Yahoo! JAPAN 政策企画

2016-2018協力強化に関するワーキンググループ(WGEC)・第二回会合に出席

2017年1月26日から27日にかけて、スイス・ジュネーブの国連ヨーロッパ本部において、2016-2018協力強化に関するワーキンググループ(Working Group on Enhanced Cooperation: WGEC)の第ニ回会合が開催されました。今回、Yahoo! JAPANは日本政府の関係者とともにこの会合に参加しましたので、ご紹介します。

1. WGEC 2.0 第二回会合までの経緯
2016年9月30日に開催された第一回会合の結果、以下の2つの質問が定められました。

    (1)What are the high level characteristics of enhanced cooperation?
    (2)Taking into consideration the work of the previous WGEC and the Tunis Agenda, particularly paragraphs 69-71, what kind of recommendations should be considered?


この2つの質問につき、WGEC2.0メンバーのみならず、その他の利害関係者からも広く意見が募集されました。その結果、27のWGEC2.0メンバー、および10のその他の利害関係者(オブザーバー)から意見提出(contributions)がありました。その総ページ数は約160ページに及びました。

    (1)27のWGEC2.0メンバーからの意見
    (2)10のその他の利害関係者(オブザーバー)からの意見


その後、会合直前の2017年1月20日、上記全ての意見から主な主張を抽出し、論点ごとに整理した議長の統合文書(Synthesis Document Prepared by the Chairman of the WGEC of the Contributions from WGEC Members and Observers to the Guiding Questions Agreed during the First Meeting of the Working Group)が共有されました。


(第二回会合が開催された会議場の入口(国連ヨーロッパ本部))


2. WGEC 2.0 第二回会合に出席(※会合のトランスクリプト

【1月26日(1日目)】
1月26日午前、国連貿易開発会議(UNCTAD)のテクノロジーおよびロジスティクス部のディレクターであり、CSTD事務局長でもあるShamika N. Sirimanne氏から冒頭のステートメントが行われ、続いてWGEC2.0の議長であるブラジルのBenedicto Fonseca大使から、第一回会合以降の経緯や統合文書を作成した背景、統合文書は議長からの提案ではなく、あくまでも意見を集約したものであって、今後の議論のための作業文書であるといった発言がありました。これに対し、統合文書の記載内容や整理の仕方について不満を有するといった発言や、時間が限られているため統合文書を作業文書・議論のベースとしていくことを支持するといった発言等がありました。その中で、意見を提出したメンバーに対し、1~2分程度主張の要点を紹介する機会を与えるべきといったイランからの発言があったため、午前中の後半は、意見を提出したメンバーからのプレゼンテーションに時間が割かれました。

なお、日本からは協力強化の高いレベルの特徴とは何かについて、まず合意できそうなものから議論をしていくべきとの発言を行い、英国、カナダ、米国、その他メンバーから支持がありました。また、キューバから、議題の採択が行われていないとしつつ、議題を修正し採択に付したいといった提案があったため、一時メンバー間で各議題の中で取り扱うべき事項につき議論が行われましたが、最終的にキューバ提案に議長とRichard Hill氏の修正を加えた議題が採択されました。

1月26日午後も、意見を提出したメンバーからのプレゼンテーションに時間が割かれました。その後、昼休憩時間中に送付された以下の文書も踏まえ、どのように議論を進めていくべきかが議論されました。

    (1)協力強化の高いレベルの特徴に関する意見を取りまとめた文書(得票順リストおよびスプレッドシート)
    (2)各意見の勧告提案を取りまとめたコンピレーション


メンバーからは、統合文書の特定部分から議論を始めるべきといった意見や、上記(1)の協力強化の高いレベルの特徴に関する文書をベースに議論を始めるべきといった発言等がありましたが、まずは上記(1)の協力強化の高いレベルの特徴に関する文書、とりわけ得票順リストをベースに議論が進められることになりました。

まず、英国から、上位10個の特徴を採択すべきといった提案がありましたが、特徴の中身について深く議論すべきといったサウジアラビアの発言、特徴の数はそれほど多くないので数で切ってしまうべきではないというケニアやRichard Hill氏、イランの発言もあり、得票順リストに列挙された特徴を一つずつ検討していきました。

