Yahoo! JAPAN 政策企画

The Battle of Rules

2016年は英国における欧州連合(EU)離脱是非の投票や米国大統領選挙など世界情勢に大きな影響を与える出来事がありました。またその結果から、保護貿易主義的な風潮が強まっているのではないかという懸念が生じています。しかし、グローバルに広がっている市場という事実や、その市場を基盤に展開している企業のビジネスやサービスの市民生活上の存在感に照らすと、グローバルに展開し続ける企業の活動が止まることはないと考えています。

そのため、さまざまな領域において、グローバルなルール作りの重要性を引き続き認識していかなければなりません。また、グローバルなルール作りという点において、我が国が過去必ずしも成功してきてはいないということも見つめるべき事実だと考えています。(ルール作りの重要性については、「世界市場で勝つルールメーキング戦略」(国分俊史、福田峰之、角南篤著、朝日新聞出版)などをお読みいただければと思います。)

昨年末に、日本IT団体連盟(IT連)・アジアインターネット日本連盟(AICJ)共催の「越境データ移転に関するシンポジウム」に登壇しました。EUからのデータ移転を可能にしていくための日本のアプローチはどうあるべきかを国内産業界で考えるということが主題のシンポジウムでしたが、国際的なルール作りは、The Battle of Rulesであるという話をしました。EUのルールである「十分性認定」(General Data Protection Rules(GDPR)において十分な個人情報の保護がなされている国として認めてもらうというもの)の取得を目指すのがいいのか、それとも日本が定めている「個人情報保護法」を根拠として相互に必要な保護水準にあることを認め合うというスキームを目指すのがいいのか、という議論の中で理解しておかなければならないのは、前者は相手方が定めたルールに従って交渉をするというもので、後者は自らのルールを相手方に対等に認めさせるというものであるという事実です。国際間交渉に限らず、交渉は交渉のルールを決めるところから始まるというのが定石です。EUからのデータ移転をめぐる日本政府の交渉は、この問題に限らず、今後の国際ルール形成における我が国の交渉姿勢を問う試金石となるのではないかと注視しています。

ヤフー株式会社 執行役員コーポレート統括本部(法務・政策企画管掌)
別所 直哉