Yahoo! JAPAN 政策企画

違法な象牙取引の撲滅に向けたYahoo! JAPANの取り組み

8月8日、野生生物の取引を監視・調査するNGO、トラフィック・ジャパンオフィス(以下「トラフィック」)が「日本におけるインターネットでの象牙取引―アップデート―」と題するレポートを公表しました。今回のレポートでは、自社のeコマース上で違法な象牙取引を排除するためにヤフーが実施してきた対策が効果を発揮し、適法な象牙取引の割合が大幅に高まっていることが確認されました。

アフリカの平原に、一頭の象が佇んでこちらを見ている写真

ヤフーの基本的な考え方は、過去の政策企画ブログでも表明してきたとおり、違法な象牙の取引は一切許容せず、たとえ現時点で適法であっても象の密猟や絶滅につながるような取引も許容しないというものです。今回、このような考えに基づき、NGOや関係省庁などと連携しながら進めてきた違法取引の撲滅に向けた取り組みについてご紹介します。


1.eコマースにおける法令遵守状況の劇的な改善
今回のトラフィックによるレポートでは、ヤフーのeコマース(ヤフオク!およびYahoo!ショッピング)上での象牙取引について、以下のような大幅な改善がみられたとされています。

(1)取引が成立した全ての全形象牙の取引について適法性を確認
トラフィックの調査時点において確認されたヤフーのeコマース上の全形象牙27出品のうち23出品で登録票が確認され、登録票が確認されなかった残り4出品についても取引成立までに出品の削除などが実行されました。すなわち、ヤフーのeコマース上で取引が成立した調査対象の全形象牙すべてにおいて登録票が確認され、適法な取引だったことが確認されました。

“ヤフーにおける遵守率の高さは同社が定期的なモニタリング活動に注力している成果と考えられ、実際に、落札結果に含まれる、つまり取引の成立した、全形象牙(キーワード「本象牙」)の広告のすべてで登録票が確認されており、ヤフーのモニタリングの有効性が実証された。”
(トラフィック「日本におけるインターネットでの象牙取引―アップデート―」P.6より抜粋)


(2)加工品等の象牙製品の取引についても大幅改善
 つぎに、加工品等の象牙製品の取引についても、法令の遵守状況が劇的に改善したとされています。今回の調査では、ヤフオク!に象牙製品を出品する24事業者のうち21事業者、Yahoo!ショッピングに象牙製品を出品する58事業者のうち55業者が種の保存法に基づき特定国際種事業の届出を行っていました。なお、今回の調査の時点で届出を行っていなかった事業者に対しても、既にヤフーから象牙の出品を削除するなどの措置を講じています。

“2014年の調査結果と比較して事業者の「届出」に関する種の保存法の遵守状況が劇的に改善したことが明らかになった(図4)。こうした事業者の法遵守状況の大幅な改善はeコマース企業の自主的なモニタリングの取り組みに起因する。”
(トラフィック「日本におけるインターネットでの象牙取引―アップデート―」P.5より抜粋)


このようにレポートで言及されているとおり、ヤフーをはじめeコマース事業者が違法な象牙取引の排除のために講じてきたさまざまな自主的な対策が実効性を伴った成果を挙げてきたことが評価されたといえます。実際、ヤフーでは、トラフィックによる2015年1月の調査レポート「日本におけるインターネットでの象牙取引 現状と対策」が公表されて以降、レポート内容を踏まえ、自社サービス上での違法取引撲滅のため、出品者への啓発、出品ルールの強化(種の保存法よりも厳しい水準のルールを導入)、パトロール強化などを継続してきました。

今回のレポートで一定の成果を得た当社の対策は、ヤフー単独で実現できるものではなく、NGO、種の保存法等の制度を所管する関係省庁との継続的な連携の上に成立しているものです。ヤフーでは、今後も違法な取引は一切許容しないスタンスを堅持し、NGOや関係省庁とも緊密に連携しながら、種の保存のためにとりうる対策を積極的に講じていきます。