【1月27日(2日目)】
上記の検討作業は、翌1月27日の午前中まで続けられました。その結果、「透明性(Transparent)」、「包摂性(Inclusive)」、「協調性(Collaborative)」については広く合意があり、また「国際性(International)」については特段の異議がなかったものの、その他の特徴については、意見の相違があり今後の検討が必要なもの(黄色マーカー)、特徴というよりは成果・目標といったもの(緑色マーカー)に分けられました。この他、得票数が1票しかなかった特徴については、特段の強い支持がない限り削除することが提案されましたが、キューバの強い抵抗があり、「特段の支持がなかったもの」として、リストからは削除されずに維持されました(水色マーカー)。なお、「公共政策を策定・実施する国家の主権的権利を尊重(Respecting the sovereign right of states to establish and implement public policy)」という特徴については、チュニス・アジェンダのパラグラフ35と69の関係にも触れながら比較的長く議論が行われました。

1月27日の午後は、協力強化の高いレベルの特徴に関する得票順リストの検討作業を終えた上で、今後どのように進めていくかにつき議論が行われました。議長からは、各意見の勧告提案をとりまとめたコンピレーションには立ち入らず、統合文書の中で示されている協力強化の高いレベルの特徴に関する論点を検討していくことが提案されましたが、2つ目の質問(WGEC1.0の作業やチュニス・アジェンダのとりわけパラグラフ69から71を考慮に入れた上で、どのような勧告を検討すべきか?)に対する意見について議論すべきといった発言や、統合文書は不要であり、本会合のトランスクリプトさえあれば十分であるといったキューバやサウジアラビア等の発言もあり、結果的に2つ目の質問につき意見を提出したメンバーが簡単なプレゼンテーションを行うことになりました。


(第二回会合が開催された会議場の様子)


3. 今後の取り進め方
会合の終盤にさしかかり、今回の会合における作業を踏まえた上で、今後の取り進め方につき議論が行われました。その結果、以下の方向で進められることになりましたが、今後正式にCSTD事務局から連絡が来ることになっています。

    (1)5月3日から5日にかけて3日間の日程で、第三回会合を開催する(その翌週、CSTD第20回年次総会が開催予定)。
    (2)第三回会合までに、第二回会合の結果を踏まえた新たな意見提出の機会・フィードバックの機会等を設ける。
    (3)第四回会合は、9月の最終週または10月の第一週に開催する。

4. 結びにかえて
今回の会合から、協力強化の具体的内容について、本格的な議論が開始されました。1つ目の質問である、協力強化の高いレベルの特徴とは何かにつきましては、一定程度の進展があったと言えます。他方、2つ目の質問である、どのような勧告を検討すべきかにつきましては、具体的な議論を行うには至らなかったため、次回第三回会合では、それまでに実施されるであろう書面での意見のやりとりを踏まえた上で、勧告の内容についてインタラクティブな議論が行われることになるでしょう。

具体的な議論に入れば入るほど、それぞれのメンバー(加盟国22カ国、ビジネスコミュニティー5名、市民社会5名、技術コミュニティー・アカデミア5名、国際機関5名)のみならず、サウジアラビアのようにオブザーバーとして参加している主体がどのような立場を有しているのかが明らかになっていきます。同時に、どのメンバーがどのメンバーと比較的近い立場にあり、本件交渉において連携しているのかも次第に雰囲気として伝わってくるものがあります。

その中で、インターネットの公共政策について各国政府の役割を強化すべきといった主張や、インターネット関連の公共政策課題のための新しいメカニズムが必要といった主張、そしてインターネット・ガバナンス・フォーラム(IGF)では協力強化において限定的な役割しか担わないといった主張が出てきます。Yahoo! JAPANは、誰もが自由に接続でき、意見や情報を発信できるグローバルで共通な環境であるというインターネットの本質的価値を守るために、そしてさまざまな利害関係者がアクティブに関与するというマルチステークホルダー・アプローチに基づいてインターネットの公共政策課題が議論されていくように、今後もWGEC2.0の累次の会合に出席していきます。


(サン・ピエール大聖堂の展望台から見たレマン湖と大噴水)

(K・M)