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インターネットガバナンスフォーラム(IGF)・マルチステークホルダー諮問グループ(MAG)2018年第一回会合に出席

2018年3月20日から22日にかけて、スイス・ジュネーブの国際電気通信連合(ITU)本部において、国連傘下のインターネットガバナンスフォーラム(IGF)・マルチステークホルダー諮問グループ(MAG)2018年第一回会合が開催されました。昨年2017年3月に、筆者がこのIGFのMAG日本委員に選出されたことはこのブログでご紹介しましたが、今回、筆者がMAG日本委員(二期目)として、2018年の第一回会合に参加してきましたので、以下ご紹介します。

なお、本会合のアジェンダについては、こちらをご覧ください。

1. 2018年IGF/MAG第一回会合・結果概要
3月20日、IGF/MAG第一回会合の初日は、「オープンコンサルテーション」というものに割り当てられました。これは、本会合に参加しているさまざまな利害関係者・コミュニティーから広く意見を聞くためのものです。今回のオープンコンサルテーションでは、MAG議長やIGF事務局、昨年のIGFホスト国(スイス)から、昨年のIGFを振り返る各種報告が行われた後、それに対し一般参加者からさまざまな意見が表明されました。また、第一回会合前に世界中から提出された意見書、ならびにそれらをまとめた統合文書にも言及がありました。

オープンコンサルテーションでは、昨年のIGF参加者や元MAG委員から、MAG議長の再任と新たなMAG委員を歓迎する旨の発言がありました。その上で、昨年のIGFの印象や、さらなるIGFの改善に向けてどのような課題があるのか、また、それに対しどのような解決策があるのかに関し、さまざまな意見が表明されました。

昨年のIGFについては、開催地がスイス・ジュネーブであったこともあり、政府や国際機関関係者の参加が比較的多かったものの、これを維持・強化していく必要があるといった発言、また、民間セクターや途上国からの参加者数も依然改善の余地があるといった発言がありました。加えて、ホスト国主催のハイレベルテーマ別セッションといった革新的なアイデアがあった一方で、同じようなセッションが同時並行的に開催されていたり、そもそものセッション数が多過ぎるといった懸念が示されました。さらに、IGFは交渉のためのフォーラムではなく、さまざまな利害関係者間で多岐にわたる論点について議論をするフォーラムではあるが、より成果を意識すべきであること、その意味で、IGFの各種セッションの報告書をどうするかや、昨年のIGFでホスト国(スイス)が採用した「Geneva Messages」という形式を支持するといった発言がありました。この点については、世界貿易機関(WTO)で電子商取引の貿易的側面に関するルールメイキングが開始されたものの、通商交渉官は必ずしもデジタルの側面に詳しい訳ではないため、昨年のIGFで開催されたデジタル経済に関するメインセッションの成果等、IGFの成果をいかにしてWTOにインプットしていくか、またそうしたインプットを強化していくべきといった発言がありました。

この他、筆者の意見書にも記載した点ですが、各種セッションへの参加者を増やすことも目的として、IGFの開催スケジュールをもっと戦略的に検討すべきといった意見がありました。また、Day 0イベントやIGFの会期間活動、外部のさまざまなイニシアチブとの連携についてもさまざまな意見が表明されました。
昨年のIGFホスト国(スイス)の共同議長・シュナイダー大使がプレゼンテーションを行っている写真。

(シュナイダー大使のプレゼンテーション(後述)の様子)

3月21日、新任のMAG委員および既存のMAG委員一人ひとりが自己紹介を行った後、昨年のIGFのホスト国であるスイスの共同議長(シュナイダー大使)から、昨年のIGFの振り返りと今後のIGFに向けた改善点の提案に関するプレゼンテーションがありました。その後、MAG議長からも同様の報告があった後、それぞれのMAG委員から、昨年のIGFに参加し感じたことや今後の課題や解決策について、さまざまな意見表明が行われました。その中には、前日のオープンコンサルテーション同様、セッションの数を減らすべきであるとか、政府や民間セクターからの参加者を増やす方法を検討すべきであるとか、昨年のIGFで採用された「Geneva Messages」を支持するものの、さらなる宣伝が必要であるといった発言がありました。筆者からは、日本インターネットガバナンス会議(IGCJ)で表明された、日本からの出席者の声を届けました。

