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改正銀行法と「電子決済等代行業」の対象について

2017年5月26日に銀行法が改正されました。
この改正により、顧客と銀行の間に立ち、顧客に代わり、銀行にアクセスして、送金・支払いの指示や口座情報の取得を行う「電子決済等代行業」が、あらたに登録制になりました。

改正の目的は、利用者保護を確保しつつ金融機関とフィンテック企業によるオープン・イノベーションを促進するため、とされています。
フィンテックと呼ばれるものはさまざまですが、家計簿アプリなど、金融機関のシステムに連携するサービスの多くは、銀行との契約をせずにフィンテック企業が口座番号、銀行サイトにアクセスするためのID、パスワード等を顧客から預かり、顧客に成り代わって銀行サイトにアクセスし、送金・支払いの指示や口座情報の取得などを行っています。

この現状に対して、以下の課題があると考えられています。
・フィンテック企業に対し、情報セキュリティー上の問題がないのか、トラブル時に顧客保護のための対応が十分になされるのか不安があり、顧客が増えていかないのではないか
・顧客に成り代わってフィンテック企業が銀行サイトにアクセスすると、銀行はフィンテック企業からのアクセスと認識することができず、銀行とフィンテック企業の連携、協働が進みにくいのではないか

これらの課題を解決すべく、銀行法を改正し、あらたに「電子決済等代行業」を定めてこれを行う者を登録制とし、電子決済等代行業者と銀行に対して、以下の義務が課せられました。
なお、改正銀行法は、金融庁のHPで確認できます。

【電子決済等代行業の定義】
銀行に預金の口座を開設している預金者の委託(二以上の段階にわたる委託を含む。)を受けて、電子情報処理組織を使用する方法により、当該口座に係る資金を移動させる為替取引を行うことの当該銀行に対する指図(当該指図の内容のみを含む。)の伝達(当該指図の内容のみの伝達にあつては、内閣府令で定める方法によるものに限る。)を受け、これを当該銀行に対して伝達すること。

【電子決済等代行業者に課せられる主な義務】
・顧客保護のための情報管理義務や業務管理体制の整備義務
・顧客のために銀行のサイトやシステムにアクセスする場合、あらかじめ銀行と契約を締結する義務

【銀行に課せられる主な義務】
・パスワード等によらずに安全に銀行のシステムにアクセスできる「オープンAPI」を提供するための体制整備の努力義務
・電子決済等代行業者との間で締結する契約において、顧客に生じた損失の分担を定め、これを公表する義務

上記の定義によれば、口座振替による支払手段を提供している決済代行会社やEC事業者なども電子決済等代行業者に該当する可能性があります。口座振替による支払いは、顧客が口座振替による支払いを選択した場合、事業者より銀行に対し支払金額等が連携され、連携された支払金額が顧客の銀行口座から引き落とされることにより行われます。この連携が「預金者の委託(二以上の段階にわたる委託を含む。)を受け」て行われる「為替取引の指図」に該当すれば、電子決済等代行業として登録が必要になる可能性があると考えられます。

このような電子決済等代行業に対する関心は高く、Yahoo! JAPANが加盟する日本IT団体連盟でも、加盟社向けに「FinTech対応のための改正銀行法に関する勉強会」が9月5日に行われ、39社60名の方が参加されました。内容は、改正銀行法のスケジュール、定義規定、電子決済等代行業や銀行に課される義務、全国銀行協会(全銀協)オープンAPI、認定電子決済等代行事業者協会の設立等についてです。特に、電子決済等代行業の定義については、さまざまな事例を示したうえで該当性が問題になるものについて説明がなされていました。

今後改正銀行法の政省令にて、電子決済等代行業の適用除外が定められる見込みです。
改正銀行法は、フィンテックとセットで語られることが多いですが、いわゆるフィンテック企業以外の事業者であっても、改正銀行法や政省令を注視しないと、思いがけず登録対象になっていた、ということになってしまうかもしれません。


(M.I)

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