2.残る課題と対策
一方、今回のトラフィックのレポートでは、ヤフーのeコマースにおいて、事業者と思われる出品者が事業者登録をせず個人として象牙を取引している可能性があることが課題として指摘されました。この問題に対しては、ヤフーとしても以前から、事業として象牙製品を販売していると思われる出品者には、事業者登録のうえ事業者番号の掲示を義務付ける措置を実施してきました。また、関係省庁やNGOから指摘のあった出品者に対しては、事業者登録や事業者番号の取得・掲示を促すなどの対策を講じてきました。これらは、法令上求められる義務を超えて、ヤフーが自主的に行なってきたものです。

さらに、この課題に対しては、2017年8月1日より新たに強化した対応を開始しています。具体的には、多数の象牙製品を出品している個人について、事業者登録と事業者番号の掲示が無い場合には出品を削除するなどの措置を講じるとともに、パトロールのさらなる強化を行なうこととしました。これらの対策は、今回のレポートで指摘された課題に対して効果を発揮するとヤフーとしては考えていますが、今後も予断を持たず、実際に効果をあげていくか、客観的な事実やデータを継続的に精査しながら検証していきます。


3.保全への取り組み:ナミビアの密猟防止活動への支援
過去の政策企画ブログでもご紹介してきたとおり、種の保存法に基づく日本国内の適法な象牙取引は、主に1989年以前に日本に輸入された象牙を日本国内で利用しているものです。したがって、日本国内の象牙取引は、現在、懸念されているアフリカゾウの密猟や個体数の減少とは直接には関連していません。私たちは、アフリカゾウの個体数の減少を食い止めるために真に必要なことは、生息地でのアフリカゾウの保護、すなわち生息地の保全と密猟対策だと考えています。こうした考えに基づき、ヤフーは、2017年3月9日、国連開発計画(UNDP)ナミビア事務所を通じて、同国最大級の規模を誇るエトーシャ国立公園における密猟防止パトロールキャンプ建設のために500 万円(約4万4000米ドル)を寄付しました。これは、ヤフーのeコマースにおける象牙取引収益の一部をアフリカゾウの保全のために拠出したものであり、Sustainable Use(持続可能な利用)によるアフリカゾウの保全を目指す取り組みです。

水場でアフリカゾウの群れが戯れている写真。

 


4.今後の取り組みと考え方
ヤフーは、今後も、自社のeコマースにおける象牙取引において、違法な取引は一切許容せず、たとえ適法であってもアフリカゾウの密猟や絶滅につながるような取引も許容しません。同時に、ワシントン条約や種の保存法に照らして適法かつ種の保存を脅かすものでない適正な象牙取引について、売り手・買い手が自由に参加できる場を提供することは私たちの責務だと考えています。

また、種の保存と自由な取引の場の提供という2つの重要な価値を守っていくには、客観的な事実とデータに基づき、論理的な判断を重ねていく必要があります。アフリカゾウをはじめとした野生生物の種の保存のために何が必要かを見定めるには、対象となる種や個体群の置かれた状況、生息地の人々の生活、密猟や違法取引の実態、それらが種の保存に与える影響など、相互に複雑に絡み合った要因について、科学的根拠とデータに基づき精査する必要があります。

現時点で確認できる各種データや事実関係に立脚する限り、日本の国内市場がアフリカゾウの密猟や個体数の減少に寄与しているという結論は導かれません。したがって、ヤフーのeコマース上でも、国内の適法な象牙取引を禁止するという結論には至っていません。しかし、今後も予断を持つことなく、NGOや関係省庁と連携し、科学的根拠とデータに基づき、自社のeコマースにおける象牙取引が種の保存を脅かすことがない状況を維持していきます。また、このような民間企業としての努力を続けながら、日本政府に対しても、法令の執行状況の調査や統計情報の公表、国際世論や海外メディアに対する効果的な広報の実施、また必要性が認められれば、更なる制度改正の検討などを実施するよう求めていきたいと考えています。

本文 N.Y / Y.K
写真 T.H / Y.K

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