ移転のためには、個社でとりうる複数の手段の検討に加え、国家間での取組においても、十分性認定という形でEUの土俵に乗るのではなく、The Battle of Rulesの観点での交渉戦略が必要というお話でした。

(5)パネルディスカッション(テーマ「EUからのデータ移転と日本がとりうる選択肢を考える」)
モデレータ
・藤井康次郎 西村あさひ法律事務所 パートナー弁護士
パネリスト
・青野慶久 サイボウズ株式会社 代表取締役社長
・石井夏生利 筑波大学図書館情報メディア系 准教授
・中島 洋 全国ソフトウェア協同組合連合会 会長
・中村美華 セブン&アイ・ホールディングス 法務シニアオフィサー
・別所直哉 日本IT団体連盟 専務理事/アジアインターネット日本連盟 幹事会副幹事長

パネルディスカッションでは、EUからのデータ移転をどのような手法で実現すべきか議論が行われました。議論の結果、概ね以下の意見で一致しました。
① EUからのデータ移転実現には、各企業が個別に対応するのは限界があり、国としての対応も必要である
② 十分性認定の申請という後戻りのきかない選択をして、EUの設定したフレームワークで交渉することは、外交交渉の手法としては望ましくない
③ 十分性認定を目指し、EUの厳しいルールが国内法に影響を与えることになると、EUからのデータ移転と無関係の企業も少なくないところ、そのような企業も含めて国内企業の負担は過大になり本末転倒である
④ 平成27年改正個人情報保護法を根拠にEUとの間で相互移転を認め合うスキーム構築を目指すべきである

EUからのデータ移転の実現のための基礎的な選択肢や国際通商交渉の考え方を確認するとともに、この問題においては国の外交交渉の戦略性の重要性が大きく、国内法の規制強化につながることのないよう、EUからのデータ移転を想定していない国内産業も含め政府の動きを注視していくべき問題であることが確認されたシンポジウムであったかと思います。Yahoo! JAPANは、越境データ移転問題について、今後も各関係団体ともに大きな関心をもって取り組んでいきたいと思います。

(H.U)

カテゴリー「プライバシー・ビッグデータ」の記事