しばらくの間、今年のIGFの構成をどのように進めていくべきかにつき議論が行われました。途中、米国政府の担当者から、メインセッションのガイドラインの説明があり、それに関する議論も行われました。
筆者がMAG日本委員として発言を行っている写真。

(筆者がMAG日本委員として発言を行っている様子)

3月22日、まずMAG議長から、今次会合で議論しなければならない事項や、今後の電話会議で検討すべき事項の一覧が示された後、今年のIGFのプログラムの検討をどのように進めていくかにつき、前日からの議論が継続されました。その中には、欧州版のIGF(EuroDIG)やラテンアメリカ版のIGF(LAC IGF)といった国別・地域別イニシアチブ(NRIs)で採用されているキュレーションアプローチ(call for issues)を推す声があった一方で、ボトムアップアプローチが損なわれるのではないか、グローバルなIGFには必ずしもそぐわない点があるのではないかといった懸念も示されました。筆者からは、メインテーマやサブテーマの決定に関する議論とワークショップの選定に関する議論は分けるべきで、前者についてはキュレーションアプローチが使えるかもしれないが、後者についてはMAGの任務であり、テーマごとにどのようなセッションを採用するかやセッション数についてはその時にMAGが決定すべき事項であるといった発言を行いました。

3月22日の午後は、今後のスケジュールや第二回会合についてIGF事務局から説明があった後、会期間活動の一つである、ベスト・プラクティス・フォーラム(BPFs)に関する議論が行われました。具体的には、2017年に実施された3つのBPFs(サイバーセキュリティー、ジェンダーとアクセス、ローカルコンテント)の報告が行われた後、そうしたBPFsを2018年も継続するかや、新たなBPFsの提案についても議論が行われました。2015年から続けられているコネクティビティーに関するプロジェクト(CENB)についても、進捗状況の報告と2018年の方針について、担当のMAG委員から説明がありました。

その後、もう一度今年のIGFのプログラムの議論に戻り、さまざまな意見が表明されました。その結果、①まずは関心事項に関する意見募集(call for issues)を行った上で、②それに基づく形でワークショップ提案書の募集を行い、③MAG委員がワークショップの審査を行う方向で広く合意があり、細かな部分は後に議論することとして、そのような形で進められることになりました。会合の終盤、IGF事務局から以下2つの日程案が示され、今後具体的なスケジュールについても議論を継続していくことになりました。


2018年IGF/MAG第一回会合のサマリー(IGF事務局作成)については、こちらをご覧ください。

2. 2018年IGF/MAG第一回電話会議:結果概要
4月4日、2018年IGF/MAG第一回会合のフォローアップを主な議題として、IGF/MAG第一回電話会議が開催されました。そこでは、2018年IGF開催地の検討状況、ベスト・プラクティス・フォーラム(BPFs)やワーキング・グループ(WGs)といった会期間活動、そして3月27日に開始された関心事項に関する意見募集(提出期限は4月13日21時(日本時間))の進捗状況について報告や議論が行われました。

3. むすびにかえて
このように、今回の会合では、昨年のIGFの振り返りと今年のIGFに向けた改善点や取り進め方について議論が行われた訳ですが、実は本ブログ記事執筆時点(4月13日)で、まだ2018年のIGF開催地は決まっていません。MAG議長やIGF事務局の話では、アジアから1カ国、アフリカから1カ国、ラテンアメリカから2カ国、西欧から1カ国が手を挙げているようですが、開催基準との関係でまだ最終決定には至っていないようです。場合によっては、ホスト国を定めずに国連ヨーロッパ本部(United Nations Office at Geneva:UNOG)で開催し、広く支援を募る方法も検討しなければならないとの事でした。なお、2019年のIGF開催地はほぼ決まっており、2020年および2021年のIGF開催地についてもある程度目途がついているとの事でした。

また、上記のように、4月13日21時(日本時間)まで、今年のIGFに向けた関心事項に関する意見募集が行われていますので、日本の皆様からのご意見をお待ちしています。筆者としては、今年のIGFに少しでも日本の皆様の意見が反映されるよう、いろいろな意味でバランスのとれたIGFとなるよう、今後も尽力していきます。

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2018年世界情報社会サミット(WSIS)フォーラムのレセプションの写真。緑色の大きなケーキが写っている。

(K・M)

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